絶滅鳥ドードーを追い求めた男――空飛ぶ侯爵、蜂須賀正氏 1903-53

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  • 村上紀史郎
  • 四六上製 352ページ
    ISBN-13: 9784865780819
    刊行日: 2016/07
  • 謎の鳥「ドードー」の探究に生涯を捧げた数奇な貴族の実像

    戦国武将・蜂須賀小六の末裔にして、最後の将軍・徳川慶喜の孫、海外では異色の鳥類学者として知られる蜂須賀正氏(1903-53)。
    探検調査のため日本初の自家用機のオーナーパイロットにもなり、世界中で収集した膨大な標本コレクションを遺しながら、国内では奇人扱いを受け、正当に評価されてこなかったその生涯と業績を、初めて明かす。

    目次

    プロローグ 毀誉褒貶の人
    1 正氏のイギリス、日本人のイギリス
    2 ロスチャイルドと絶滅鳥
    3 イギリス留学中の調査・採集旅行
    4 有尾人と椋鳥を探すフィリピン探検
    5 ベルギー政府のアフリカ探検隊
    6 ブルガリア国王ボリス三世
    7 空飛ぶ侯爵の帰国
    8 日本野鳥の会の出発
    9 大回りの帰国
    10 戦争中の蜂須賀正氏
    11 「マサは天才だったんだよ」
    エピローグ 2014年、正氏の研究が注目される

    関連情報

    蜂須賀正氏とはどういう人物だったのか。まず、第一にいえるのは、当時の日本には珍しいスケールの大きな世界的な鳥類学者であったことだ。彼が終生追い求めたテーマは、『不思議の国のアリス』にも登場する絶滅した鳥ドードー。この研究を高く評価されて、アメリカやインドの大学から学位を授与されている。また、ヨーロッパ滞在が長いため、日本より西欧に知己が多かった。交友関係は、鳥類学者、動物学者から、世界経済を牛耳るイギリス・ロスチャイルド家の当主や各国の王族にまで及ぶ。
    日本の鳥研究の仲間からは、国際的なキャリアがあるのに腰が低くて礼儀正しく、後輩の面倒見がいいと尊敬されていた。敗戦後の日本の鳥学を再興し、国際化するために研究者の論文を翻訳したり、若い研究者を指導したりしていたのだった。だが、こうした蜂須賀正氏像は、鳥類学に関係した限られた人たちにしか知られていなかったようだ。蜂須賀家の人々や旧家臣、華族社会の人たち、一般大衆は、それとは全く違った正氏像を抱いていたのである。
    (本文より)


    蜂須賀正氏(はちすか・まさうじ)とは――
    1903年生まれ、徳島・阿波藩主蜂須賀家十八代当主。幼少時から生物、とくに鳥類を愛し、16歳で日本鳥学会(1912年設立)に入会。次代当主の期待を背負ってイギリスに留学するが、博物学研究の先進地でますます鳥類への関心が高まってドロップアウト。弱冠22歳で鳥類研究者として国際的にデビューする。約7年間の留学中にエジプト、アイスランド、南アフリカなどへ探検調査を行ない、数々の貴重な生物標本を収集する。帰国後も席を温める間もなく、国内各地や朝鮮半島・中国・フィリピン・アフリカへと探検の足を伸ばす。17世紀に発見からわずか100年で人為的に絶滅させられたドードーをはじめとして、絶滅鳥への関心が高く、世界の研究者と交流しながら研究を続ける。自家用機を購入し、日本初のオーナーパイロットとなるが、探検と飛行機で次第に蜂須賀家の財産は食いつぶされ、第二次大戦が始まると、ヨーロッパ仕込みの行状が統制社会になじまず批判を集め、敗戦直前に爵位返上に至る。戦後、ようやく研究の自由を取り戻したなかで、生涯の集大成『ドードーとその一族あるいはマスカリン諸島の絶滅鳥』の執筆に没頭するが、刊行わずか1か月前の1953年5月14日、狭心症によって急逝した。
    現在入手できる著書は『南の探険』(平凡社ライブラリー、2006年)。


    ■著者紹介
    村上紀史郎(むらかみ・きみお 1952- )
    1947年東京麻布に生まれ育つ。『TBS調査情報』の編集を経て、現在フリーランスのエディター、ライター。文学、美術、建築、映画、ワイン、料理などの編集を主に手がける。編集した本では、『ランボー全集』、鶴見俊輔『かくれ佛教』など。編著に『文化の仕掛人』、『こんな家に住みたかった』、『悪食コレクション』、著書は『「バロン・サツマ」と呼ばれた男』『音楽の殿様・徳川頼貞』(藤原書店)。

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