知識欲の誕生――ある小さな村の講演会1895-96

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  • アラン・コルバン
  • 築山和也 訳
  • 四六変上製 208ページ
    ISBN-13: 9784894349933
    刊行日: 2014/10
  • 話題作『記録を残さなかった男の歴史』の姉妹編!

    資料のない歴史を書くことができるのか?
    ラジオやテレビのない、フランスの小村に暮らす農民や手工業者たちは、どのようにして地理・歴史・科学の知見を得、道徳や公共心を学んでいたか。世界唯一の“感性の歴史家”コルバンが、19世紀末に一人の教師がおこなった講演記録のない講演会を、口調まで克明に甦らせる画期的問題作。

    目次


     日本の読者へ


    第1章 講演者・ボモール氏はどんな人物か
    第2章 聴衆はどんな人々だったか
    第3章 「フランスが領土拡張したマダガスカル」(第1回講演)
    第4章 聴衆の知識源は多様
    第5章 「愛国心について――自由・博愛・連帯と祖国防衛」(第2回講演)
    第6章 「共和政のために命を捧げたヒロイン、??シャルロット・コルデー」(第3回講演)
    第7章 「ジャンヌ・ダルクは誰のものか」(第4回講演)
    第8章 聴衆は知識を口伝えで得ていた
    第9章 「どのようにして農業の生産性を上げるか」(第5回講演)
    第10章 「祖国防衛のための団結について」(第6回講演)
    第11章 「フランスとプロイセンの戦い――ロスバッハとヴァルミー」(第7回講演)
    第12章 「フランスの植民地建設――アルジェリア、チュニジア、スーダン」(第8回講演)
    第13章 聴衆が植民地について知っていたこと
    第14章 「霜の被害を避けるには――原因と影響」(第9回講演)
    第15章 「勤労の大切さ」(第10回講演)
    結論

     出典について/原注/書誌について
     訳者解説
     関連年表(1339-1994)
     フランス植民地帝国の版図

    関連情報

    ■失われた世界の中心に位置する人物の名はポール・ボモール。19世紀末、リムーザン地方のモルトロール村で教壇に立っていたこの小学校教師は、1895年から96年にかけての冬、大人向けに全10回の講演をおこなった。本書で著者アラン・コルバンが試みるのは、そこで語られた言葉の可能なかぎり忠実な再現である。
    ■残念ながら、実際の講演原稿は残されていない。ゆえに、ここで紹介される講演記録はすべて古文書などの資料を駆使して作り上げられた架空の再構成である。だが、コルバンは歴史家の嗅覚と想像力を自在に発揮して演説に息を吹き込み、その迫真的な語り口とともに講演者ボモールの姿を蘇らせる。そこが本書の一番の読みどころともいえよう。
    ■埋もれた歴史の中から発掘され復元されるのは講演の内容や話者の人物像だけではない。著者が明るみにだそうと努めるのはむしろ、聴衆である村人たちにおける「知識欲の誕生」と彼らを取り巻く知的環境の変化である。
    (「訳者解説」より)



    アラン・コルバン(Alain Corbin)
    1936年、フランスのオルヌ県に生れる。カーン大学卒業後、歴史学の教授資格取得(1959年)。リモージュのリセで教えた後、トゥール(フランソワ・ラブレー)大学教授として現代史を担当(1972-1986)。1987年よりパリ第一(パンテオン・ソルボンヌ)大学教授として、モーリス・アギュロンの跡を継いで19世紀史の講座を担当した。現在、パリ第一大学名誉教授。
    “感性の歴史家”としてフランスのみならず西欧世界の中で知られている。
    主な著書に、『娼婦』『においの歴史』『浜辺の誕生』『時間・欲望・恐怖』『人喰いの村』『音の風景』『記録を残さなかった男の歴史』『風景と人間』『空と海』『快楽の歴史』『英雄はいかに作られてきたか』(いずれも藤原書店刊)などがある。

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