ジョルジュ・ヴィガレロ
後平澪子 訳
A5上製 440ページ
ISBN-13: 9784894348516
刊行日: 2012/04
ファッション、美容、エステは、いつ誕生したか?
ルネッサンス期から現代までの「美人」と「化粧法・美容法」をめぐる歴史。当初、普遍的で絶対的なものとしてあった「美」は、「自分を美しくする」技術や努力が重要視されるなかで、個性的なもの、誰もが手にしうるものとして徐々に“民主化”され、現代の化粧品、ファッション、エステ、ダイエットが示すごとく、“美の追求”は万人にとっての強迫観念にまでなった。
目次
序
第I部 啓示される美 16世紀
第1章 記述されるからだ、序列化されるからだ
存在の力、言葉の限界/「上」の勝利/部分の積み重ね/奇妙な目の威力
第2章 美人の「性別」
女性の美の象徴/男、この美しいよりも「恐ろしい」存在/体質の序列/
徳性の序列/物腰、ようす、気品/社会的なものと鈍重さ
第3章 唯一の美
説明不可能な輝き/美しさの宿る「場所」/規範と理想
第4章 顔の炎と体液
人工的な手段と懐疑心/トラブルの世界/体液と顔の色/
造形しなおされる「上」
第II部 表現力豊かな美 17世紀
第5章 顔か胴か?
町と美的な光景/胴、ポルトレ、言葉/美は「ありのままになる」
第6章 魂とフォルム
輝きから調和へ/目の輝きから、その奥底へ/女優の魅力/唯一の美?
第7章 純化と圧縮のはざまで
体液の重さ/からだを圧縮する/貴人の胴、庶民の胴/
女性の姿勢、男性の姿勢/「化粧をほどこされた美」に対する「武力闘争」
第III部 感じられる美 18世紀
第8章 機能的なものの発見
感覚と感情の記録/美学と機能/からだ全体の「構造」から顔面角へ/
からだ全体の「構造」から、性別の差異へ/より自由なシルエット?
第9章 個人の美しさ
個人化された美?/個性化の技/ヘアスタイルが頭部を「整える」/
顔の色を選ぶ/アカデミーの関与/差別化のビジネス
第10章 引き締まるからだ、美しくなるからだ
繊維を強化する/「美容風呂」/長い杖を手にした歩き女たち/
姿勢と矯正/大衆の美
第IV部 「求められる」美 19世紀
第11章 ロマン主義の美
目と無限/技巧への讃美/「湾曲」と言葉/ブルジョワ的外形/
「活動的な」女性、パリジェンヌ/ダンディと女らしさ
第12章 人体の勝利
プリーツの震え/ヒップの出現/ほの暗い情欲/裸体の「正常化」/
むきだしの夏の装い/戦闘の解剖学
第13章 美しくなるための市場
「下」を細くする/自己観察/百貨店は「女の殿堂」/
美の大使と「スター」/「ビューティ・ケア」市場
第V部 民主化された美? 1914―2000年
第14章 「現代のシルフィード」
ラインと紡錘形/ギャルソンヌ・ルック/「戸外」での生活と美/
数字を見つめる視線/コードとコンテスト
第15章 スターに近づく
美の製造工場/「セックス・アピール」の美学/
手の届くモデル、届かないモデル/美学の勝利、意志の勝利/
全体主義へと流される/化学者から外科医へ
第16章 「消費のもっとも美しい対象」
「解放された」スター/消費される美/両性具有の幻想/
平等の体制における美/ゲイカルチャーから「心的抑制から解放された」美まで
第17章 「試練」としての美、現代の美
アイデンティティーの中核にあるもの/「奥深い」からだに対する信仰/
幸福感の美学/テレビの魅惑、音楽の魅惑/「すべて」を選べる/
美の規範と自我の試練
結論
原注
作品名・書名索引
人名索引
訳者あとがき