「水俣」の言説と表象

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  • 小林直毅 編
  • A5上製 384ページ
    ISBN-13: 9784894345775
    刊行日: 2007/6

メディアのなかの「水俣」を徹底検証

なぜ初期「水俣病」は、地元では報道されながら全国報道で扱われなかったのか。活字及び映像メディアの中で描かれ/見られた「水俣」を検証し、「水俣」を封殺した近代日本の支配的言説の問題性を問う。従来のメディア研究の“盲点”に迫る!




目次

編者まえがき

小林直毅



総 説 「水俣」 の言説的構築

小林直毅

1 水俣病事件の起源への問い
2 漁村なき 「水俣」 を構築した戦後日本
3 原因と対策はいかに語られようとしていたのか
4 「原因不明」 という言説が隠蔽し、 排除したもの
5 水俣病患者の言説的構築とその表象 ―― 「解決」 という物語による抑圧と忍従


一 「水俣」 をめぐるポリティクスとイデオロギー

第1章 不知火海漁業紛争の中の 「社会不安」 言説

烏谷昌幸

1 分析の焦点としての 「社会不安」
2 不知火海漁民騒動
3 国会調査団の視察
4 公害防止条例制定をめぐる攻防
5 「漁民 = 社会不安」 言説への収斂
6 むすびにかえて

第2章 経済政策のイデオロギーと 「水俣」 の言説

山腰修三

1 高度経済成長へと向う日本社会の中の 「水俣」
2 復興期から高度経済成長期に至る政策文化の言説
3 政策文化に関わるメディア言説の分析 ―― 『朝日』 の記事および社説から
4 水俣病事件の表象と政治
5 戦後日本におけるヘゲモニーの成立 ―― 水俣病事件報道を通じて見えてくるもの

第3章 「全国報道」 における水俣病事件の表象

山口 仁

1 水俣病事件の 「教訓」
2 初期報道期における水俣病事件の表象 (1959~1963年)
3 報道停滞期(1964年前後)
4 報道転換期(1965年~)における水俣病事件の表象
5 全国報道における 「水俣病事件」 の構築の変遷


二 「水俣」 の漁民・労働者・市民

第4章 「水俣漁民」 をめぐるメディア表象

小林義寛

1 漁業被害と見舞金
2 忘れられていた 「漁民」
3 「漁民」 という隠喩連関
4 「豊かな」 海 ―― 「水俣」 および周辺 「漁民」 素描
5 「漁民」 = 「病の統」 ―― 他者化する隠喩

第5章 「チッソ安定賃金闘争」 をめぐるメディア言説

大石 裕

1 はじめに ――水俣病の 「報道停滞期」
2 1960年前後の世相と社会意識
3 チッソ安定賃金闘争
4 安賃闘争と水俣病報道の停滞
5 むすび ―― 住民運動・市民参加論再考

第6章 水俣病をめぐる 「市民」 の思想と心情

伊藤 守

1 はじめに
2 川本輝夫らの座り込みにいたる経緯
3 「市民」 と名乗る人びとにとっての水俣病
4 新聞は 「ビラ合戦」 をどう伝えたのか
5 「市民に愛される患者」 という論理の 「罪深さ」
6 むすびにかえて ―― 「他者」 に耳を傾けることの困難さのなかで


三 「水俣」 の映像表象

第7章 ニュース報道における 「水俣」 の表象

藤田真文

1 水俣病 ―― 最初の記録映像
2 テレビニュースにおける水俣病報道
3 テレビニュースにおける水俣病の映像・言語表象
4 転換点としての1968年

第8章 新聞写真が描く初期水俣病事件

別府三奈子

1 1959年最大のニュース
2 全国紙と地方紙の写真の語り
3 患者の表象
4 週刊誌のルポルタージュ構成
5 公によって広められる害

第9章 テレビドキュメンタリーと 「水俣の経験」

小林直毅

1 「テレビを見ること」 としての水俣病事件の経験
2 テレビと水俣病事件との出会い
3 テレビドキュメンタリーにおける告発の表象
4 水俣病事件を見る経験と記憶


あとがき

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