「水はみどろの宮」ほか エッセイ1988-93 石牟礼道子全集・不知火 第11巻 (全17巻・別巻一)

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  • 石牟礼道子
  • 解説・伊藤比呂美
  • A5上製貼函入布クロス装 672ページ
    ISBN-13: 9784894344693
    刊行日: 2005/8

ことばの奥深く潜む魂から近代を鋭く抉る鎮魂の文学

 「吹く風も流れる水も、草のささやきも、光の糸のような絆をつないでくれているのだということを書きあらわしたかった。風はともかく、草の声、水の声も聴きとれなくなった日本人のなんと多くなったことだろう。水俣のことで長い間、沈潜している思いがある。エネルギーをたくわえ、自分自身を焚かなければならない。そんな火を焚く祈りの場所を『水はみどろの宮』ときめて、わたしは、山の精たちをここに呼び出した。」

(「あとがき」より)




本全集の特徴

1.『苦海浄土』を始めとする著者の全作品を年代順に収録。従来の単行本に、未収録の新聞・雑誌等に発表された小品・エッセイ・インタヴュー・対談まで、原則的に年代順に網羅。
2. 人間国宝の染織家・志村ふくみ氏の表紙デザインによる、美麗なる豪華愛蔵本。
3. 各巻の「解説」に、その巻にもっともふさわしい方による文章を掲載。
4. 各巻の月報に、その巻の収録作品執筆時期の著者をよく知るゆかりの人々の追想ないしは著者の人柄をよく知る方々のエッセイを掲載。
5. 別巻に、著者の年譜、著者リストを付す。

『石牟礼道子全集』を推す【藤原書店PR誌『機』2004年4月号より】
五木寛之(作家)/ 大岡信(詩人)/ 河合隼雄(臨床心理学者)/ 金石範(作家)/ 志村ふくみ(染織家)/ 白川静(中国古代文学者)/ 瀬戸内寂聴(作家)/ 多田富雄(免疫学者)/ 筑紫哲也(ジャーナリスト)/ 鶴見和子(社会学者)



各巻構成



本全集を読んで下さる方々に   石牟礼道子

 わたしの親の出てきた里は、昔、流人の島でした。

生きてふたたび故郷へ帰れなかった罪人たちや、行きだおれの人たちを、この島の人たちは大切にしていた形跡があります。名前を名のるのもはばかって生を終えたのでしょうか、墓は塚の形のままで草にうずもれ、墓碑銘はありません。

こういう無縁塚のことを、村の人もわたしの父母も、ひどくつつしむ様子をして、『人さまの墓』と呼んでおりました。

「人さま」とは思いのこもった言い方だと思います。

「どこから来られ申さいたかわからん、人さまの墓じゃけん、心をいれて拝み申せ」とふた親は言っていました。そう言われると子ども心に、蓬の花のしずもる坂のあたりがおごそかでもあり、悲しみが漂っているようでもあり、ひょっとして自分は、「人さま」の血すじではないかと思ったりしたものです。いくつもの顔が思い浮かぶ無縁墓を拝んでいると、そう遠くない渚から、まるで永遠のように、静かな波の音が聞こえるのでした。かの波の音のような文章が書ければと願っています。

   2004年3月31日  【藤原書店PR誌『機』2004年4月号より】



●特別愛蔵本のお知らせ●

 人間国宝の志村ふくみ氏作の本藍染布クロスで装った特装版を特別に各巻限定30部作作成致します。頒価各巻50,000円。ご希望の方は、小社まで直接お申し込み下さい。


●全巻購入者特典●

 全巻をご購入いただいた読者の方には、著者自筆の「花を奉るの辞」を完結後に贈呈致します。各巻のオビに付いております請求券(第1巻から別巻までの計18枚)をまとめて小社までお送り下さい。

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