〔学芸総合誌・季刊〕環――歴史・環境・文明 vol.16 [特集]「食」とは何か

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  • 菊大並製 328ページ
    ISBN-13: 9784894343719
    刊行日: 2004/01

新しい時代に向けてトータルな知の総合を企図する学芸総合誌

現在の異常とも思える健康ブームの渦中で、とくに食材や食生活のあり方が改めて注目され、「食」に関する情報が氾濫している。しかし、「この食材にはカルシウムが含まれている」「塩分を取りすぎてはいけない」……と問題の一部だけを取り出す情報にわれわれは翻弄されているのではないか。単なる栄養素の足し算引き算からは豊かな「食」は決して生みだされないことは、病院や学校で出される「食事(?)」が十分示しているだろう。「食」をトータルで捉える視点が欠如しているのである。
 本特集は、人間にとっての「食」を根源的、トータルに考え、又あるべき「食」を取り戻すにはどうすればよいかを考える一助とするために企画した。



目次

●明治以後の急激な「食」の近代化は、いかなる問題をもたらしたのか?

「食」とは何か
幕内秀夫+鶴田静+三木亘


 明治以後の近代化の進展の中で、日本の食はどう変化し、それは日本社会および日本人にいかなる問題をもたらしているのか。日本人の食生活の根っ子が忘れ去られ、からだも、食糧を生産する農の現場も破壊の極みにある現在、これからの日本人の食はどうあるべきか、『粗食のすすめ』の著者と、ベジタリアニズム思想家、中東医学・文明史の第一人者が徹底討論!

身土不二の思想
島田彰夫


戦後日本の食と農政
暉峻衆三


日本人は何を食べたらよいか
佐藤章夫


日本の風土と伝統的食文化
市川健夫

発酵食品の神秘
小泉武夫

太平洋戦争時における学童集団疎開と食の実態
石川尚子

食と行
岡田明憲

ベトナムの食文化に萌す光と影 〈フォト・エッセイ〉
久田博幸(写真・文)

豚の逆襲
北代美和子

食糧主権のグローバル政治経済学
 【私たちはどんな食生活で生きたいのか】
勝俣誠

榎本武揚のメキシコ・チアパス・コーヒー殖民
 【資本主義商品としてのコーヒーと近代日本】
臼井隆一郎

脳における食のメカニズム

山本隆

摂食障害
鈴木二郎

日本の農政思想と現代 【農教育の意義と役割】
矢嶋道文

日本の食と日本の農を結びつけるために
中村靖彦

自給率向上への道 【「アメリカ小麦戦略」を超えて】
鈴木猛夫

海洋汚染と魚資源の枯渇にどう対処するか
鷲尾圭司


【コラム】「食」とは何か

阪本寧男  雑穀の食文化
熊谷真菜  B級グルメ――たこ焼きの誕生と日本の食文化
木村紀子  食神名の由来
神崎宣武  食餞と直会
礫川全次  食のタブーとは
小長谷有紀  変容するモンゴル遊牧民の食文化
寺田隆信  燕窩(燕巣)の伝来――中国の高級料理
塚田孝雄  ギリシア・ローマの食文化
南直人  食とヨーロッパ近代社会の成立
真弓定夫  牛乳と戦後日本の食生活

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●編集長インタビュー

  『帝国以後』その後
   著者エマニュエル・トッド氏に聞く
 28ヶ国語に訳され、世界中で大反響を呼んだ『帝国以後』の原書出版から約一年、ますます「狂気」を露わにするアメリカ体制の現在と、アメリカ依存からの脱却が現実化しつつある日本の進路を語る最新インタビュー!
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●寄稿論文
 日米関係からみた日本外交路線
猪口孝

 岸、中曽根、小泉……強固な親米主義者の歴代首相も当初は反米主義者だった。親米路線でなければ何もなせないほどに米国の意向に強く規定されながら、一五年ごとに路線変更を経験した戦後日本外交を概観し、その将来を展望する。
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●寄稿論文
 生成する生命の哲学
 【フランス現象学の鏡に映された西田哲学】
黒田昭信

 フランス哲学、日本哲学、そして西田哲学を今、いかに論ずることができるか? 西田哲学、フランス現象学の可能性と限界を動的に捉えながら、西田哲学の可能性の中心に新たな光を当てる画期的論文。
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《連載》

●河上肇の「詩」と「書」 2
 髪有れども亦た僧の如し
一海知義+魚住和晃

●唐木順三という存在 5
 反転――中世へ 【ニヒリズムとしての現代】
粕谷一希

●〈往復書簡〉吉増剛造―高銀 6
 海の華厳
高銀

●リレー連載・ゾラとわたし 5
 メダンを訪ねて
小倉孝誠
●徳富蘇峰宛書簡 15
  国木田独歩 【ナポレオンになれなかった男】
高野静子


  巻頭短歌 鶴見和子  巻末俳句 石牟礼道子

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