近代家族の誕生――女性の慈善事業の先駆、「二葉幼稚園」

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  • 大石茜 著
  • 四六上製 272頁
    ISBN-13: 9784865782608
    刊行日: 2020/2

第10回「河上肇賞」本賞受賞作

1900年、野口幽香、森島峰という二人の女性によって設立された東京・四谷の「二葉幼稚園」。“天皇制”と“キリスト教”を背景に救貧事業が展開された明 治・大正期において、二葉幼稚園は、貧困層における「家族」の成立と生存戦略にいかに寄与したか? 二葉幼稚園自身が残してきた活動記録をひもとき、近代日本の“慈善”のあり方に新しい光を当てる意欲作。


目次

 序 章

第Ⅰ部 天皇制とキリスト教――女性による慈善事業の背景
 第1章 慈善事業を支えた天皇制とキリスト教
 第2章 女性による慈善事業の実現
 小 括

第Ⅱ部 都市下層の近代家族化――新たな共同性の創造
 第3章 「貧民」へのまなざしの変化――蔑視から共感へ
 第4章 二葉幼稚園と近代家族の形成
 小 括
 終 章 近代国家と慈善事業――「家族」の機能へのひとつの視座
 おわりに
 参考文献/注/二葉幼稚園関連年表(1866-1950)/人名索引

関連情報

二葉幼稚園は、政府の意図や社会状況に影響され、利用されながらも、逆にそうした社会的背景を活かし、新たな領野を開拓していた。その際に大きな鍵となったのは、「近代家族」という共同性の構築であった。こうした二葉幼稚園の事例の分析を通して、善意による事業が、単に国家に盲目的に動員されているのではなく、動員に巻き込まれながらも同時に、国家の意図とは異なる展開があり、独自の仕方での社会に変化をもたらしていたことを示したい。
(序より)

著者紹介

●大石茜(おおいし・あかね)
1988年生。筑波大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程在籍中。上田女子短期大学非常勤講師。専攻・社会事業史、保育史、幼児教育史。主な著作に、「疎開保育園というアジール――戦時下における『民主的保育』の系譜」(『東京社会福祉史研究』11号、2017年)、「『満州』における幼児教育の展開――満鉄経営幼稚園の事例から」(『幼児教育史研究』12号、2017年)、編集・解題「農繁期託児」寺脇隆夫監修『戦前日本の社会事業・社会福祉資料第2期』(柏書房、2018年)、共著『戦後日本の満洲記憶』(東方書店、2020年) など。本書の元となった「『近代的家族』の誕生――二葉幼稚園の事例から」で第10回 河上肇賞本賞を受賞。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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