自決と粛清――フランス革命における死の政治文化

価格: ¥5,830 (税込)
[ポイント還元 233ポイント~]
数量:
在庫: 在庫あり

返品についての詳細はこちら

twitter

  • ミシェル・ビアール 著
  • 小井髙志 訳
  • A5上製 408頁
    ISBN-13: 9784865783780
    刊行日: 2023/2

“自由か、しからずんば死か”――。

フランス革命の第三次議会、国民公会(1792-95)の人民代表者のうち約10%、100名近くが死刑、自死という非業の死を遂げた。
フランス革命史学の最高の継承者が「革命家たちの最期」の詳細な分析に基づいて明かす、“死を賭した政治参加”という革命の美学と、恐怖政治のもとでの“粛清”のメカニズム。


目次

日本の読者へ

序 論
第1章 国民公会,多数の死者を出した議会
第2章 ジロンド派から「プレリアルの殉教者たち」まで――党派的歴史研究
第3章 人民代表者の逮捕と告訴
第4章 「国民の剃刀」,それは屈辱的な死か
第5章 「ローマ人として死ぬ」,自殺の選択
第6章 人民代表者の殺害,それは国民に対する反逆罪,または尊属殺人か
第7章 英雄の死と追放された者の死
第8章 模範的な死の物語からパンテオンへの合祀まで
結 論

訳者解説(小井髙志)
原注

附録
 1 1799年以前に不自然な死で亡くなった96名の人民代表者のリスト
 2 1793年10月に死亡した23名のジロンド派,ミシュレとラマルティーヌの著作における彼らの出現頻度
 3 逮捕を議会決定されたジロンド派代表者(議員)の1793年6月25日の状況
 4 1793年6月から10月にかけてのジロンド派勾留者の移送(逮捕から死亡まで)
 5 シルリの逮捕(1793年8月)
 6 復元された或る物語
   ――憲兵メダにより1802年に陸軍大臣に宛てて出された『テルミドール9日の晩に起きた出来事についての歴史的概要』
 7 死亡の登録
 8 グラフ ①1793年から1795年までの代表者の死亡の年月日
        ②1793年から1795年までの代表者の処刑の年月日
        ③代表者の死亡の類型
 主要人名索引

関連情報

フランス革命の第三次議会、1792年から1795年までの国民公会は、自然ではない死、すなわち非業の死を遂げた代議士を100名近く出しました。それは代議士の約10%にあたっています。彼らの大部分は死刑を宣告され、ギロチンにかけられたのでしたが、他の幾人かは、公開処刑の恥辱を受けるよりも自殺することを選び、他方、殺害されたり、勾留中や流刑中に、あるいは派遣任務中に死亡した代議士もいました。
それらのなかには、ロベスピエール、サン=ジュスト、ダントン、コンドルセ、ブリソ、ペション、そしてヴェルニョのような、とても良く知られている革命政治家が含まれていましたが、その他にも今日ではほとんど忘れられ、フランスの街路や広場にもその名を見出すことのできない、非業の死を遂げた代議士が何人もいました。だが彼らはみな、同じく、政治の必然的成り行きの結果と、司法の適用を受けて、亡くなったという共通の運命をたどった人々でありました。実は、これらすべての非業の死は、歴史の基本的問題に我々を立ち返らせてくれます。どうして党派の政治的対立は、勝者による敗者の政治的排除、さらには身体的除去にまで至ったのか。
(「日本の読者へ」より)

著者紹介

●ミシェル・ビアール(Michel Biard)
1957年フランス・リヨン生れ。ルアン大学名誉教授,元ロベスピエール研究会会長,元『フランス革命史年報』編集長。
主要著作
〈単著〉
『コロ=デルボワ 暗い伝説と革命』(1995)
『共和国の伝道者たち 派遣人民代表者たち(1793-1795年)』(2002)
『あなたはサン=キュロット語を話しますか? ペール=デュシェーヌの辞書(1790-1794年)』(2009)
『1793年。リヨンの攻囲 神話と現実のあいだ』(2013)
〈共著〉
『フランス革命  活力,影響力,論争(1787-1804年)』(2004)
『革命,執政政府と帝政(1789-1815年)』(2009)
『「極」? ヨーロッパにおける左翼の党派的アイデンティティーと烙印(18-20世紀)』(2012)
『恐怖政治! 悪魔たちと向き合ったフランス革命』(2012)
『革命を手引きした人々』(2013)
『1792年,共和国に入る』(2013)
〈編著〉
『恐怖政治の政治 1793-1794年』(2007)
『ロベスピエール 交錯する肖像』(2012)
『恐怖政治の相貌 共和暦2年の例外的政治』(2014)
『国民公会議員の辞典 1792-1795年』全2巻(2022)

【訳者】
●小井髙志(こい・たかし)
疎開中の富山県で1945年に生まれる。東京都台東区浅草出身。
立教大学文学研究科史学専攻修士課程修了,同文学研究科西洋史専攻博士課程中退。フランス共和国リヨン第2大学人間科学部第三博士課程修了(文学第三課程博士)。立教大学名誉教授。
〈著書〉
『リヨンのフランス革命――自由か平等か』(立教大学出版会,2006年)
〈論文〉
« Le fédéralisme dans le procès des Brissotins et les Mémoires des Conventionnels », dans M.Biard et les autres (dir.), L’écriture d’une expérience. Révolution, histoire et Mémoires de Conventionnels. 2016, Société des études robespierristes.
« Un historien japonais Koji Inoue (1910-1989), ses travaux sur l’histoire moderne et contemporaine de France et l’Affaire de Chichibu à l’ère Méiji », La Révolution française, Cahiers de l’IHRf, No.19, 2021.
〈共訳書〉
イヴ=マリ・ベルセ『祭りと叛乱(16~18世紀の民衆意識)』(新評論,1980年。藤原書店,1992年)
アルベール・ソブール『フランス革命と民衆(共和暦2年のパリのサン=キュロット)』(新評論,1983年)

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

ページトップへ