教師と学生のコミュニケーション〈新版〉

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  • ピエール・ブルデュー/J-C・パスロン/M・ド=サン=マルタン
  • 安田尚=訳  新版への序=苅谷剛彦
  • A5上製 240ページ
    ISBN-13: 9784865781588
    刊行日: 2018/01
  • 「日本の教育の現状を探る上で、本書から学べることはなお大きい」苅谷剛彦

    ブルデュー教育社会学の原点
    なぜ学生たちは教師の言うことを理解できないのか!?
    『再生産』『ホモ・アカデミクス』『国家貴族』へと連なるブルデュー教育社会学の原点として『遺産相続者たち』と対をなす古典的名著を大幅改訳!
    すべての教育関係者必読!! 待望の新版!

    目次


    〈新版への序〉
    『教師と学生のコミュニケーション』から何を学ぶか――日本の読者に向けて  苅谷剛彦

    序章 教育場面における言語と言語に対する関係  ピエール・ブルデュー/ジャン=クロード・パスロン
     言語的理解不全  専門家のエスノセントリズム  階級的エスノセントリズム  空間と距離化
     言語的理解不全における共犯関係  分裂と二股膏薬  空間的距離と言語的距離

    〈付録〉「理想的な講義室」に関する調査結果からの抜粋
       計画的な教育方法による教育的関係/サークルプラン〔円形教室〕/〔学生の回答例〕

    第1章 学生と教育言語  P・ブルデュー/J-C・パスロン/モニク・ド=サン=マルタン
     一 選別の度合いと成功率
      選別の度合いと社会的出自  性別による言語的選別  選別の度合いと専攻
     二 媒介としての学校経歴
      成功の度合いとギリシア語・ラテン語の教養  社会的経歴から学校経歴へ

     〈付録1〉調査対象者(学生)の特性
     〈付録2〉質問紙
     〈付録3〉コース別、社会的出自別のテスト結果の分布
     〈付録4〉講義の語彙論的分析

    第2章 試験における学生のレトリック  クリスチャン・ボードゥロ
     1 構文論的な複雑さの度合い  2 接続詞と等位接続詞の使用
     3 形容詞と副詞の使用  4 語彙の豊かさ  5 慣用表現からの選択

    第3章 教師と教育に対する学生の態度  ギイ・ヴァンサン
     序文
     一 学生と大学制度
      高等教育の目的
      学生のカテゴリーと大学制度(社会的階級による差異/パリの学生と地方の学生/男子学生と女子学生)
     二 学生と教育方法
      グループ作業と教育的関係  師と弟子  結論

     〈付録1〉高等教育の目的とイメージ
     〈付録2〉調査対象者の属性(哲学・社会学・心理学の学生)
     〈付録3〉質問紙――ヨーロッパ社会学センター

    第4章 リール大学図書館の利用者  P・ブルデュー/M・ド=サン=マルタン
     〈付録1〉調査対象者の属性
     〈付録2〉ヨーロッパ社会学センター

    付論 教師と学生のコミュニケーション  P・ブルデュー


     訳者あとがき(初版)
     新版への訳者あとがき
     索引

    関連情報

    現代の教育的コミュニケーションにおいて何が交換されているのか。他の資本との交換はどのように行われているのか。その交換のメカニズムと交換のレートはどのように決められ、正当性や機能性を付与されるのか。一見、露骨に正当化されたメリトクラシーの作動に見えて、わからないことは多く残されている。だが、もはやそれを暴くだけでは社会学者の仕事は終われない。暴くだけでは、文化資本・人的資本・経済資本間の交換を正当化している流通=通用=妥当の構造は揺るぎもしないからである。
    では、どうすれば、その構造自体を変える(少なくとも揺るがす)ことができるのか。
    ブルデューらの先駆的研究がその先鞭をつけ、私たちを誘ったように、新たな理論的立脚点を見つけることが、教育や不平等の問題と向き合う社会学者には求められている。文化的再生産論がフランスという文脈において誕生しやすかったように、その新たな理論的立脚点は、日本の経験からグローバルな現象を見通すことで可能になるのかもしれない。一国内のメリトクラシーを西欧よりも早く完成させた日本は、その成功ゆえに、現在ではグローバル化との摩擦を経験している。その分、目に見えやすい齟齬や軋轢が取り出しやすい。そこに教育の不平等の現代的メカニズムを探るいとぐちがあるのかも知れない。一度はナショナルなメリトクラシーとして先行しながら、現在では前述のグローバル化に立ち遅れている日本の経験が、研究としてのアドバンテージとなり得るのである。その立脚点を探る上で、その後のブルデューらの研究の出発点となった本書から学べることはなお大きい。
    苅谷剛彦(オックスフォード大学教授)


    【著者紹介】
    ●ピエール・ブルデュー(Pierre Bourdieu)
    1930-2002 年。社会学者。高等師範学校卒業。哲学教授資格を取得。リセの教員となるが、55 年アルジェリア戦争に徴兵。アルジェ大学助手、パリ大学助手、リール大学助教授を経て、64 年、社会科学高等研究院教授。教育・文化社会学センター(現在のヨーロッパ社会学センター)を主宰し学際的共同研究を展開。81 年コレージュ・ド・フランス教授。以後、逝去するまでコレージュ・ド・フランス社会学教授の地位にあった他、ヨーロッパ社会学研究所を主宰し、雑誌『社会科学研究学報』と出版社レゾン・ダジールの責任者も務めた。20 世紀における最も影響力ある社会科学者のひとりであり、新自由主義に反対するグローバルな動員に関与する指導的な知識人のひとりだった。
    著書『ディスタンクシオン?・?』『再生産』『芸術の規則?・?』『ホモ・アカデミクス』『市場独裁主義批判』『メディア批判』『パスカル的省察』『科学の科学』『自己分析』『国家貴族』『介入』『男性支配』『知の総合をめざして』(いずれも藤原書店)ほか多数。

    ●ジャン=クロード・パスロン(Jean-Claude Passeron)
    1930 年、フランスのニースに生まれる。父は農民。パリのアンリ四世校の準備級(カーニュ)を経て、高等師範学校を卒業する。哲学の第一級教員免許(アグレジェ)を取得し、エピステモロジー、社会学を専門とする。社会科学高等研究院(EHESS)の研究主任、パリ第八大学教授、ナント大学教授を歴任。本邦訳書や『再生産』(藤原書店、1991 年)、『社会学者のメチエ』(藤原書店、1994 年)、『遺産相続者たち』(藤原書店、1997 年)など、ピエール・ブルデューとの共著を多数刊行している。1991 年にLe raisonnement sociologique(Paris, Nathan) で『社会学者のメチエ』(原著の刊行年は1973 年)とは異なる立場を表明する。

    ●モニク・ド=サン=マルタン(Monique de Saint Martin)
    1940 年、フランスに生まれる。社会科学高等研究院(EHESS)の研究主任。ピエール・ブルデューの学位論文指導教官。エリート論、グランゼコールの研究、経営者論を専門とする。本邦訳書や≪ L’excellence scolaire et les valeures du systeme d’enseignement francais ≫ (Annales, Paris, janv.-mars 1970.);≪ Le patronat ≫ (ARSS, No. 20-21, mars-avril 1978) などピエール・ブルデューとの共著多数。2000 年には単著≪ Ver une sociologie des aristocrates declasses ≫, Cahiers d’histoire, 45(4). などがある。

    【訳者紹介】
    ●安田尚(やすだ・たかし)
    1948年 岩手県に生まれる
    1982年 東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学(社会学専攻)
    職歴
    1982年 小樽商科大学短期大学部専任講師、助教授
    1988年 上越教育大学学校教育学部助教授、教授
    2005年 福島大学行政政策学類教授
    2014年 同上を定年退職
    著書
    『見える現代――社会学の眼』(共著、アカデミア出版会、1991年)『ブルデュー社会学を読む――社会的行為のリアリティと主体性の復権』(単著、青木書店、1998年)『新世紀社会と人間の再生』(共著、八朔社、2001年)。
    訳書
    ブルデュー『社会学の社会学』(共訳、藤原書店、1991年)ブルデュー『教師と学生のコミュニケーション』(単訳、藤原書店、1999年)アート・シルバーブラット『メディア・リテラシーの方法』(安田尚監訳、リベルタ出版、2001年)ブルデュー『実践理性』(共訳、藤原書店、2007年)。

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