空と風と星の詩人――尹東柱評伝

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  • 宋友恵
  • 愛沢革 訳
  • 四六上製 608ページ
    ISBN-13: 9784894346710
    刊行日: 2009/02
  • 失われゆく「朝鮮」に殉教した、清純な詩人の決定版評伝!

    1945年2月16日、福岡刑務所で(おそらく人体実験によって)27歳の若さで非業の死を遂げた朝鮮人・学徒詩人。日本植民地支配下、創氏改名で「姓名」を、治安維持法で「言葉」を、投獄生活で「命」を奪われるも、失われゆく「朝鮮」に毅然として殉教し、死後、奇跡的に遺された手稿によって、その存在自体が朝鮮民族の「詩」となった詩人の生涯。

    目次

    再改訂版序文

    1 詩人の出生

    第一次世界大戦中に生まれた赤児 / 尹東柱の家系


    2 志士たちの村、 明東

    1899年に生まれた朝鮮人の村 / 明東前期文化の特性 / 明東村の新学問とキリスト教受容 / 明東のキリスト教文化 / 尹東柱の明東小学校時代 / 明東に共産主義が蔓延する


    3 海蘭江の心臓、 龍井

    烈しき歳月、 烈しき夢 / 恩真中学校時代


    4 宋夢奎の話

    新春文芸当選作 ――コント 「匙」 / 宋夢奎の出生と成長 / 中国・洛陽軍官学校時代 / 羅士行牧師の洛陽軍官学校に関する証言 / 逮捕、 収監、 そして要視察人名簿に載る


    5 平壌での7カ月

    崇実中学校の編入試験 / 『鄭芝溶詩集』 出版以前と以後の歳月


    6 ふたたび龍井に戻る

    光明学園中学部 / 詩をつくる受験生


    7 若さの停留所、 ソウル延禧専門学校

    太極模様がいたるところにあった延専キャンパス / 延禧専門学校1年生 ──華やかな帰郷/延専2年生 ──詩の学びと鄭芝溶 / 延専3年生 ──信仰の懐疑期、 鄭炳?との出会い / 延専4年生 ──『空と風と星と詩』 / 「懺悔録」 の季節


    8 六畳部屋の土地、 日本

    東京・立教大学に入学する / 立教大学時代の秘話 / 東京で出会った女性 / 京都・同志社大学へ転学


    9 逮捕、 裁判、 服役、 獄死

    思想犯として逮捕される / 高熙旭の証言 / 「特高警察」 による逮捕とその関連記録 / 京都地方裁判所の判決文など / 福岡刑務所での服役と獄死


    10 詩人尹東柱の墓

    遺骨の帰郷 / 民族詩人としての栄光

    関連情報

    ■推薦の言葉
    非命の詩人尹東柱の生涯は、「抵抗」の概念を新たにする
    (金時鐘氏・詩人)
    「アジア侵略の「聖戦」完遂に故国朝鮮もが植民地の枷のなかでなだれているとき、ひとり使ってはならない言葉、母語の朝鮮語に執着し、時節にも時局にも関わりのない詩を自己への問いのように身悶えながら書き留めていた学徒の詩人。その詩のノートが唯一の物証となって失われてゆく朝鮮への殉教者ともなった二十七歳の生涯を、愛沢革訳の本書は、丹念に手繰って誠実に伝えている。」

    今日の時代が目ざす文学行為の一つであり、歴史行為の一つの結実
    (高銀氏・詩人)
    「宋友恵は堅固な作家であり歴史家である。このたび彼女が書き上げた尹東柱の生涯とその死、そしてその文学の純潔な肖像は、今日の時代が目ざす文学行為の一つであり、歴史行為の一つの結実として貴重である。けっして誇張せず逸脱もしない忠実な探求精神と情熱と責任が一体となったこの業績を、私は非常に誇らしく思う。」

    尹東柱を理解するうえで本書にまさる書はない!
    (大村益夫氏・早稲田大学名誉教授)
    「1945年2月、27歳の若さで福岡刑務所で獄死した尹東柱。その清冽な詩は今も韓国の人々によって敬愛されている。民族詩人尹東柱を理解するうえで、宋友恵さんの『尹東柱評伝』にまさる書はない。このたび宋友恵さんの再改訂版『尹東柱評伝』の日本語訳が出版されることとなった。従来、日本で翻訳出版されていたのは、改訂前の『尹東柱評伝』であり、しかもその書の3分の1程度の抄訳であったが、このたびは再改訂版の全訳である。訳者愛沢さんは、長年にわたり尹東柱研究にかかわってきた碩学の徒である。良き本が良き訳者によって世に出るのは喜ばしい。」

    ■尹東柱紹介
    尹東柱(Yun Dong-Ju/ユン・ドンジュ)
    詩人。1917年12月30日、朝鮮から豆満江を越えてきた移住民三世として北間島(現在、中国吉林省延辺朝鮮族自治州)の明東村に生まれる。龍井の恩真中学から平壌の崇実中学校に転入学するが、日本当局の「神社参拝」強要に抗議し自主退学。1936年頃より童詩を雑誌に発表。1938年、ソウルの延禧専門学校(現在、延世大学校)文科に入学、朝鮮語授業の廃止を体験。卒業時に自選詩集『空と風と星と詩』の原稿を準備するが、出版を断念。「創氏改名」届を提出して「渡航証明」を取り、1942年、日本に渡る。4月、立教大学英文科選科に入学。9月、京都に移り、同志社大学英文科選科に転学。1943年7月、同志社大学在学中に治安維持法違反(「独立運動」の嫌疑)で京都下鴨警察署に逮捕され、懲役2年の刑宣告を受ける。1945年2月16日、福岡刑務所で獄死。詩集『空と風と星と詩』は韓国ではロングセラーとなり、邦訳も伊吹郷訳、金時鐘訳など数種類が出ている。

    ■著者紹介
    宋友恵(ソン・ウヘ)
    作家。歴史家。韓国ソウル市在住。1968年ソウル大学医学部看護学科に入学(のち中退)。1978年、韓国神学大学神学科に編入学し1982年に卒業。1980年『東亜日報』新春文芸に当選して作家としてデビュー。1982年に韓国文学賞、84年にサムソン文芸賞を受賞。著書に、長編小説『秤と刀』『透明な林』『白い鳥』、小説集『目の大きな力士の話』『スペインの舞を踊る男』、散文集『下手な人の撃つ弓は怖い』など。歴史家としての著作も多く、1984年、日本軍側の戦闘報告書も含め国内外の資料を追跡し「青山里戦闘と洪範図将軍」を『新東亜』9月号に、その後「北間島大韓民国会議の組織形態に関する研究」「大韓独立宣言書の実体」など、北間島史および独立運動史に関する論文を発表している。

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