モナ・リザの左目――非対称化する人類

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  • 花山水清 著
  • 四六上製 312頁
    ISBN-13: 9784865783537
    刊行日: 2022/7

ダ・ヴィンチ以来の快挙! 美術家の透徹した観察眼が人類の見方を根底から変える!
『グレートジャーニー』関野吉晴(探検家・医師)

本来左右対称であるはずの人体の左半身の形と知覚が変化する「アシンメトリ現象」を発見。それは絶滅に向かう種に見られる特徴的な現象でもある。医学・人類学・生物学・歴史・民俗学を横断し、文明の行方を探る問題作!


目次

はじめに 「人類の左半身に現れた異変」

◆美術編 「アシンメトリ現象」から見た美術
 第1章 美術家が見つけた人体の「アシンメトリ現象」
  01 TVゲームが子どもの絵を変えた
  02 人体の形の異変に気づけない現代人の脳
  03 美術の技術が医学では特技になる
  04 美術家だから発見できた左半身の異常
  05 医学に越境した美術
  06 「アシンメトリ現象」に気づいていた解剖学者・三木成夫

 第2章 ミロのヴィーナスはなぜ左右非対称なのか
  01 アシンメトリなミロのヴィーナス
  02 ミロのヴィーナスは左のウエストのくびれがない
  03 ヴィーナスの2千年の肩こり
  04 自画像はなぜ左の顔が多いのか
  05 男性だけの美意識で造られた美の女神
  06 鍛え抜かれたヴィーナスの腹筋
  07 悪役俳優の顔はなぜアシンメトリなのか
  08 左に曲がったコペルニクスの鼻
  09 骨が語るミステリー

 第3章 古代アンデス文明に刻まれた「アシンメトリ現象」
  01 古代アンデスの左右非対称な人々
  02 ペルーの天野博物館の奇妙な土器
  03 性病性梅毒と頭蓋変形
  04 「また来年いらっしゃい」
  05 国立イカ人類学博物館に突入
  06 形態学者イルダ・ヴィダル博士と小片コレクション
  07 消えたパラカスの人々
  08 日本の象形土器はなぜ左右対称なのか
  09 古代アンデスのミイラに世界初のインプラント
  10 ミイラのインプラントの素材を考える
  11 麻酔薬で失明した古代アンデスの人々

 第4章 ミイラになりたかった鑑真
  01 『鑑真和上坐像』の顔はデスマスクなのか
  02 頭と胴体が別々に造られた鑑真像
  03 ミイラになりたかった鑑真
  04 鑑真が体験した炎熱地獄

 第5章 モナ・リザの微笑の謎を解く
  01 世界の名画に表現された「アシンメトリ現象」
  02 モナ・リザの左目
  03 『モナ・リザ』に似た『サルバトール・ムンディ』
  04 展開図を構成するダ・ヴィンチの肖像画
  05 時間経過まで絵画に表現したダ・ヴィンチ
  06 ダ・ヴィンチの絵画と解剖図の共通点
  07 ボルジア家の毒薬の正体
  08 ダ・ヴィンチの「ペルケ、ペルケ」と鏡文字の謎
  09 信仰を超越したダ・ヴィンチの挑戦と山水画
  10 「最後の晩餐」に隠されたユダの秘密

 第6章 ミケランジェロのダヴィデ像に隠された真実
  01 左右非対称に造られたダヴィデ像
  02 「アシンメトリ現象」の再現がマニエリスムを生んだ
  03 モデルの異変を感じとっていたミケランジェロ
  04 なぜダヴィデ像の正中線はズレているのか

◆医学編 「アシンメトリ現象」から見た医学
 第7章 ヒポクラテスの遺言
  01 『ヒポクラテス全集』に遺された「アシンメトリ現象」
  02 ヒポクラテスが後世に託した教訓
  03 ヒポクラテスはなぜ治せなかったのか
  04 背骨は左にしかズレない
  05 背骨のズレによる発痛作用と鎮痛作用

 第8章 「アシンメトリ現象」による発痛作用
  01 ストレスで腰痛になるなら世界平和が実現する
  02 腰痛の真犯人はだれだ
  03 ひざや股関節が痛くなるメカニズム
  04 痛みが出るしくみがわかれば診断法の矛盾がわかる
  05 心理的ストレスは空くじなしの福引
  06 ストレス病因論は時代錯誤の生気論
  07 ウートンの憂いの100年

 第9章 美術家が見たがんの夢ものがたり
  01 がんは炎症である
  02 ハルステッド手術の功罪と帯状疱疹
  03 ブラジャーは乳がんの危険因子なのか?
  04 肺がんは抗がん剤で治るのか
  05 医療被曝で肺がんになる?
  06 重病ほど痛みの警報装置が作動しなくなる
  07 医学の難問を物理で解いてみよう
  08 これでがんはカオスの世界から抜け出せる

 第10章 宇宙ではいつから左が生まれたのか
  01 アリストテレスの時代は人体はアシンメトリなのが常識
  02 神はなぜ内臓の形を左右非対称にしたのか
  03 らせんを描いて上昇する内臓
  04 体の左右の重さのちがいが「らせん」の動きになる
  05 だれも知らない気象病のしくみ
  06 子どもに歯列不正が増えたのはなぜか
  07 形態学の祖としてのゲーテと「らせん」の意味
  08 生長から終息に向かって反転する「らせん」

 第11章 非対称化する人類
  01 半世紀でこんなに増えた人体の異変
  02 危険なのは目の前のコメかコブラか
  03 複合汚染は人体に何をもたらしたのか
  04 初めにオスがシンメトリなメスを選ぶ
  05 絶滅は静かに訪れる

おわりに 幼いころに見た世界

巻 末
 じぶんでわかる「アシンメトリ現象」チェックリスト
 「アシンメトリ現象」(背骨のズレ)が原因だと考えられる症状

関連情報

「アシンメトリ現象」とは、ある日突然、人体の左半身の形と知覚が変化してしまう異常な現象だ。本来なら左右対称であるはずの体が左右非対称になる。しかもそこには「左にだけ現れる」規則性まで存在している。単なる左右非対称な現象を扱った学問分野は多いが、その非対称性が左側だけという側性をもつと、それは全く別次元の話になる。
しかもこの現象は腰痛からがんに至るまで、驚くほど多くの疾患と密接に結びついていることがわかった。しかしそういった個々の疾患よりもさらに深刻なのは、この現象が人類にとって危機的な意味を持っている点だ。体が左右非対称になるのは単なる個性ではない。絶滅に向かう種に見られる特徴的な現象の一つなのである。
(「はじめに」より)

著者紹介

●花山水清(はなやま・すいせい)
美術家。元武蔵野美術大学非常勤講師。
1956年北海道生まれ。1979年武蔵野美術大学油絵科卒業後、売絵制作のかたわら土木作業、季節労働、高校の美術教師、着ぐるみ劇団の端役、喫茶店経営などの後、友人とTV番組やCMの特殊美術制作の会社を設立。「平成教育委員会」や「どうぶつ奇想天外!」などを担当。経営は順調だったが、実業界での生き方をリセットすべく1995年インドへ移住。しかし南印の酷暑で極度の栄養失調に陥り、幾度も生死の境をさまよった末に1年ほどであえなく帰国。現地で覚えたオイルマッサージで糊口をしのいでいるとき、人体の左半身に現れる異常な現象を発見。以後25年間、その原因解明と解消の研究に没頭。医学書に始まりアリストテレス、ゲーテに至るまで文献を漁り、ヒトの体だけでなくウシの鼻の孔まで覗き、古人骨調査のためにはペルーにも赴き、さらにダ・ヴィンチ作品などの西洋美術から日本の肖像彫刻、古今東西のあらゆる資料と格闘・思考して構築した理論は民間療法の世界でも評価され、一般社団法人を通して全国に普及。また医師のチームによる科学的検証も始まっている。
著書『からだの異常はなぜ左に現れるのか』(廣済堂出版刊)ほか。
公式サイトhttps://www.hnym.jp

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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