- 岡部伊都子 著
- 新版に寄せて=三砂ちづる
- 四六並製 360頁
ISBN-13: 9784865784985
刊行日: 2026/5
日常の暮らしから、社会問題まで
原点は“食卓”
伝統・美術・自然に細やかな視線を注ぎながら、戦争や差別を鋭く追及してきた随筆家、岡部伊都子の出発は、双の手のひらで結んだおむすびの心を綴る『おむすびの味』。手料理をたのしみ、もてなす好評作、待望の新版。
【増補】『あまカラ』誌寄稿より「お揚げさん」他
【寄稿】三砂ちづる「一ページの宇宙」
目次
一ページの宇宙――新版に寄せて(三砂ちづる)
●夜中のお餅
うずらそば/ジュース/おむすびの味/おこげ/ひややっこ/ふろふきの味/お茶漬/丸かぶりずし/テレビおむすび/寒いちご/卯の花月/家ごとのすしの味/西瓜好き/おむすびころりん/木の実/かきの冬/雛の膳/うるおい/干しうどん/夜中のお餅/梅干
●美しいお茶
木の芽でんがく/柿の葉ずし/夏の献立/後片づけとひやごはん/ピロシキ/春の貝/美しいお茶/仙なるわさび/遠いわかさぎ/霊菌 椎茸/水墨大根/春迎え酒/寒夜の凍豆腐/葛の根っこ/繊細な京野菜/白魚/飯蛸/さより/たけのこごはん/蓬粥/鮎/そうめん/蓮供養/粟餅/むかごめし/月見豆/菜飯/芋粥/漬物樽/湯豆腐/鍋焼きうどん/小豆粥
●野菜のこよみ
三つ葉芹/柚/みぶな/かぶら/蕗のとう/にんにく/水菜/わけぎ/菜種菜/もやし/ブロッコリー/わらび/木の芽/たけのこ/わさび/椎茸/えんどう豆/パセリ/じゃがいも/アスパラガス/そら豆/じゅんさい/胡瓜/玉葱/青梅/かぼちゃ/紫蘇/ごぼう/とうがらし/なすび/生姜/オクラ/とうもろこし/枝豆/すだち、かぼす/松茸/ごま/里芋/くるみ/小豆/さつまいも/きゃべつ/ほうれん草/蓮根/銀杏/白菜/かんぴょう/葱/大根/山の芋/人参/百合根
●四季の菓子
菓子を思う/干柿/せんべい/安倍川餅/すはま/かりんとう/田舎まんじゅう/うぐいす餅/砂糖漬/酒まんじゅう/節分菓子/ドーナツ/椿餅/みかさ/夜の梅/雛菓子/甘酒/プリン/よもぎ餅/カスティラ/あんころ/吹きよせ/みつ豆/桜餅/花見だんご/ぽーぽー/わらび餅/こんぺいとう/ちまき/綿菓子/かきもち/汁粉/みたらし/水羊羹/はったい粉/サーターアンダーギー/水無月/どろやき/白玉/ぼうろ/ところてん/みぞれ/観世水/でっちようかん/粟おこし/最中/紅芋の甘納豆/落雁/お萩/栗きんとん/月見団子/餡パン/甘栗/水飴/きんつば/村雨/じょうよう/ゆべし/豆板/シュークリーム/大福/煉羊羹/ぜんざい/たいこ焼/菓子と人
初版あとがき
●〈増補〉お揚げさん
お揚げさん/メロンの棚/松茸ご飯/とれとれの鰯/弁当箱/かんさいだき・合のり/久留美餅・あん餅/瓢たん家/氷菓とラーメン/相合橋の北・南/このところ
編集後記
関連情報
あさり、しじみ、そしてはまぐり。
貝は太古からの人のいとなみを思い起させる。
道具らしい道具とて持たず、舟らしい舟とて作れなかった頃の先祖たちは、木の実や貝を採って食べていた。石を運んで魚たちを誘いこむくふうをしてみたかもしれない。貝は、そのままでも食べられる風味豊かな食べもの。もし、火を使うことができたなら、その汁は今も同じ、香り高いご馳走である。
各所にうずたかく残っている貝塚は、貝のいのちをしたたか吸いこんで暮した人間の、貝への密接な甘えのあとだ。当時の人びとには、磯づたいの漁しかできなかった。浅い浜辺に呼吸する貝、岩場にくいついている貝を、どんなに頼みとしていたろう。 (「春の貝」より)
著者紹介
●岡部伊都子(おかべ・いつこ)
1923年大阪に生まれる。随筆家。相愛高等女学校を病気のため中途退学。1954年より執筆活動に入り、1956年に『おむすびの味』(創元社)を刊行。美術、伝統、自然、歴史などにこまやかな視線を注ぐと同時に、戦争、沖縄、差別、環境問題などに鋭く言及する。2008年4月29日歿。
著書に『岡部伊都子集』(全5巻、1996、岩波書店)『思いこもる品々』(2000)『京色のなかで』(2001)『弱いから折れないのさ』(2001)『賀茂川日記』(2002)『朝鮮母像』(2004)『岡部伊都子作品選・美と巡礼』(全5巻、2005)『遺言のつもりで』(2006)『ハンセン病とともに』(2006)『清らに生きる』(2007)他多数。共著に『まごころ――哲学者と随筆家の対話』(鶴見俊輔と共著、2004)『シカの白ちゃん』(中国語対訳・李広宏、2005。以上藤原書店)他。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです