植民地化・脱植民地化の比較史――フランス‐アルジェリアと日本‐朝鮮関係を中心に

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  • 小山田紀子、吉澤文寿、ウォルター・ブリュイエール=オステル 編
  • A5上製 544頁
    ISBN-13: 9784865783797
    刊行日: 2023/2

4地域の研究者の学際的討論に基づく「植民地責任」論をめぐる比較研究の最新成果!

西欧のフランスと東アジアの日本の植民地主義を比較し、植民地と宗主国の関係と「その後」の歴史を植民地側の視点に立って問い直す。
4地域・全14名の論者による野心的試み。


目次

はじめに(小山田紀子・吉澤文寿)

第Ⅰ部 植民地化・植民地支配と民族運動・労働運動
 第1章 日本の植民地化と朝鮮の民族運動――「植民地戦争」の視点から(愼蒼宇)
 第2章 アルジェリア植民地化と植民地支配の構造
       ――ヨーロッパ人農業の発展とアルジェリア人農業の衰退(小山田紀子)
 第3章 フランス植民地帝国の周辺――裁判で見るグアドループ島における日本人労働運動(ル・ルー ブレンダン)

第Ⅱ部 脱植民地化の過程
 第1章 1960年12月の異議申し立て運動
       ――アルジェリア解放闘争における決定的要因の出現(ダホー・ジェルバル(渡辺司訳))
 第2章 アルジェリア戦争と政治交渉――アルジェリア臨時共和国政府GPRAの活動を中心にして(渡辺司)
 第3章 「1965年体制」の現在地――置き去りにされた植民地支配責任の行方を探る(吉澤文寿)

第Ⅲ部 独立/解放後の政治と経済
 第1章 21世紀アルジェリアの支配構造と民衆運動――新自由主義的グローバル化とアルジェリア(渡辺司)
 第2章 植民地経済を維持するアルジェリア――地下資源に依存する産業構造とその転換の可能性(福田邦夫)
 第3章 解放後の南北朝鮮の政治経済(吉澤文寿)

第Ⅳ部 人の移動と被植民者(移民)の地位
 第1章 外国人登録法の指紋押捺制度と在日朝鮮人団体――1956年秋の反対運動を中心に(鄭栄桓)
 第2章 フランスとアルジェリア二重国籍についての一考察(アフメド・マヒウ(渡辺司訳))
 第3章 フランスへのアルジェリア移民
       ――社会学者アブデルマレク・サイヤドを中心に(カメル・シャシュア(小山田紀子訳))

第Ⅴ部 フランス・アルジェリア・日本関係から見たグローバル・ヒストリー
 第1章 幕末日本のフランス公使レオン・ロッシュの生涯――フランス・マグレブ・日本をつなぐ人物像(小山田紀子)
 第2章 通訳・外交官としての宣教師メルメ・カション――日伊条約の交渉を事例に(ル・ルー ブレンダン)
 第3章 アルジェリア戦争と日本人――FLN極東支部の活動(福田邦夫)

第Ⅵ部 植民地と文学
 第1章 日本・アルジェリア・朝鮮を結ぶアジア・アフリカの次元――堀田善衞・マムリ・金石範をめぐって(鵜戸 聡)
 第2章 朴景利の対日認識と歴史観に関する考察――『土地』に描かれた日本・日本人・日本論を中心に(申銀珠)

第Ⅶ部 「記憶の戦争」と植民地責任論
 第1章 アルジェリアの独立と引揚者の歴史――脱植民地化と「記憶の戦争」(小山田紀子)
 第2章 1970年代以降のフランスにおけるアルジェリア戦争とその記憶の教育
       (ウォルター・ブリュイエール=オステル(渡辺司訳))
 第3章 戦争責任論と植民地支配責任論の交点――在日朝鮮人史から考える(鄭栄桓)
 第4章 日本の中学校教科書における植民地支配記述をめぐって(平井美津子)

結び グローバル・ヒストリーと日本・フランスの植民地化・脱植民地化の比較史の交差点にある研究の視点
       (ウォルター・ブリュイエール=オステル(小山田紀子訳))
おわりに(小山田紀子)

関連情報

本書は、フランス‐アルジェリア関係と日本‐朝鮮関係を、植民地化・脱植民地化の歴史をめぐって、アルジェリアと朝鮮の側から描いている点に特徴があるといえよう。特に植民地主義に視点を置いた、西洋のフランスと非西洋(東アジア)
の日本という二つの地域の比較史である。
執筆者は多様なルーツの人々からなり、専門分野も歴史学・経済学・政治学・文学・社会学・法学などからなる学際的な研究であるが、植民地責任論あるいは植民地支配責任を追及するという立場である。
さらにはフランス帝国主義と日本帝国主義という遠く離れた地域を比較するということ、そして時間軸でも19世紀と20世紀にまたがるため、グローバル・ヒストリーへの広がりの可能性も秘めているといえよう。
本書の植民地主義をめぐるこのような比較史が、世界史のグローバルな見方に貢献する一助となれば、執筆者一同、望外の喜びである。
(「おわりに」より)

著者紹介

【編者】
●小山田紀子(おやまだ・のりこ)
大阪府生まれ。新潟国際情報大学教授。1980年津田塾大学大学院国際関係学研究科単位取得満期退学(2014年,国際関係学博士)。専門はマグリブ近現代史とくにアルジェリア近現代史。『アルジェリア植民地支配の構造と展開――フランスの土地政策と農村社会の変容』(博士論文,津田塾大学,2014年)。主著に「人の移動から見るフランス・アルジェリア関係史――脱植民地化と『引揚者』を中心に」(『歴史学研究』No. 846,2008年),『マグリブへの招待――北アフリカの文化と社会』(共著,大学図書出版,2008年),訳書にバンジャマン・ストラ『アルジェリアの歴史』(共訳,明石書店,2011年)など。

●吉澤文寿(よしざわ・ふみとし)
群馬県生まれ。新潟国際情報大学教授。2004年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。専門は朝鮮現代史,日朝関係史。主著に『日韓会談1965――戦後日韓関係の原点を検証する』(高文研,2015年),『〔新装新版〕戦後日韓関係――国交正常化交渉をめぐって』(クレイン,2015年),『歴史認識から見た戦後日韓関係―― 「1965年体制」の歴史学・政治学的考察』(編著,社会評論社,2019年)など。

●ウォルター・ブリュイエール=オステル(Walter BRUYERE-OSTELLS)
フランス生まれ,エクス・アン・プロヴァンス政治学院の現代史教授(Mesopolhis UMR 7064),国防史編纂部(Service historique de la defense)歴史研究部長。専門は戦争史で,特にポストコロニアルと戦闘員の移動に関心がある。Dans l’ombre de Bob Denard (ボブ・デルナールの影で)(Nouveau Monde editions, 2014)を出版し,Revue historique des Armees(軍隊史雑誌)の編集長を務める。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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