パンデミックは資本主義をどう変えるか――健康・経済・自由

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  • ロベール・ボワイエ著 山田鋭夫・平野泰朗訳
  • A5並製 320頁
    ISBN-13: 9784865783025
    刊行日: 2021/2

フランス・レギュラシオン理論の旗手による資本主義論!
コロナ・パンデミックの中、未来の資本主義のあり方を緊急提言!

経済は、生命をどう守るのか!? 緊急書き下ろし・緊急翻訳出版!!
様々な“危機”に対応してきた資本主義の歴史をたどり、その多様なあり方を分析し提示してきたレギュラシオン経済学の旗手が、新型コロナ・パンデミックに直面し、経済学者として口火を切った!!
ロックダウン、外出禁止、休業要請とその補償……感染の渦中にあるパリから、政策決定、不確実性、競争原理、不平等、ユーロ、国際関係などさまざまな視角から目配りしつつ、未来を展望する。

目次

日本の読者へ

序 説 過去が未来をどう制約するかを理解すること
第1章 困惑的な出来事を分析すること
第2章 パンデミック、経済、制度変化
第3章 根本的不確実性の時代
第4章 緊急事態から健康・経済・自由の「トリレンマ」へ
第5章 医療・教育・文化を中心とした発展様式は出現しつつあるのか
第6章 超国籍的プラットフォーム資本主義と国家資本主義――その加速と弁証法
第7章 国際関係は解体に向かうのか
第8章 ユーロは終焉に向かうのか
第9章 危機からの出口――経済・社会・政治を埋めこみなおすこと
結 論 未来は開かれている
補 章 歴史的出来事をリアルタイムで分析することは可能か

訳者あとがき/文献目録/図表一覧


「日本の読者へ」より

 多くの政府はパンデミックの予防やこれとの闘いの準備ができていなかったので、破局的事態のなか、エッセンシャルでないすべての経済活動の停止を決定した。経済的損失の膨大化に直面して、政府は巨額な経済活動支援策を決定し、その際、かつて欧州中央銀行によるユーロ救済を可能にした合言葉――「いかなる犠牲をはらっても」――を前例なき規模で繰り返した。こうした諸政策はGDPの低落や雇用の収縮を止めたが、正常状態に復帰させることはできなかった。なぜなら、経済的利害関係者だけでなく、移動の自由という民間人からの要請にも応えて、社会的距離をとるという措置が緩和されるや否や、感染はいっそう勢いをましたからである。
 こうして世界経済は、まったく未知の領域に突入した。つまり、封鎖措置の同時性、各国景気局面の同期化、保護主義的対立の拡大、国際システムの分裂リスクを抑えられない国際諸組織の機能不全、富国ならびに貧国における貧困の再来といったことである。


【著者紹介】
●ロベール・ボワイエ(Robert BOYER)
1943年生。パリ理工科大学校(エコール・ポリテクニック)卒業。数理経済計画予測研究所(CEPREMAP)および国立科学研究所(CNRS)教授、ならびに社会科学高等研究院(EHESS)研究部長を経て、現在は米州研究所(パリ)エコノミスト。 著書に『レギュラシオン理論』『入門・レギュラシオン』『第二の大転換』『現代「経済学」批判宣言』『世界恐慌』、〈レギュラシオン・コレクション〉『1 危機――資本主義』『2 転換――社会主義』『3 ラポール・サラリアール』『4 国際レジームの再編』(共編著)、『資本主義vs資本主義』『ニュー・エコノミーの研究』『金融資本主義の崩壊』『ユーロ危機』『作られた不平等』『資本主義の政治経済学』(以上いずれも藤原書店)『レギュラシオン』(ミネルヴァ書房)などがある。

【訳者紹介】
●山田鋭夫(やまだ・としお)
1942年生。1969年名古屋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。名古屋大学名誉教授。専攻は、理論経済学・現代資本主義論。著書に『さまざまな資本主義』(2008年)『内田義彦の学問』(2020年、以上藤原書店),Contemporary Capitalism and Civil Society, Springer他。訳書にピエール・ブルデュー『住宅市場の社会経済学』(共訳、2006年、藤原書店)、ロベール・ボワイエ『ユーロ危機』(共訳、2013年、藤原書店)他。

●平野泰朗(ひらの・やすろう)
1948年生。1978年名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。1978~80年、フランス社会科学高等研究院に留学。経済学博士。福岡県立大学名誉教授。専攻は、労働経済学・社会政策。著書に『日本的制度と経済成長』(1996年、藤原書店)他。訳書にパスカル・プチ『低成長下のサービス経済』(1991年、藤原書店)、エマニュエル・トッド『経済幻想』(1999年、藤原書店)他。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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