〈序〉 福島原発事故の本質を問う
井野博満
今、ここで起こっている悲劇
津波さえ防げれば安全か?
「事故の場合も破局的にならない」 技術を
急を要する避難と補償
“新しい技術” を構想する
第1章 福島原発事故の原因と結果
井野博満
はじめに ―― 原発の安全性を問う
2007年の柏崎刈羽原発被災
最終的には “原発をなくす” こと
I 原子力発電のしくみ
II 福島原発では何が起こったのか
STEP1 冷却材喪失
STEP2 燃料棒の破損
STEP3 格納容器の閉じ込め機能喪失
STEP4 水素爆発
STEP5 海水の注入
STEP6 炉心溶融
STEP7 高濃度汚染水の流出
不測の事態は起こるか
事故は収束するか
蒸発量の推定
生産される汚染水の量
熔けた燃料棒はどうなるか
Ⅲ 放射能汚染
大気、 食べ物・水の汚染
単位の話 ―― “ベクレル” と “シーベルト”
放射線被曝の法定限度 ―― 「年間1ミリシーベルト」 を厳守
食品の暫定規制値
生活クラブ生協の見解
放射能はどれぐらい危険か
被曝労働が横行している
子供が被曝させられる
Ⅳ 事故の責任と今後考えるべきこと
―― 福島原発事故は人災
安全審査のお粗末
津波は想定外か?
耐震安全性は十分だったか?
地震動を原因にしたくない?
事故対応のお粗末
原子力安全委員会の事故対応のお粗末
事故解説のお粗末
産官学のもたれ合い構造
原子力は最悪のエネルギー
これからの技術のあり方は “脱原子力” が前提
取り返しのつかない大地・海の汚染 ―― 何をなすべきか
第2章 福島原発で何が起こったのか
―― 原発設計技術者の視点から ――
後藤政志
Ⅰ 震災と原発
原子炉の構造
格納容器の設計条件 ―― 「事故条件」
地震・津波時に起こったこと
Ⅱ 事故の経緯
1号機のデータと事故の進展
“ベント” という矛盾
冷却系がすべて壊れた
4号機の事故経緯1 ―― 使用済み燃料プール
4号機の事故経緯2 ―― 燃料の装荷・保管状況
Ⅲ 原子力安全の崩壊
「原子力安全」 の崩壊1 ―― 制御棒挿入の失敗
「原子力安全」 の崩壊2 ―― 原子炉の破壊
格納容器からの漏れ
格納容器の破壊
格納容器ベント
冷却の問題 ―― 福島原発の現状
シビアアクシデント (苛酷事故)
どのように考えるべきか?
炉心が冷却されているか?
Ⅳ 「安全」 とは何か
今後の課題1 ―― 汚染水の処理
今後の課題2 ―― 自然環境条件の “安全” に関する考え方
安全性の考え方 ―― グレーゾーン問題
不確かな問題をどうみるか? ―― 完璧なフェールセーフは可能か
事故はまだ収束していない
事故防止の考え方と対象技術の受忍
第3章 放射線被曝の考え方
瀬川嘉之
放射線被曝の現状 ―― 医療被曝
Ⅰ 汚染の概要
どのような形で被曝するか ―― 予測が大切
外部被曝と内部被曝
放射線はなぜ危険か
年間の被曝線量
飲食物の規制値
Ⅱ 放射線の影響とは
被曝線量の考え方
放射線の危険性 ―― 発がん
発がんの頻度・リスク
放射線感受性
Ⅲ 放射線防護の考え方
① 急性障害と晩発性障害
② 累積の被曝線量に応じた影響
③ 一ミリシーベルトを超えない
防護のためにできること
質疑応答
〈補遺〉 事態の進展 ―― 事故から三ヶ月を経て
(井野博満)
〈付録1〉
「福島原発震災」 をどう見るか ―― 私たちの見解
(柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会)
〈付録2〉
福島第一原発の事故経過と放射能汚染
原子力・放射能関連年表