東アジア国境紛争の歴史と論理

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  • 石井明・朱建栄 編
  • 執筆者=石井明・岡田充・朱建榮・孫占坤・邵漢儀・笘米地真理・原貴美恵・村田忠禧・矢吹晋
  • A5上製 408頁
    ISBN-13: 9784865783605
    刊行日: 2022/9

我々は「国境」問題にいかに向き合うべきか

近代の戦争と植民地の歴史の遺産として、複雑な国境事情が随所に残る日本周辺と東アジア。「尖閣」問題に焦点を当て、その歴史を再検証するとともに、他国・地域の実例をも参照し、「紛争」化を回避する繊細な外交努力の数々と、今こそ求められる解決への展望を、気鋭の執筆陣が描く。

●サンフランシスコ平和条約発効70年、日中国交正常化50年


目次

はじめに (石井明)

序 主権国家体制下、頻発する国境紛争 (石井明)

Ⅰ 国境紛争の歴史的考察
   1 近現代東アジア国際関係史と北方領土問題――米国の関与と背後の論理 (原貴美恵)
   2 領土問題の日独比較 (孫占坤)
   3 中国の「国境政策」の変遷とその特徴――「海の国境」紛争を解決するための示唆 (朱建栄)

Ⅱ 激化する尖閣諸島(釣魚島)の帰属をめぐる紛争
   4 沈没に向かう東アジア国際秩序と浮上してきた「魚釣島」 (村田忠禧)
   5 二つの「国際秩序」の衝突――1874年「台湾出兵」をめぐる日清両国の攻防とその延長にある「釣魚台/尖閣問題」
     (邵漢儀)
   6 日本政府の「尖閣」主権主張の形成とその論理――国会答弁にみる政府見解の変遷と背景 (笘米地真理)
   7 「尖閣棚上げ論」後退の分岐点――2010年漁船衝突事件と世論の変化 (岡田充)

Ⅲ 国境紛争の解決策を求めて
   8 中ソ国境画定交渉前史――交渉推進には信頼関係構築が必要 (石井明)
   9 南シナ海紛争と海洋法仲裁裁定 (矢吹晋)
   10 尖閣諸島(釣魚島)紛争解決ロードマップ試案21世紀の新「棚上げ」へ何が必要か (朱建栄)

あとがき (朱建栄)
参考文献/主要人名索引/地名・事項索引

著者紹介

【編者】
●石井 明(いしい・あきら)
1945年千葉県生まれ。1970年3月東京大学大学院社会学研究科博士課程中途退学。東京大学教養学部助手、助教授を経て、2007年3月東京大学大学院総合文化研究科教授を定年退職。同年6月東京大学名誉教授。同年10月―2009年3月北海道大学スラブ研究センター客員教授。2010年4月―2022年3月日本大学国際関係学部客員教授。主著に『中ソ関係史の研究 1945-1950』(東京大学出版会、1990年、第7回大平正芳記念賞受賞)、『中国国境――熱戦の跡を歩く』(岩波書店、2014年)など。

●朱 建栄(しゅ・けんえい)
1957年上海生まれ。1982年中国・華東師範大学外国語学部卒業。1984年上海国際問題研究所付属大学院で法学修士号を取得。1986年来日、総合研究開発機構(NIRA)客員研究員。1992年、学習院大学で博士号(政治学)を取得。1992年4月東洋女子短期大学助教授。1996年4月より東洋学園大学教授。主著に『毛沢東の朝鮮戦争――中国が鴨緑江を渡るまで』(岩波現代文庫、2004年)、『毛沢東のベトナム戦争――中国外交の大転換と文化大革命の起源』(東京大学出版会、2001年)、『中国外交――苦難と超克の100年』(PHP研究所、2012年)など。

【執筆者】(編者除く・掲載順)
●原貴美恵(はら・きみえ)
ウォータールー大学レニソン東アジア研究教授、バルシリー国際問題大学院(BSIA)フェロー。オーストラリア国立大学より博士号取得(Ph.D.:1997)。カルガリー大学助教授・准教授を経て現職。この間、東京大学、京都大学、武漢大学、フランス国立東洋言語文化学院、アムステルダム大学、ストックホルム大学、ロシア科学アカデミー東洋学研究所、(米国)東西センター等で客員研究員及び客員教授。主著・編著にCold War Frontiers in the Asia-Pacific: DividedTerritories in the San Francisco System(Routledge, 2007)、『サンフランシスコ平和条約の盲点――アジア太平洋地域の冷戦と「戦後未解決の諸問題」を考える』(渓水社、2005)、『「在外」日本人研究者がみた日本外交』(藤原書店、2009)、Japanese-Soviet/Russian Relations since 1945: A DifficultPeace(Routledge, 1998)など。カナダ在住。

●孫 占坤(そん・せんこん)
1962年中国河南省生まれ。1982年4月に日本へ留学。名古屋大学大学院法学研究科等を経て、現在、明治学院大学国際学部教授。専門は国際法、東アジア地域の安全保障。「国際法における『自治』の概念とその機能」(『法政論集』202号、2004年)、「中国から見た日米安保」(『法律時報』増刊号、2010年6月)、「国際法における先住民族の自決権――サーミ条約の意味するもの」(『国際学研究』51号、2017年)などの論文がある。

●村田忠禧(むらた・ただよし)
1946年神奈川県生まれ。1986年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程を単位取得の上退学、文学修士。東京大学教養学部助手、横浜国立大学教育学部助教授、同教授を経て横浜国立大学名誉教授。主著『チャイナ・クライシス「動乱」日誌』(編著、蒼蒼社、1990年)、『現代中国治国論――蒋介石から胡錦涛まで』(編著、勉誠出版、2004年)、『日中領土問題の起源――公文書が語る不都合な真実』(花伝社、2013年)、『史料徹底検証 尖閣領有』(花伝社、2015年)など。訳書に『周仏海日記』(共訳、みすず書房、1992年)、『日本軍の化学戦――中国戦場における毒ガス作戦』(大月書店、1996年)、『毛沢東伝 1893-1949』(上・下、共訳、みすず書房、1999・2001年)、『「毛沢東の私生活」の真相――元秘書、医師、看護婦の証言』(蒼蒼社、1997年)など。

●邵 漢儀(しょう・かんぎ)
1974年アメリカ生まれ、台湾育ち。アメリカのシカゴ大学卒業、コロンビア大学で修士号を取得。台湾の国立政治大学国際法学研究センター研究員。主著に“Revisiting the Diaoyutai/Senkaku Islands Dispute: Examining LegalClaims and New Historical Evidence under International Law and theTraditional East Asian World Order,” Chinese (Taiwan) Yearbook ofInternational Law and Affairs, Volume 26 (2008), 「釣魚台列嶼主権新論」(陳純一編『愛国学人――紀念丘宏達教授学術研討会会議実録曁論文集』台湾、三民書局、2013)、「従《外交部档案》解析中華民国対釣魚台列嶼主権之確立過程」(台湾『中華国際法与超国界法評論』誌第11巻第1号、2015年)、「従解密档案解析美国対釣魚台列嶼政策之形成曁一九六八―一九七一年中華民国対美交渉過程」(台湾『中華国際法与超国界法評論』誌第12巻第1号、2016年)など。

●笘米地真理(とまべち・まさと)
1971年東京都生まれ。中国・中山大学中退。2017年、法政大学大学院公共政策研究科博士課程修了。博士(公共政策学)。法政大学大学院政策科学研究所特任研究員、日本政治法律学会理事。『尖閣問題――政府見解はどう変遷したのか』(柏書房、2020年)、『尖閣諸島をめぐる「誤解」を解く――国会答弁にみる政府見解の検証』(日本僑報社、2016年)、共著『生徒人権手帳――「生徒手帳」はもういらない』(三一新書、1990年)、「国会議員秘書制度の発展と衆議院秘書協議会の歴史」(『日本政治法律研究』第3号)など。

●岡田 充(おかだ・たかし)
1948年北海道生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。共同通信客員論説委員。主著に『中国と台湾――対立と共存の両岸関係』(講談社現代新書、2003年)、『尖閣諸島問題――領土ナショナリズムの魔力」(蒼蒼社、2012年)、『米中新冷戦の落とし穴――抜け出せない思考トリック』(花伝社、2021年)。「21世紀中国総研」で「海峡両岸論」http://www.21ccs.jp/ryougan_okada/index.htmlを連載中。

●矢吹 晋(やぶき・すすむ)
1938年郡山市生まれ。1962年東京大学経済学部卒。東洋経済新報社記者を経て、1967~76年アジア経済研究所研究員、1971~1973年シンガポール南洋大学客員研究員、香港大学客員研究員。1976年横浜市立大学助教授・教授を経て、2004年横浜市大名誉教授。現在、21世紀中国総研ディレクター、朝河貫一博士顕彰協会会長。主著は『天皇制と日本史――朝河貫一から学ぶ』(集広舎、2021年)、『矢吹晋著作選集・チャイナウオッチ』(全5巻、未知谷、 2022年)。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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