手紙を通して読む 竹山道雄の世界

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  • 平川祐弘=編著
  • A5上製 384ページ
    ISBN-13: 9784865781519
    刊行日: 2017/11

国内外の知人との手紙に体現された「昭和の精神」

戦前から戦後を通じて、専制主義を批判し、リベラリズムの筆鋒を貫いた文学者、竹山道雄(1903-84)。欧州留学時に現地に溶け込んで知り合った市井の人びととの手紙、三谷隆正、安倍能成、長与善郎、渡邊一夫、芳賀徹など、先人から教え子に至るまでの知識人と交わされた手紙から、「昭和」の時代精神を照らし出す。




目次


 序 論 竹山道雄の生涯と仕事 平川?弘

第Ⅰ部 竹山道雄とヨーロッパ
 1 戦前パリの青春――「知られざるひと」のこと
 2 戦後はじめてのヨーロッパ滞在
 3 ソリニャック夫人
 4 留学時代の手紙
 5 キリスト教的西洋と向きあって

第Ⅱ部 竹山道雄と戦中・戦後
 6 安倍能成という存在
 7 『ビルマの竪琴』をめぐる手紙
 8 戦時下の日本で三点測量ができた人々――大野俊一と府立四中の友人たち
 9 秦郁彦の母からの手紙
 10 芳賀徹との交流――比較文化史家の誕生
 11 家族や知人との手紙

 補 論 竹山道雄の遺したもの 足立節子

 竹山道雄 年譜/人名索引

関連情報

●平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)
1931年東京生。比較文学比較文化。東京大学名誉教授。竹山道雄の女婿にあたる。
著書に『和魂洋才の系譜』『西欧の衝撃と日本』『マッテオ・リッチ伝』『小泉八雲』(サントリー学芸賞)『ラフカディオ・ハーン――植民地化・キリスト教化・文明開化』(和辻哲郎文化賞)『天ハ自ラ助クルモノヲ助ク――中村正直と〈西国立志編〉』『アーサー・ウェイリー『源氏物語』の翻訳者』(エッセイスト・クラブ賞)『ダンテ『神曲』講義』『内と外からの夏目漱石』『竹山道雄と昭和の時代』など、訳書にダンテ『神曲』、ボッカッチョ『デカメロン』、マンゾーニ『いいなづけ』(読売文学賞)他多数。『竹山道雄セレクション』全4巻(藤原書店)を編集。
2016年より『平川祐弘決定版著作集』全34巻(勉誠出版)刊行中


この本は私が先に著わした竹山道雄(1903年-1984年)の伝記『竹山道雄と昭和の時代』(藤原書店、2013年)の姉妹編で、その内容を補完する書簡集です。竹山が書いた手紙やはがき、受取った手紙やはがきを選んで活字にし、解説をそえることで、竹山道雄が生きた戦前・戦中・戦後の昭和時代をより多角的、かつ鮮明に伝えようと試みました。時代の証言といいましょうか、書簡集の常として証拠文献ともいうべき性質を帯びますが、読物としても面白いのではないでしょうか。内外人との交流に非常な幅と深みがあり、竹山個人のみか国際関係の中から見た昭和日本の姿が如実に浮かんで見える点に特別の価値があると思われます。私は竹山道雄の傍にいながら、自分自身の仕事にかまけて、もっと早くするべきであった竹山の知的遺産の整理をこの年まで延ばしてしまいました。竹山道雄は伝記を書くことで、そしてその周辺の手紙を書物に編むことで、さらに新しい光がます人ではないか。それだけに文献学的アプローチはなおきちんとなされてしかるべき「えらい人」なのだと私は信じています。
(本書「序論」より)

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