時代を「写した」男 ナダール 1820-1910

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  • 石井 洋二郎
  • A5上製 488ページ
    ISBN-13: 9784865781441
    刊行日: 2017/10
  • 19世紀随一のトリックスター、決定版評伝!

    写真、カリカチュア、気球、地下世界などメディアとテクノロジーの先端を駆けぬけたその破天荒な生涯と、驚異的な交遊関係から、人類の世界認識が目覚ましく変容した時代相とその変容に直面した知識人たちの素顔をつぶさに描く。
    ★写真 250点

    目次


     序 章 交錯するまなざし

    第一部 ペンを手にしたボヘミアン(1820-1854)
     第1章 パリの悪童
     第2章 ジャーナリズムの青春
     第3章 文学と政治のはざまで
     第4章 カリカチュアの方へ
     第5章 パンテオン・ナダール

    第二部 テクノロジーと芸術のはざまで(1854-1860)
     第6章 肖像写真家としての出発
     第7章 兄弟の確執
     第8章 名士たちの饗宴
     第9章 飛行への欲望

    第三部 都市への新しいまなざし(1860-1870)
     第10章 小さな水晶宮
     第11章 地下世界へのまなざし
     第12章 巨人号の冒険
     第13章 写真への回帰

    第四部 時代の目撃者として(1870-1910)
     第14章 第三共和政の下で
     第15章 時代とともに
     第16章 父から息子へ
     第17章 晩年の日々

     終章 浮遊する気球のように


     あとがき
     年譜/書誌/人名索引

    関連情報

    ロラン・バルトは『明るい部屋』において、ナダールの妻であったエルネスチーヌの晩年の写真を大きく掲げ、その下に
     「世界中でもっとも偉大な写真家は、誰だと思いますか?――ナダールです」
    という問答を記している。このようにバルトが賞賛してやまない破格の人物は、いったいどのような人々と交流し、どのような活動を展開し、どのような生涯を送ったのだろうか?
    本書は、このように並はずれたスケールで時代を駆け抜けたナダールという人物の軌跡を評伝風にたどりながら、その多岐にわたる活動の全貌を明らかにするとともに、歴史をいろどる数多くの著名人との交流関係を通して、彼が生きた一九世紀フランスという時空の肖像を描きだそうとする試みである。特に、これまでは「文学史」「思想史」「芸術史」といった個別の文脈に切り離して語られることの多かったこの世紀の文化の多様な担い手たちを、ナダールという固有名詞をいわば蝶番にして相互に結びつけ、彼の覗きこんだレンズを通して新たな相貌のもとに照射することができればと思う。
    (本書「序章」より)


    石井洋二郎(いしい・ようじろう)
    1951年東京生まれ。東京大学名誉教授。地域文化研究・フランス文学。
    著書:『差異と欲望――ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む』(藤原書店)、『パリ――都市の記憶を探る』(ちくま新書)、『身体小説論――漱石・谷崎・太宰』(藤原書店)、『文学の思考――サント=ブーヴからブルデューまで』(東京大学出版会)、『美の思索――生きられた時空への旅』(新書館)、『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房、第59回芸術選奨文部科学大臣賞)、『科学から空想へ――よみがえるフーリエ』(藤原書店)、『フランス的思考――野生の思考者たちの系譜』(中公新書)など。
    共編著:『文化の権力――反射するブルデュー』(藤原書店)、『フランスとその〈外部〉』(東京大学出版会)など。
    訳書:ブルデュー『ディスタンクシオン?・?』(藤原書店、第8回渋沢・クローデル賞)、同『芸術の規則?・?』(藤原書店)、『ロートレアモン/イジドール・デュカス全集』(筑摩書房、第37回日本翻訳出版文化賞・第9回日仏翻訳文学賞)、バルト『小説の準備』(筑摩書房)など。

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