- 井野博満・後藤政志・瀬川嘉之
- 井野博満 編
- A5並製 224ページ
ISBN-13: 9784894348066
刊行日: 2011/6
事故は果して収束するか!?
今何が起きているのか!? 何をするべきか!?
・・・・・・科学者、技術者らが大激論!!
3月11日福島第一原発事故は、原発の安全性について我々がいかに無自覚であったかを痛感させた。事故時には広範囲に恐ろしい放射性物質を撒きちらす原発。周辺住民とくに子供たちの安全、作業員の被曝労働、環境や食品の汚染……問題は何も解決していない。専門家が問題の本質を見きわめ、徹底討論!
井野博満 (東京大学名誉教授 工学博士)
後藤政志 (元東芝・原子炉格納容器設計者)
瀬川嘉之 (高木学校)
【図版多数】
目次
〈序〉 福島原発事故の本質を問う
井野博満
〈序〉 福島原発事故の本質を問う
井野博満
今、ここで起こっている悲劇
津波さえ防げれば安全か?
「事故の場合も破局的にならない」 技術を
急を要する避難と補償
“新しい技術” を構想する
第1章 福島原発事故の原因と結果
井野博満
第1章 福島原発事故の原因と結果
井野博満
はじめに ―― 原発の安全性を問う
2007年の柏崎刈羽原発被災
最終的には “原発をなくす” こと
I 原子力発電のしくみ
II 福島原発では何が起こったのか
STEP1 冷却材喪失
STEP2 燃料棒の破損
STEP3 格納容器の閉じ込め機能喪失
STEP4 水素爆発
STEP5 海水の注入
STEP6 炉心溶融
STEP7 高濃度汚染水の流出
不測の事態は起こるか
事故は収束するか
蒸発量の推定
生産される汚染水の量
熔けた燃料棒はどうなるか
Ⅲ 放射能汚染
大気、 食べ物・水の汚染
単位の話 ―― “ベクレル” と “シーベルト”
放射線被曝の法定限度 ―― 「年間1ミリシーベルト」 を厳守
食品の暫定規制値
生活クラブ生協の見解
放射能はどれぐらい危険か
被曝労働が横行している
子供が被曝させられる
Ⅳ 事故の責任と今後考えるべきこと ―― 福島原発事故は人災
安全審査のお粗末
津波は想定外か?
耐震安全性は十分だったか?
地震動を原因にしたくない?
事故対応のお粗末
原子力安全委員会の事故対応のお粗末
事故解説のお粗末
産官学のもたれ合い構造
原子力は最悪のエネルギー
これからの技術のあり方は “脱原子力” が前提
取り返しのつかない大地・海の汚染 ―― 何をなすべきか
第2章 福島原発で何が起こったのか
―― 原発設計技術者の視点から ――
後藤政志
第2章 福島原発で何が起こったのか
―― 原発設計技術者の視点から ――
後藤政志
Ⅰ 震災と原発
原子炉の構造
格納容器の設計条件 ―― 「事故条件」
地震・津波時に起こったこと
Ⅱ 事故の経緯
1号機のデータと事故の進展
“ベント” という矛盾
冷却系がすべて壊れた
4号機の事故経緯1 ―― 使用済み燃料プール
4号機の事故経緯2 ―― 燃料の装荷・保管状況
Ⅲ 原子力安全の崩壊
「原子力安全」 の崩壊1 ―― 制御棒挿入の失敗
「原子力安全」 の崩壊2 ―― 原子炉の破壊
格納容器からの漏れ
格納容器の破壊
格納容器ベント
冷却の問題 ―― 福島原発の現状
シビアアクシデント (苛酷事故)
どのように考えるべきか?
炉心が冷却されているか?
Ⅳ 「安全」 とは何か
今後の課題1 ―― 汚染水の処理
今後の課題2 ―― 自然環境条件の “安全” に関する考え方
安全性の考え方 ―― グレーゾーン問題
不確かな問題をどうみるか? ―― 完璧なフェールセーフは可能か
事故はまだ収束していない
事故防止の考え方と対象技術の受忍
第3章 放射線被曝の考え方
瀬川嘉之
第3章 放射線被曝の考え方
瀬川嘉之
放射線被曝の現状 ―― 医療被曝
Ⅰ 汚染の概要
どのような形で被曝するか ―― 予測が大切
外部被曝と内部被曝
放射線はなぜ危険か
年間の被曝線量
飲食物の規制値
Ⅱ 放射線の影響とは
被曝線量の考え方
放射線の危険性 ―― 発がん
発がんの頻度・リスク
放射線感受性
Ⅲ 放射線防護の考え方
① 急性障害と晩発性障害
② 累積の被曝線量に応じた影響
③ 一ミリシーベルトを超えない
防護のためにできること
質疑応答
〈補遺〉 事態の進展 ―― 事故から三ヶ月を経て
(井野博満)
(柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会)
原子力・放射能関連年表