- 菊大並製 384ページ
ISBN-13: 9784894343993
刊行日: 2004/07
新しい時代に向けてトータルな知の総合を企図する学芸総合誌
アメリカによるイラク戦争も一年を経過し、ますます泥沼化を呈してきている。小社は、昨春、フランスの人類学者にして歴史家、エマニュエル・トッド氏による『帝国以後――アメリカ・システムの崩壊』を刊行した。原著は刊行から一年半を経たが、世界中でも27ヶ国語以上に翻訳され世界的ベストセラーとなっている。現在のイラク戦争はヴェトナム戦争の二の舞という声もあり、まさに追い詰められてきているアメリカの現在を考える上でも、本書の重要性は否応なく増してきている。 日本でも昨春の邦訳刊行以来、著者の来日も含めて多大な反響を獲得してきたが、イラク問題、東アジア情勢など、アメリカとの関係の中で日本の進路が深い混迷に陥っている今、日本人が本書をどう読むかが、ますます強く問われている。アメリカからの「自立」を促す本書が、ドイツでとりわけ大きな反響を得たということを、我々はもっと真摯に受け止めなければなるまい。 この特集では、日本及び世界の一線の識者にご寄稿いただき、「帝国以後」の世界において、今我々がいかに対処すべきかを問うてみたいと考えている。
目次
●アメリカは現実を直視できない「イデオロギー国家」にすぎない!
目標を失ったアメリカ
米軍による市民への攻撃や虐待、イラク国民の反発、スペインの撤退、米国内の危機……アメリカはすでに敗北している。これ以上の米軍の駐留は、ベトナム戦争以上の最悪の事態をもたらす!
目標を失ったアメリカ
エマニュエル・トッド 最新インタビュー
(聞き手=I・フランドロワ/訳=荻野文隆)
(聞き手=I・フランドロワ/訳=荻野文隆)
米軍による市民への攻撃や虐待、イラク国民の反発、スペインの撤退、米国内の危機……アメリカはすでに敗北している。これ以上の米軍の駐留は、ベトナム戦争以上の最悪の事態をもたらす!
〈来日記念シンポジウム〉
『帝国以後』と日本の選択
――対米従属からの脱却は可能か?
イラク問題ではアメリカに全面協力を続け、東アジアではアメリカの「核の傘」に依存し続ける日本。アメリカからの自立を強く促す『帝国以後』を日本はどう受け止めるか?
■トッド、日本で語る
アメリカを問い直す
軍事攻勢は「弱さ」の証し
「米国一辺倒」への警告
イラク戦争、米国破綻のきっかけに
米国が今やリスクに
■いま『帝国以後』から何を読みとるか
「核武装」か「米の保護領」か?
なぜアメリカは戦争をしたか
グローバリズムへの徹底抗戦
「アメリカ帝国」という虚妄 【ヨーロッパからの反撃】
残照の観察者として
アメリカ批判から保守的英知へ
ヨーロッパ地政圏とアジア地域システム
『帝国以後』への私注
アメリカ・システムの興隆・崩壊の同時性について
地政学(Geopolitics)と人口政治学(Demopolitics)
●イラク戦争前夜、欧米の一級の知識人が闘わせた激論の記録!
21世紀は、アメリカの世紀となるか?
トッド、ウォーラーステインというまったく異なる専門領域の第一人者が、異口同音に指摘した、「衰退するアメリカ」。
「帝国以後」の国際ガバナンス【いかなる国連改革が必要か?】
帝国以後の日本の選択
世界金融市場からみたイラク戦争
小特集・『帝国以後』は世界でどう読まれたか?
アメリカ
『ニューヨーカー』/『ザ・ネイション』/『ニューヨークタイムズ・ブックレビュー』/『パブリッシャーズ・ウィークリー』/『ブックリスト』
イギリス
『ニュー・ステーツマン』/『ガーディアン』/『インディペンデント』
メキシコ
『グロバリサシヨーン』(インタビュー)/『ラ・ホルナーダ・セマナル』(インタビュー)
フランス
『ル・フィガロ・リテレール』(J‐F・ルヴェルとの対談)/『ル・ポワン』/『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』/『ラ・クロワ』/『リベラシヨン』
ドイツ
『ツァイト』/『ツァイト』(インタビュー)
イタリア
『イル・マニフェスト』(インタビュー)
ロシア
『グローバル政治におけるロシア』
エジプト
『アル=グムフーリーヤ』/『アフバール・アル=ヤウム』
中 国
『世界知識』
韓 国
『デジタル朝鮮日報』/『ハンギョレ新聞』
日 本
『毎日新聞』(養老孟司)/『日本経済新聞』(山内昌之)/『日経ビジネス』(山本茂)/『読売新聞』(白石隆)/『産経新聞』(越智道雄)/『週刊東洋経済』(奥村宏)
『帝国以後』と日本の選択
――対米従属からの脱却は可能か?
エマニュエル・トッド+榊原英資+小倉和夫
(司会)中馬清福(通訳・訳=三浦信孝)
(司会)中馬清福(通訳・訳=三浦信孝)
イラク問題ではアメリカに全面協力を続け、東アジアではアメリカの「核の傘」に依存し続ける日本。アメリカからの自立を強く促す『帝国以後』を日本はどう受け止めるか?
■トッド、日本で語る
アメリカを問い直す
(『朝日』2004・2・4/聞き手=中川謙)
軍事攻勢は「弱さ」の証し
『毎日』2004・2・4/聞き手=佐藤由紀・岸俊光)
「米国一辺倒」への警告
(『読売』2004・1・26/聞き手=泉田友紀)
イラク戦争、米国破綻のきっかけに
(『東京・中日』2004・2・5/聞き手=三品信)
米国が今やリスクに
(「共同通信」2004・1・16/聞き手=軍司泰史)
■いま『帝国以後』から何を読みとるか
「核武装」か「米の保護領」か?
飯塚正人
なぜアメリカは戦争をしたか
池澤夏樹
グローバリズムへの徹底抗戦
井尻千男
「アメリカ帝国」という虚妄 【ヨーロッパからの反撃】
佐伯啓思
残照の観察者として
高成田享
アメリカ批判から保守的英知へ
西部 邁
ヨーロッパ地政圏とアジア地域システム
濱下武志
『帝国以後』への私注
三木 亘
アメリカ・システムの興隆・崩壊の同時性について
武者小路公秀
地政学(Geopolitics)と人口政治学(Demopolitics)
脇村孝平
●イラク戦争前夜、欧米の一級の知識人が闘わせた激論の記録!
21世紀は、アメリカの世紀となるか?
E・トッド+I・ウォーラーステイン+J‐P・フィトゥーシ+I・ラモネ
(司会)R・ドゥブレ(訳・解題=石崎晴己)
(司会)R・ドゥブレ(訳・解題=石崎晴己)
トッド、ウォーラーステインというまったく異なる専門領域の第一人者が、異口同音に指摘した、「衰退するアメリカ」。
「帝国以後」の国際ガバナンス【いかなる国連改革が必要か?】
西川 潤
帝国以後の日本の選択
猪口 孝
世界金融市場からみたイラク戦争
水田正史
小特集・『帝国以後』は世界でどう読まれたか?
アメリカ
『ニューヨーカー』/『ザ・ネイション』/『ニューヨークタイムズ・ブックレビュー』/『パブリッシャーズ・ウィークリー』/『ブックリスト』
イギリス
『ニュー・ステーツマン』/『ガーディアン』/『インディペンデント』
メキシコ
『グロバリサシヨーン』(インタビュー)/『ラ・ホルナーダ・セマナル』(インタビュー)
フランス
『ル・フィガロ・リテレール』(J‐F・ルヴェルとの対談)/『ル・ポワン』/『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』/『ラ・クロワ』/『リベラシヨン』
ドイツ
『ツァイト』/『ツァイト』(インタビュー)
イタリア
『イル・マニフェスト』(インタビュー)
ロシア
『グローバル政治におけるロシア』
エジプト
『アル=グムフーリーヤ』/『アフバール・アル=ヤウム』
中 国
『世界知識』
韓 国
『デジタル朝鮮日報』/『ハンギョレ新聞』
日 本
『毎日新聞』(養老孟司)/『日本経済新聞』(山内昌之)/『日経ビジネス』(山本茂)/『読売新聞』(白石隆)/『産経新聞』(越智道雄)/『週刊東洋経済』(奥村宏)
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