- 中内敏夫 著
- 普及版によせて=太田素子
- A5並製 520頁
ISBN-13: 9784865784954
刊行日: 2026/4
今よみがえる、教育・教育史の原点!
“無名の民衆の歴史”研究から出発し、近代社会における「人づくり」の理論として「教育学」を再定位した中内敏夫(1930-2016)。教育研究の新たなパラダイムを提示した“教育原論”三部作、満を持して復刊!
目次
〈普及版によせて〉 太田素子
序論 〈教育〉的なものの概念――人格形成の種々の技の、あるあり方としての
原論Ⅰ 目標と評価を結ぶ
第1章 結び目の課題
第2章 目標論
第3章 評価論
第4章 目標づくりの組織論
原論Ⅱ 教材と施設の世界
第1章 教育的メディア論の課題
第2章 教材・教具論
第3章 施設・設備論
第4章 教材づくりの組織論
原論Ⅲ 指導過程と学習形態
第1章 演出の技の理論的課題
第2章 指導過程論
第3章 学習形態論
補論 ひとつの教員養成論
結語
関連情報
■「〈教育〉は、養育、考え方や行動の仕方の見習い、学芸を授けることなど、種々の人づくりの技のあるあり方につけられている呼称である。
個人の育成という目的とその育成のしごとの社会性との間の矛盾は、〈教育〉という人間形成概念にふくまれている内部矛盾である。
人づくりのしごとはその深部で世代交代の世界と連動している。現代の特徴は、この交代のシステムが出身階層、ジェンダー、民族、さらには年齢の枠などの規制をとりはらったところで虚実ないまぜた能力の自由市場化の波に洗われている点にある。〈教育〉という人づくりはこの市場化された世代交代の世界に根を下している。」 (「結語」より)
■中内敏夫の“教育原論”三部作『学力と評価の理論』(1971年)『教材と教具の理論』(1978年)『指導過程と学習形態の理論』(1985年)を再編集し、教育研究の新しいパラダイムとして目標・評価一体論を提起した名著(『中内敏夫著作集』第一巻、1998年)が、今、甦る。
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「中内敏夫は温厚な佇まいのなかに現実批判が極めて鋭く、言葉少なく語られる現状認識にハッとさせられることが少なくなかった。」
「中内が『あらゆる教育の理論は、実践の段階に入ると教材・教具論に収斂されてくる』として、教材・教具など具体的な教育実践のメディアのレベルで、一元的に子ども理解、文化財の理解、教育目標を具体的に問おうとすることの革新性は瞠目に値する。」
「“教授過程と学習過程”では、一般には子どもの認識過程や学習集団論が念頭に浮かぶが、中内が教育学者として扱う主題は、人格と学力問題、学習過程に即すと“態度”と“習熟”の問題である。今日のコンピテンシー論とどこが重なるか、改めて注目したい。」
「大衆化した今日の大学では、多くの教育学者が教員養成を通じてアクチュアルに教育の実際と直面している。この普及版刊行を機に、中内の議論が多くの方々にご検討いただけることを楽しみにしたい。」 (太田素子)
著者紹介
●中内敏夫(なかうち・としお)
1930年高知県生まれ。一橋大学名誉教授。教育学博士。教育学・教育史。54年京都大学教育学部卒業。61年東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。成蹊学園教育研究所所員を経て、國學院大學助教授、お茶の水女子大学教授を歴任。75年頃より京都府教育研究所の評価論研究に協力。84年一橋大学教授。94年中京大学教授(~2001年)。その後、教育目標・評価学会の同人活動等。2016年3月没。
主要著訳書に『学力と評価の理論』(国土社、1971年、改訂増補版1976年)『新しい教育史』(新評論、1987年、改訂増補版1992年)『綴ると解くの弁証法』(渓水社、2012年、改訂増補版2013年)『中内敏夫著作集』(全8巻、藤原書店、1998-2001年)アリエス『「教育」の誕生』(共編訳、藤原書店、1992年)『人間形成論の視野』(共編、大月書店、2004年)『心性史家アリエスとの出会い――“二十世紀末”パリ滞在記』(藤原書店、2014年)ほか多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです