歴史の仕事場(アトリエ)

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  • フランソワ・フュレ
  • 浜田道夫・木下誠 訳
  • 四六上製 384ページ
    ISBN-13: 9784865780253
    刊行日: 2015/06

歴史学は、社会の諸現象を理解する全体の知である。

家族・犯罪・信仰・書物・衣食住……アナール派第三世代において多様な広がりをもつに至った歴史学は、一方で細分化されて散らばってしまった。
「歴史学はそれでも社会諸現象を最大限理解できる諸条件を一つにまとめる包括的で全般的な知であり続ける」として、“社会科学としての歴史学”を追究した、画期的論文集。



目次

 はじめに

Ⅰ 歴史学の現在
 フランスの知識人――マルクス主義から構造主義へ
 歴史のなかの数量
 物語史から問題史へ
 歴史学と民族学

Ⅱ 古典文化のなかの歴史学
 歴史学の誕生
 十八世紀フランス王国における「書籍出版」
 十八世紀フランス社会の二つの歴史的正当化――マブリーとブーランヴィリエ
 ギボンにみる文明と野蛮

Ⅲ アメリカとデモクラシーの思想
 未開の人間から歴史的人間へ――十八世紀フランス文化におけるアメリカの経験
 トクヴィル『アメリカのデモクラシー』の概念体系


 原注/訳者解説

関連情報

◎第三世代の登場とともに、歴史の光景は大きく変わった。学際研究は歴史人口学、歴史民俗学となって表れ、家族関係・犯罪行為・民間信仰・書物・衣食住など日常のさまざまな分野が心性史研究の対象としてとりあげられるようになる。あるいはさまざまな「集合心性」というかたちでの社会的意識が新たな概念として提示された。この多様性こそが第三世代の特徴である。

◎しかし同時に、この多様性がある種の危うさを孕んでいたことも事実である。それは、歴史の「炸裂(エクラットマン)」あるいは「細分化(エクラットマン)」といわれるものであり、歴史がパン屑のように散らばってしまった状況を指している。歴史学が社会科学として存在するならば、そうした状況を何らかの方法で克服しなければならない。フュレは、この問題状況を究明することが本書のテーマだという。その意味で本書は、歴史と社会科学について考察し、歴史叙述の新たな地平を見いだすための基本的な材料を提供している。
(訳者解説より)


●フランソワ・フュレ(Fran?ois Furet)
1927年パリ生。歴史家、政治思想史。1956年、国立科学研究センター研究員、フランス革命の研究に着手。1960年、社会科学高等研究院研究員、1977年から85年までは院長を務める。1985年以降はシカゴ大学教授も兼任。フランス革命の研究家として世界的に高い評価を受け、ハンナ・アレント賞(1996)をはじめ、数多くの賞を受賞する。1997年3月、アカデミー・フランセーズ会員に選ばれるが、同年7月に急逝。
邦訳著書に『フランス革命を考える』(大津真作訳、岩波書店、1989)『20世紀を問う――革命と情念のエクリール』(大宅由里子訳、慶應義塾大学出版会、1996)『幻想の過去――20世紀の全体主義』(楠瀬正浩訳、バジリコ、2007)『マルクスとフランス革命〈叢書・ウニベルシタス〉』(今村仁司・今村真介訳、法政大学出版局、2008)他。

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