書物のエスプリ

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  • 山田登世子
  • 四六変上製 328ページ
    ISBN-13: 9784865782295
    刊行日: 2019/06

「本も男も、“うらぶれ”がいい。――ことに男は。」

古典から新刊まで様々な本を切り口に、水、ブランド、モード、エロスなど著者ならではのテーマを横断的に語る「エッセイ篇」と、四半世紀にわたり各紙誌に寄せた約120本を集めた「書評篇」。時には書評の枠を逸脱しつつ、書物の世界を自在に逍遥する。
★単行本未収録論考集 最終第4弾!


目次


Ⅰ 活字逍遥
 1 書物の声
  水のバロック/水の衣裳  シャネルの記憶/ブランドの記憶  誘惑者の肖像 パリ・イエスタディ
  ヴィクトリアン・ブラック  声のアクアティーク モードの名前  ヴェネツィアふたたび/
 2 古典再訪
  ベンヤミンの断片  鉄幹と晶子の歌  うらぶれの系譜  硬派本の愉しみ アルセーヌ・ルパンの3冊
  デフォー『ロビンソン・クルーソー』
Ⅱ 書物に抱かれて
 1 文学・思想
 2 歴史・社会
 3 風俗・モード・性
収録書名索引

関連情報

 本は女と思って選べ――そう言ったのはヴァルター・ベンヤミンである。「本と娼婦は、ベッドに引っぱりこむことができる」。
 そういえばツルピカ新刊の女たちの並ぶ「ひら積み」台など、あられもない品のなさ。ごていねいに腰巻までして。こんな露骨な客寄せには冷ややかな一瞥を投げるのみ。ゆかしくも奥まった棚に足を運ぶ。そこにいるのは、立ち姿の「後ろ美人」たち。「本と娼婦は、陳列のときには、背中を見せることを好む」。
 その女たちを、ベンヤミンはパリの街角やパサージュでひやかしていた。ジャズに浮かれる1920年代のパリ、この異郷者が愛したのは、そんな時の喧騒に忘れられたかのような、些細な歴史の痕跡の数々。カフェの片隅や広告など、大文字の歴史からこぼれ落ちた記憶の断片。
 そう、遊歩者ベンヤミンは「断片」の人である。書物は断片を紡いだ織物なのだ。(本書より)

【著者紹介】
●山田登世子(やまだ・とよこ)
1946-2016年。福岡県田川市出身。フランス文学者。愛知淑徳大学名誉教授。
主な著書に、『モードの帝国』(ちくま学芸文庫)、『娼婦』(日本文芸社)、『声の銀河系』(河出書房新社)、『リゾート世紀末』(筑摩書房、台湾版『水的記憶之旅』)、『晶子とシャネル』(勁草書房)、『ブランドの条件』(岩波 書店、韓国版『Made in ブランド』)、『贅沢の条件』(岩波書店)、『誰も知らない印象派』(左右社)、『「フランスかぶれ」の誕生』『モードの誘惑』『都市のエクスタシー』『メディア都市パリ』『女とフィクション』(藤原書店)など多数。
主な訳書に、バルザック『風俗研究』『従妹ベット』上下巻(藤原書店)、アラン・コルバン『においの歴史』『処女崇拝の系譜』(共訳、藤原書店)、ポール・モラン『シャネル――人生を語る』(中央公論新社)、モーパッサン『モーパッサン短編集』(ちくま文庫)、ロラン・バルト『ロラン・バルト モード論集』(ちくま学芸文庫)ほか多数。

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