ゾラの芸術社会学講義――マネと印象派の時代

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  • 寺田光徳 著
  • A5上製 624頁 カラー口絵8頁
    ISBN-13: 9784865783131
    刊行日: 2021/5

ブルデュー『芸術の規則』などの“芸術社会学”の視座から、初めてゾラの美術批評を観る!!

マネや印象派の画家たちを逸早く評価した、19世紀後半の文豪ゾラの美術批評は、当時のフランス美術社会を縛っていた体制(アカデミー)への批判であった。“芸術社会学”の視点から初めて考察する、ゾラの美術批評の世界。


目次

はじめに

第Ⅰ部 美術批評家ゾラの誕生
 第1章 「エクランの理論」
 第2章 規範学的考察から社会学的考察へ
 第3章 サロン批評家ゾラのデビュー

第Ⅱ部 メディエイション
 第1章 サロン
 第2章 美術アカデミー、美術学校、ローマ賞・ローマ学院、私設アトリエ
 第3章 絵画におけるアカデミスム
 第4章 個展、グループ展

第Ⅲ部 批評家と画商
 第1章 美術批評家
 第2章 先鋭的批評の系譜
 第3章 印象派という呼称について
 第4章 画 商

第Ⅳ部 受 容
 第1章 サロンの公衆
 第2章 期待の地平とその変容
 第3章 前衛作品の受容

第Ⅴ部 作家・作品論あるいはマネ論
 第1章 マネの立場模索
 第2章 政治と芸術
 第3章 世代論
 第4章 肖像画
 第5章 「現代生活の画家」マネ
 第6章 ゾラの自然主義キャンペーンとマネ評価

結びに代えて――「絵画」(1896)

あとがき/注記/ゾラの美術批評とその関連事項/図表一覧/人名索引

関連情報

ゾラの美術批評が最も有効なのはメディエイションの観点、中でも美術アカデミー・国立美術学校・サロンの三位一体的機関によって築かれた体制に対する批判である。十七世紀から受け継がれたこれらの画家養成に関わる国家機関は、もちろん十九世紀のフランスを世界に冠たる美術国家として押し立てた最大の功労者として、誰もその功績を否定することはできない。
しかしゾラの時代に目立ってきたのは、近代美術を代表するマネや印象派などの新たな絵画の流れを抑圧するという悪弊であった。「社会としての芸術」という観点に立つ芸術社会学の立場からすれば、次代を代表するマネや印象派の作品をなかなか芸術と認めようとしなかった当時の体制は、その考察対象として恰好の問題を提供していることになろう。(著者)


【著者紹介】
●寺田光徳(てらだ・みつのり)
1947年静岡県生れ。大阪市立大学大学院文学研究科博士課程単位修得退学。博士(文学)。弘前大学人文学部教授から熊本大学文学部教授を経て、2013年退職。熊本大学名誉教授。専門は19世紀フランス文学。
著書に『梅毒の文学史』(平凡社、1999)、『欲望する機械――ゾラの「ルーゴン=マッカール叢書」』(藤原書店、2013)他。訳書にE・ゾラ『獣人』(藤原書店、2004)、M・セール『火、そして霧の中の信号――ゾラ』(法政大学出版局、1988)、R・ユイグ『かたちと力』(共訳、潮出版社、1988)、M・ピカール『時間を読む』(法政大学出版局、1995)、C・ケテル『梅毒の歴史』(藤原書店、1996)、G・ディディ=ユベルマン『神秘神学と絵画表現』(共訳、平凡社、2001)、P・ダルモン『人と細菌』(共訳、藤原書店、2005)他。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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