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消えゆくアラル海 ――再生に向けて

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  • 石田紀郎著
  • 四六上製 344頁 カラー口絵8頁
    ISBN-13: 9784865782516
    刊行日: 2020/1

20世紀最大の環境破壊 琵琶湖の100倍 → 半世紀で、琵琶湖10個分に!!

湖面積が琵琶湖の100倍あった世界第4位の湖、中央アジアのアラル海。
それが、大規模な農地開発により、琵琶湖のたった10個分にまで縮小した。
琵琶湖のほとりで育ち、農学の道に進んだ著者が、アラル海消滅の危機にあるカザフスタンに通いつめ、消滅の現実と再生への希望を描く画期作。



目次


はじめに

第1章 アラル海問題との出会い
第2章 カザフの自然
第3章 二つの大河――シルダリアとアムダリア
第4章 アラル海調査へ
第5章 アラル周辺の疾病とワークショップ
第6章 「アラル海は美しく死ぬべき」か?
第7章 アラル海再生に向けて
第8章 「アラルの森プロジェクト」
終 章 日本の原発事故とカザフの核実験

あとがき
参考文献
図表一覧


関連情報

 アラル海の干上がりと地域社会の崩壊は、ソ連邦政府、すなわち、モスクワ・クレムリンの意向で実施された農業政策の結果である。この政策の結果、シルダリアやアムダリア流域の農耕民には恩恵を施しただろうが、アラル海流域の漁業や漁村は壊滅し、ほとんどの恩恵はモスクワに吸い取られた。
 セミパラチンスクはといえば、大草原の牧民にはなんの恩恵もなく、爾来、半世紀後の今も、放射能に汚染された大地で、多くの障害を抱えながらの生活が続いている。そして、フクシマもまた、もっとも恩恵を受け、利潤を得ている東京からは原発は見えず、これから何十年以上も自宅に戻れない人々が福島にはいる。世界中にあるこの理不尽さを解消し、あらたな価値を創造するのが環境を冠した科学の最大の課題であり、研究者の使命である。(本文より)

 20世紀最大の環境破壊と呼ばれるアラル海環境問題の調査のために沙漠の国に飛び込むことになった。そこで見たものは、かつての沿岸住民が、永遠に広がっているだろうと信じて疑わなかったアラル海の大海原が、ほんの二、三年で湖岸の漁村からは見えなくなり、ついには大沙漠に変わったさまだった。湖面積が琵琶湖の100倍もある世界第四位の湖が、今ではたった琵琶湖10個分にまで縮小したのである。
 筆者が眺めていた琵琶湖は、飲み水に不安を覚えるほど水質が悪化し、アラル海では水量が激減し、湖自体が死滅した。いずれにしても、湖には責任がない。それぞれの湖の流域に住んでいる人間社会の責任である。
 アラルの環境破壊の点検作業を通して、地域の環境特性を大事にした人の生き方を模索しなければ、人類に将来はないことを確信した。(本文より)

【著者紹介】
石田紀郎(いしだ・のりお)
1940年生まれ。63年に京都大学農学部卒業。同学部助手、助教授を経て、京都大大学院アジア・アフリカ地域研究科教授に。03年に退官した後、NPO法人「市民環境研究所」を設立し、代表理事に就任。その後、京都学園大学バイオ環境学部教授を兼任し、同職を10年4月まで務め、その後人間環境大学特任教授を12年3月まで務めたのち無職となる。40年来、公害や環境・農業問題を中心に、市民運動など幅広い分野で活躍中。
90年からアラル海問題に強い関心を抱き、カザフスタンには毎年渡航。「環境問題を中心とするカザフスタン研究の先導」に対して2018年度(第33回)大同生命地域研究特別賞を受賞。また「カザフスタンとの草の根レベルでの相互理解、友好親善に寄与した」として令和元年度外務大臣表彰。
著書に『現場とつながる学者人生』(藤原書店、2018)『ミカン山から省農薬だより』(北斗出版、2000)『環境学を学ぶ人のために』(共編、世界思想社、1993)他。

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