異形の明治

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  • 新保祐司 著
  • 四六上製 232頁
    ISBN-13: 9784894349834
    刊行日: 2014/8

「日本の近代」を問い直すための最良の鑑

「理想」に摑まれ、「絶対」に貫かれた、「化物」たちの時代――山田風太郎、服部之総、池辺三山、清沢洌、尾佐竹猛、吉野作造、福本日南らの「歴史の活眼」を導きとして、明治という国家が、まだ骨格を固める以前の近代日本の草創期に、国家への純粋な希求に突き動かされた人々の、「明治初年の精神」に迫る。


目次

序 章 明治初年的異形
 第一節 旧約期の明治
 第二節 「台木」と「接木」

第一章 山田風太郎の明治小説
 第一節 山田風太郎の真骨頂
 第二節 「すっとんきょう過ぎ」る時代

第二章 服部之総の『明治の政治家たち』
 第一節 「人間のわかる人」
 第二節 逆縁という宿命的な親近性

第三章 池辺三山の『明治維新――三大政治家』
 第一節 服部之総の「実にしゃれたセンス」
 第二節 池辺三山と西郷隆盛
 第三節 大久保論の白眉

第四章 清沢洌の『外政家としての大久保利通』
 第一節 『暗黒日記』の誤った評価
 第二節 明治の精神を受け継いだ評論家

第五章 尾佐竹猛の『明治秘史 疑獄難獄』
 第一節 「歴史の活眼」
 第二節 大津事件

第六章 吉野作造の「聖書の文体を通して観たる明治文化」
 第一節 吉野の明治文化研究
 第二節 エンジェル・原胤昭
 第三節 明治初年という「怪奇」な時代

第七章 福本日南の『清教徒神風連』
 第一節 精神史的事件としての神風連
 第二節 「絶対」の出現した時代

 あとがき
 人名索引

関連情報

「明治初年的異形」は、江戸の日本が西洋の文明とぶつかった衝撃から生まれたものであり、その坩堝のような激しい精神の劇は、まさに異形なるものといわざるをえないものであった。内村鑑三は、「武士道に接ぎ木されたる基督教」といういい方をよく使ったが、「明治の精神」とは、つまり「接ぎ木」である。江戸時代に醸成された武士道や儒教、あるいは国学的な教養といったものによって形成された「台木」としての日本人の精神に、西洋文明のさまざまなものが「接ぎ木」されたのであった。夏目漱石とか森鴎外といった漢文的な教養の深い青年に、英国文学や独逸文学といった西洋文学が「接ぎ木」された。岡倉天心には、西洋美術が、中江兆民には、仏蘭西の共和思想が、それぞれ「接ぎ木」された。彼らの「台木」と「接ぎ木」されたものは、強烈なまでに対比的なものであった。あえていえば、「異物」が突き刺さったのである。このような苛烈な「接ぎ木」の結果、育っていった樹木が、「異形」になるのは、ある意味で当然であろう。しかし、「明治初年的異形」は、単に変な「異形」ではなかった。実に豊かで深い精神的果実をその奇怪にのびた枝々にたわわに付けたのである。
(本書より)

著者紹介

●新保祐司(しんぽ・ゆうじ)
1953年生。東京大学文学部仏文科卒業。文芸批評家。現在、都留文科大学教授。
著書に、『内村鑑三』(1990年)、『文藝評論』(1991年)、『批評の測鉛』(1992年)、『日本思想史骨』(1994年)、『正統の垂直線――透谷・鑑三・近代』(1997年)、『批評の時』(2001年)、『国のさゝやき』(2002年)、『信時潔』(2005年)、『鈴二つ』(2005年)[以上、構想社]、『島木健作――義に飢ゑ渇く者』(リブロポート、1990年)、『フリードリヒ 崇高のアリア』(角川学芸出版、2008年)がある。また編著書に、『北村透谷――〈批評〉の誕生』(至文堂、2006年)、『「海ゆかば」の昭和』(イプシロン出版企画、2006年)、『別冊 環18 内村鑑三 1861-1930』(藤原書店、2011年)がある。
2007年、フジサンケイグループ第8回正論新風賞を受賞。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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