- 岩田 英憲・西村 恭子
- [序]渡辺 俊幸(作曲家)
- A5変上製 176ページ
ISBN-13: 9784865781694
刊行日: 2018/03
「パンの笛のほんとうの奏者は風」
ギリシャ神話の半獣半神の牧神に由来し、長さの違う葦や竹の筒を横に並べて吹く楽器、パンフルート。
その演奏ひとすじに賭ける人生――。
心にのこるエピソードを綴る、珠玉の詩文集。
目次
風に運ばれる天上の調べ――『風魂』によせて 作曲家・指揮者 渡辺俊幸
プロローグ 風の記憶
Ⅰ ウィーンの空の下
クリスマスイヴの決心
小さな町の小さなオーケストラ
ウィーン交響楽団の初仕事
黒澤明をウィーンで観る
ベートーベンが好き!
ベートーベンハウスの十字架
少女は素直な表現者
Ⅱ パンの笛の果てない旅
初めての笛を潰す
オコルソさんの笛と、再会と
竹博士
恩 人
未だ見ぬ国、ルーマニアへ
テロリストに間違われる
出雲の地に吹く虎落笛
左手は心、右手は論理
「牧神パン」が抱く笛
正倉院の「御物」になった簫=パンの笛
天上のオーケストラの中に
楽譜に“息つぎマーク”を入れる時
音の秘密、倍音
植物を楽器に
一点の音を探す
ドナウ・デルタの葦の森
〔対談〕いっぽんのケヤキが結び合わせてくれた
「植物の代弁者」に気づいたコンサート
ケヤキの声を聴いた「再びのコンサート」
樹木医が語る「いのちの役目」のコンサート
東北へ、一本松へ、エールのファイナルコンサート
木も人も同じ「いのち」
Ⅲ 音楽を見つけた瞬間
一九四五年八月六日 午前八時十五分
みんな美しい!
「好きにしんさい」
キャバレー「ハレム」の屈辱
落ちっぱなし、滑りっぱなし
音楽を見つけた瞬間
内モンゴルの“シ”の音
戸田さんからの贈り物
倉橋島の循環
Ⅳ 出合いの奇跡
生意気ルディのくれた絵
グルダンさんの手紙
ザンフィルを追って――日本編
ザンフィルを追って――スイス・アローザ編
小泉文夫という人
童話「とうすけさん 笛をふいて!」
影の主役
「野の花は風と歌う」
「新日本探訪」のテーマは今も
時代劇「風の峠」を吹く
被災の街へ「光あれ」
被爆樹木の笛を
ヤドランカと「幻の歌」
ラブソング「この地球に生まれて」
舞台に出て行く前に
エピローグ 今も、風はふいている
パンの笛を吹いてみたい方へ
あとがき 岩田英憲
関連情報
ずっと探し求めていた音はこの音。直観で分かった。
この夜、僕はパンの笛の演奏家になる、この笛に生涯を賭けると、決心した。
(本文より)