南方熊楠の謎――鶴見和子との対話

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  • 松居竜五 編
  • 鶴見和子・雲藤等・千田智子・田村義也・松居竜五
  • 四六上製 288頁
    ISBN-13: 9784865780314
    刊行日: 2015/6

鶴見和子が切り拓いた熊楠研究の到達点

熊楠研究の先駆者・鶴見和子と、最新資料を踏まえた研究者たちががっぷり四つに組み、多くの謎を残す熊楠の全体像とその思想の射程を徹底討論、熊楠から鶴見へ、そしてその後の世代へと、幸福な知的継承の現場が活き活きと記録された鶴見最晩年の座談会を初公刊。

目次

第Ⅰ部 鶴見和子とその南方熊楠研究 松居竜五
 1 鶴見和子と南方熊楠
 2 鶴見和子の熊楠研究の到達点
 3 今後の南方熊楠研究へ

うちなる原始人を発見――南方熊楠著『南方熊楠全集』第二巻(1971年) 鶴見和子

第Ⅱ部 南方熊楠の謎〈座談会〉 鶴見和子さんを囲んで
  鶴見和子雲藤 等千田智子田村義也松居竜五
 1 南方熊楠像と南方曼陀羅
 2 熊楠とエコロジー思想
 3 熊楠の人間関係と曼陀羅モデル論
 4 鶴見和子と熊楠の出会い
 5 熊楠はオンナかオトコか
 6 内発的発展論と熊楠評価の行方

編者あとがき 松居竜五

〈附〉鶴見和子 熊野行ノート 1990年8月2日~5日

関連情報

生涯を在野に徹し、研究成果は英語論文を英国の学術誌に直接投稿、その破天荒な生活ぶりから、没後も奇人変人とされて、その実像が隠されていた巨人、南方熊楠。その南方に初めて正面から向き合い、学術的な作法にのっとりつつ、「南方曼陀羅」をキー概念として南方の思想の骨格を描いたのが、比較社会学者・鶴見和子の名著『南方熊楠――地球志向の比較学』(1978年)であった。それから35年余を経て、南方熊楠をめぐる資料の発掘・整理が飛躍的に進展した中で、南方熊楠像はどのように塗り替えられ、その思想の射程はどこまで広がりつつあるのか。
社会学者として樹立した「内発的発展論」と「南方曼陀羅」との統合を生涯のテーマとした鶴見が、死の1年前に、南方研究の最前線に接する研究者四人を招いて歯に衣を着せぬ議論を交した座談会(2005年)、編者松居竜五による書下ろし論考「鶴見和子とその南方熊楠研究」、さらに、鶴見が初めて南方を論じた「うちなる原始人を発見」(1971年)、および初公刊となる鶴見の熊野滞在記「熊野行ノート」(1990年)など貴重な資料的文献をも収録する本書は、鶴見和子の南方熊楠論の到達点であると同時に、それを超えていくための道しるべともなる決定版の一書である。

著者紹介

●鶴見和子(つるみ・かずこ)
1918年東京生。39年津田英学塾卒業、41年ヴァッサー大学哲学修士号取得。65年ブリティッシュ・コロンビア大学助教授、66年プリンストン大学社会学博士号(Ph.D.)取得、69年上智大学外国語学部教授、同大学国際関係研究所所員(~89年。82~84年同所長)。上智大学名誉教授。専攻、比較社会学。95年南方熊楠賞受賞。99年度朝日賞受賞。2006年歿。
主著として、『コレクション 鶴見和子曼荼羅』(全9巻)、歌集『花道』『回生』『山姥』、『鶴見和子・対話まんだら』『邂逅』『曼荼羅の思想』『おどりは人生』『「対話」の文化』『いのちを纏う』『米寿快談』『遺言』『「内発的発展」とは何か』(以上藤原書店)など多数。他に映像作品として、その生涯と思想を再現した『回生―鶴見和子の遺言』と、『自撰朗詠 鶴見和子短歌百選』がある。

●松居竜五(まつい・りゅうご)
1964年京都市生。東京大学大学院総合文化研究科比較文学比較文化専攻博士課程中退。龍谷大学国際学部教授。専攻比較文学比較文化。著書『南方熊楠 一切智の夢』(朝日選書、1991年。小泉八雲賞奨励賞)、共編著『南方熊楠とアジア』(2011年)『南方熊楠大事典』(2012年、共に勉誠出版)『南方熊楠の森』(方丈堂出版、2005年)、共訳書『南方熊楠英文論考 [ネイチャー]誌篇』(2005年)『同 [ノーツ アンド クエリーズ]誌篇』(2014年、共に集英社)他。

●雲藤等(うんどう・ひとし)
1960年北海道生。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。早稲田大学エクステンションセンター講師。専攻、日本近代史・認知心理学。著書『南方熊楠 記憶の世界――記憶天才の素顔』(慧文社、2013年)『南方熊楠と近代日本』(早稲田大学出版部、2013年)、共編著『南方熊楠 平沼大三郎 往復書簡[大正十五年]』(南方熊楠顕彰館、2007年)『高山寺蔵 南方熊楠書翰――土宜法龍宛1893-1922』(藤原書店、2010年)など。

●千田智子(せんだ・ともこ)
1971年愛知県生。2001年東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程修了。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員を経て、東京芸術大学非常勤講師・芸術人類学研究所特別研究員(当時)。著書『森と空間の建築史――南方熊楠と近代日本』(東信堂、2003年)など。

●田村義也(たむら・よしや)
1966年岩手県生。南方熊楠顕彰会常任理事、成城大学非常勤講師。東京大学大学院修士課程修了。専攻、比較文学比較文化。共編著『南方熊楠とアジア』(2011年)『南方熊楠大事典』(2012年、共に勉誠出版)、共訳書『南方熊楠英文論考 [ネイチャー]誌篇』(2005年)『同 [ノーツ アンド クエリーズ]誌篇』(2014年、共に集英社)など。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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