遺言のつもりで――伊都子一生語り下ろし

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  • 岡部伊都子
  • 四六上製 424ページ
    ISBN-13: 9784894344976
    刊行日: 2006/1
  • しなやかで清らに生きた“美しい生活者”の半生

    きものや陶磁器など、古来から受け継がれてきた手仕事の潤いを愛し、食べものをめぐる文章では、素材を育む一滴の水、一掴みの土に筆が及ぶ。旗を振って婚約者を戦争に送り出したことを今なお厳しく批判し続け、権力に対しては激しい怒りを辞さない。生涯、身に病を引き受ながら、筆一本で、最も弱い者としての強い視線を一貫して保ち続けた、岡部伊都子。その半生そのものが、我々への“遺言”

    目次

    はじめに

    一、 大阪・瀬戸物町で育つ  ―― 幼児期

    甘えたの末っ子でした  おかあちゃんといっしょ
    男の子のお友達と  初めての文章 「きのうのにちようび」
    「飾りが多い」 と指摘されて  「水の都」 大阪  陶器祭り
    なんで生きていかんならんの  結核で女学校を中退

    二、 父母、兄、姉のこと  ―― 家族

    おかあちゃんのバイオリン  おとうさんの浄瑠璃
    「小さい兄ちゃん」 博さん  おかしなことばかり
    兄ちゃんの油絵  レコード 「えんでん」
    おとうちゃんと見た黒い富士山  モダンな姉ちゃん

    三、 兄の戦死  ―― 太平洋戦争

    航空兵の道を選んだ博兄ちゃん  「伊都子二遺ス」
    「隣の兄ちゃん」 鐸三さん  鐸三さんの想い
    博兄ちゃんの最期  「未帰還」 の知らせ
    かえってきた遺品  「無言館」 へ

    四、 加害の女として  ―― 婚約

    木村邦夫さんと婚約  「この戦争は間違っている」
    「加害の女」  深夜の大阪駅  沖縄戦で自決  大阪大空襲
    異母きょうだい  やるせない母の怒り  敗戦の日
    戦死の公報  「きれいなまんま」

    五、 筆一本で立つ  ―― 結婚、 離婚

    七年間の結婚生活  江戸落語を自宅で  「ねまきの夢」
    父の死、 岡部の破産  独立記念日や  筆一本の暮らし
    私家版 『紅しぼり』 の縁で  社会への責任  母との別れ

    六、 ハンセン病、 沖縄、 安保  ―― 社会へ

    本ばかり読んでいた  ハンセン病について初めて知る
    吉田美枝子さんとの出会い  初めて沖縄へ
    津嘉山の土を持ち帰る  沖縄愛楽園  差別者も被差別者も
    六〇年安保のころ  〈差別と美感覚〉
    思うことをどう表現するか  スクラップブックとアルバム  〈椀〉

    七、 民衆のなかで  ―― すばらしい人々

    〈鶴見俊輔さんとの出会い〉  上野英信さんと炭坑に入る
    「ほんまもんの歌」  岡村昭彦さんとベトナム
    荒畑寒村先生の平等思想  末川博先生と学生
    丸岡秀子先生も筆一本で  〈家ごとのすしの味〉

    八、 日本のなかの朝鮮文化  ―― 朝鮮、 女性

    朝鮮に対する罪悪の原点  同年輩の女性たちが
    女は汚いと言われて  「日本のなかの朝鮮文化」 との出会い
    朴菖熙先生のこと  徐兄弟とオモニ  〈大島紬〉

    九、 現場に立つ  ―― 巡礼

    高銀先生と耳塚へ  ええかっこせんほうがええ
    きものでヨーロッパへ  自分で撮った写真
    その場に立って感じる  高橋和巳さん  宿替えばっかり
    出雲路のいえ  お職人さんの目  〈手料理〉

    十、 遺言のつもりで

    一二九人の子ども  「売ったらあかん」
    李広宏さんの 「夏の思い出」  顔向けでけん
    戦争は許せん  言わんならんことは言わんならん
    病気から学ぶ  心が通じ合うということ
    自分が解放されなければ

    〈補〉 思いこもる人々

    ■ お知り合いの人々
    ■ 本の中から
    ■ 恩師、家族

    〈付〉 うちは何やろ ―― 大阪弁の詩 (六編)
        うちは何やろ / 売ったらあかん / しっぽ / こいさん顔 / みつめ合うて / さいなら

    おわりに
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