〔学芸総合誌・季刊〕環――歴史・環境・文明 vol.39  [特集]「医」とは何か

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  • 菊大判 392ページ
    ISBN-13: 9784894347120
    刊行日: 2009/10

新しい時代に向けてトータルな知の総合を企図する学芸総合誌



「生―老―病―死」。
これは、いのちあるものの一生である。しかも、このこと自体がとても尊い、かけがえのないことである。とくに、生命の誕生と死は、一生のなかで最高のハレのときだ。
わたしたちは、この一生をいつのまにか、社会や国家に管理されてしまっている。殆どの現代人は、今、病院で生まれ、病院で死ぬ。そのことを当然のごとく、 何の疑問も抱かないで受け容れる。死ぬ時ですら、自分で死に場所を選択することもできない有り様だ。恐ろしい時代になった。近代医療は、年々産業化の度を 強め、特に医・薬業界の結びつきは、一体といっても過言ではない。カネがなければ、まともに死ぬことすらできず、野垂れ死にするしかない現在である。
「医」とは何であろう。現代社会は、さまざまな病気を作り出し、そのために、医・薬業界は繁栄する。そもそも病いにならないようにするにはどういう生活を すればいいのか、という予防医学的発想にたてない。日々「近代化」、「産業化」されてゆく社会の中で、無自覚的に近代医療を選択し、管理されてゆく現代人。 わたしたちは、今、この管理された医療システムの呪縛から解き放たれるにはどうすればいいかを、生と死の原点から考えてみたいと思う。

目次

■ 【特集】 「医」 とは何か

●いま、 生と死の原点から考える。

〈座談会〉 「医」 とは何か ―― 医療依存を超えて
 
 
鎌田實+仁志天映+三砂ちづる+山田真 (司会=編集長)
自己責任としての健康 ―― まっぴら御免!
イバン・イリイチ (訳=藤?智子)
医と死 ―― 死をめぐる民俗学の視点
新谷尚紀
医のもう一つの仕事
大津秀一
「痴呆症」 と終末期医療
大井 玄
地域を生きる医療
方波見康雄
沖縄県大宜味村の再生 【食・農・医の見直しとしての地域活性】
平良一彦
医療政策の透明化に向けて 【医療統計と地方税財政制度の問題点】
井伊雅子
「反」 はどこに行ったのか
立岩真也
断食で生まれ変わる
鈴木一策
現代社会における 「死」 のありようを考える
波平恵美子
現代を生きる 【病・老・死にどう向き合うべきか】
高 史明



【小特集】 追悼 杉原四郎

一海知義 井上琢智 入江節次郎 植村邦彦 内田弘 戒田郁夫 熊谷次郎 公文園子
栗原哲也 小嶋康生 小島修一 後藤嘉宏 逆井孝仁 重田晃一 杉原薫 住谷一彦
高橋哲雄 田中敏弘 田中秀夫 田中秀臣 角山榮 中村宗悦 服部正治 深井人詩
藤井隆至 松尾尊? 的場昭弘 八木紀一郎 山田鋭夫 吉沢英成 若森章孝
後記 (藤原良雄) / 略年譜 / 主要著作

――2009年7月に逝去された杉原四郎氏が、 マルクス、 ミル、 河上肇を中心とした研究のなかで、
書誌の果たす役割を重視しつつ、 経済史に遺されたメッセージとは。――



【小特集】 新疆ウイグル問題

● ウイグル問題の本質を見抜くため、 歴史と政策を見直す。

ウルムチ暴動と中国の危機 【「開発援助」 は何をもたらしたか】
加々美光行
ウイグル問題とは何か
宮脇淳子



● 寄 稿

■ 一人の日本人の思想を決定付けた、 後藤新平が取り持つ太平洋を越えた出会い
 
  松本重治とC・A・ビーアド 【後藤新平が結んだ二人のリベラリスト】
開米 潤

■ イスラームを知るための最良書!
 
  〈講演〉 イスラーム世界の宗教改革現象 【R・アスラン著 『変わるイスラーム』 をめぐって】
白須英子




● 鶴見和子さん没後3年。 『鶴見和子さんと語る会』
山百合忌
  自身の創造した 「内発的発展論」 という概念の深化を最晩年まで追究した鶴見和子さん。
  没後3年を機に、 命日の7月31日に、 その思想の継承に向けて語り合う集いが開催された。


● 2009・政権交代の意味 【政治の終わり、 政治の始まり】
御厨 貴
  近代日本政治の歴史、 システム、 力学を熟知した著者ならではの考察
 


● 対談 沖縄の内発的発展を考える
清成忠男・松島泰勝
  地域主義の第一人者と、 琉球の島嶼性を捉えなおしてきた気鋭が、
  沖縄における内発的発展の可能性を探る
 



● 連 載

■ 石牟礼道子の句 「狐の時刻」
 
■ 古文書から見た榎本武揚 ―― 思想と信条 3 「蝦夷の大地、 燃ゆ」
合田一道
■ 近代日本のアジア外交の軌跡 7 「日露戦争における日本の対ロシア世論工作」
小倉和夫
■ 水の都市論 ―― 大阪からの思考 8 「島」
橋爪紳也
■ 伝承学素描 15 「伝承と設計 【神道未来像片影】」
能澤壽彦



● 〈書物の時空〉

■ 名著探訪
 
 『胎児の世界』 (三木成夫 著)
大沢文夫
 『江戸後期の詩人たち』 (富士川英郎 著)
高橋英夫
 『アジアが生みだす世界像』 (鶴見俊輔 編)
針生一郎
 『20世紀の歴史』 (ホブズボーム 著)
安丸良夫

■ 書 評
 
 『都市計画家 石川栄耀』 (中島直人ほか 著)
谷川竜一
 『奈良貴族の時代史』 (森公章 著)
宮瀧交二

■ 連 載
 
 明治メディア史散策 2 友人としてのメディア
粕谷一希
 本をめぐる対話 4 比較という思想 【西洋・非西洋・日本】
平川祐弘+粕谷一希


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