〔学芸総合誌・季刊〕環――歴史・環境・文明 vol.49 [特集]3・11と私――東日本大震災で考えたこと

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  • 菊大並製 400ページ
    ISBN-13: 9784894348547
    刊行日: 2012/04

3・11の教訓とは何か? 総勢106名の多様な執筆陣が語る特大企画。



目次

■■ 特集:3・11と私――東日本大震災で考えたこと ■■

青木新門 「東日本大震災で考えたこと」
青山? 「科学技術の未熟・未発達と理科知識の欠如」
赤坂憲雄 「なぜ、青森の雪は拒まれたのか」
秋山豊寛 「『怒りの苦さ』について」
石牟礼道子 「花を奉る」
伊勢﨑賢治 「反原発運動が『ファシズム』にならないうちに」
一海知義 「地震と漢詩」
稲泉連 「町と町を結ぶ道」
稲賀繁美 「生き残るということ」
猪口孝 「悲しみと絶望にうちひしがれた若者に力をつける機会を与えよう」
今福龍太 「深井の面の影で」
岩崎敬 「3・11で確認できたこと!」
岩下明裕 「滅び行く国のなかで」
上田正昭 「コミュニティの再建と文化の創生」
宇根豊 「情愛を生産する農業をすてるな」
宇野重規 「危機を見る内外のまなざしのずれ」
王柯 「欲望と科学」
大石芳野 「『動くガレキ』!?」
大川弥生 「新しい課題・『防げたはずの生活機能低下』」
大田堯 「戦後の初心に帰る」
小倉和夫 「災害」
小倉紀蔵 「思考停止とは何か」
小沢信男 「非暴力の潮」
笠井賢一 「芸能から問う現代の危機」
片山善博 「震災復興とそのミッション」
勝俣誠 「3・11以降の世界」
加藤出 「海外からみた震災後の日本」
加藤登紀子 「嵐のような革命の季節を生きている」
金森修 「システムの信用失墜と機能不全」
鎌田慧 「核抜きエネルギー政策へ」
川勝平太 「『命の道』をつくる
河瀨直美 「一歩一歩」
鬼頭宏 「被災地の人口減少と地域再生」
木下晋 「3・11が残した物」
窪島誠一郎 「私の『3月11日』」
熊谷達也 「海の見え方が変わった日」
倉田稔 「未来に負担を残す原発」
黒田杏子 「永六輔さんとの一日」
高銀 「ある隣人の衷心」
小林登 「科学・技術と原発災害」
子安宣邦 「私はツイッターを始めた」
島薗進 「震災を通して死生観を問い直す」
陣内秀信 「〈地域〉主体の発想への転換」
新保祐司 「地震の後に我々が聞いた『声』」
鈴木一策 「生活のあり方の総体が問われている」
鈴木博之 「不可視の都市に」
鈴木文樹 「農業を語り直す」
高成田享 「メロウドと復興」
高良勉 「琉球・沖縄と東日本大震災」
武田徹 「『公』と『私』をいかに繋ぐか」
立川昭二 「災害史へのまなざし」
田中克彦 「究極の浪費は軍備」
田中優子 「変えられるものを変えよう」
中馬清福 「原発がある限り自然災害が自然災害だけでは終わらない」
鄭喜成 「フクシマ」
塚原史 「3・11以後と『デペイズマン』の発想」
津島佑子 「どうしてこんなことに」
辻井喬 「魯迅にとっての近代人」
角山榮 「人類史の大転換を促す大震災」
鶴田静 「今生き残っている私たちへの問い」
富山太佳夫 「冷たい床の上で」
中川志郎 「被災動物救出活動から見えてきたこと」
中嶋鬼谷 「要請される新しい詩」
中野利子 「首都圏の夜の異様な明るさ」
中村桂子 「今ここを充実して生きる」
中村尚司 「石巻の大津波と縄文時代の海進」
中山茂 「外から日本はどう見えるか」
西垣通 「知の裂け目からリアルが覗く」
西川潤 「近現代史の新しいページを告げる3・11」
西川長夫 「二つの廃墟について」
西澤泰彦 「不都合なことを考える必要性」
西舘好子 「劣化したマスコミ」
野村大成 「安全の哲学」
朴一 「それでも原発を輸出するのか」
橋爪紳也 「震災の記憶をいかに伝えるのか」
橋本五郎 「大震災が突きつけたもの」
服部英二 「未来世代の権利」
チャオ埴原三鈴 「国際発信を考え直すために」
早川和男 「『居住福祉』が防災につながる」
原剛 「銀河鉄道は消えたのか」
原田泰 「誤った震災復興策を止めさせなければならない」
星寛治 「価値観を変えなければ」
堀口敏宏 「生きとし生けるものが全て汚染された」
堀田力 「露出した日本の課題」
増田寛也 「東日本大震災と市民社会」
町田康 「地震によって」
松井孝典 「文明の岐路」
松岡正剛 「大津波死ぬも生きるも朧かな」
松島泰勝 「東北自治政府の樹立を望む」
松原隆一郎 「公共財としての景観や人のつながり」
三浦展 「震災が教えた市民の成長」
三神万里子 「被災地とメディア」
三砂ちづる 「つかのまの忘却」
水野和夫 「『近代』の終焉」
武者小路公秀 「優しいけれども怒ると怖い日本列島の自然との共生」
村上陽一郎 「原子力災害を巡って」
室田武 「三号機プール核爆発の可能性」
森崎和江 「わが日常をかえりみつつ」
安丸良夫 「原発災害としあわせ共同体」
山下一仁 「土地利用計画による新生農業の建設」
山田國廣 「汚染ガレキ処理をどう考えるのか」
結城幸司 「3・11という めざめ」
吉川勇一 「『ラッキー・ドラゴン』と福島」
頼富本宏 「ただ祈るのみ」
渡辺京二 「かよわき葦」
渡辺利夫 「東日本大地震が露わにしたもの」

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□講演□
遅れた祈式〔済州四・三事件と私〕 金時鐘

□寄稿□
私の中の朝鮮人像 川満信一

□講演□
わが詩を語る〔『鄭喜成詩選集 詩を探し求めて』出版を記念して〕 鄭喜成(訳=牧瀨暁子)

□寄稿□
植民地主義の歴史と〈記憶〉闘争〔世界史の中に日本を据え直すために〕
アルノ・ナンタ

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■■ 連載 ■■
●金子兜太の句 日常

●石牟礼道子の句 草の径

●携帯電話基地局の電磁波汚染 1(短期集中連載)
学校の近くに基地局ができた 古庄弘枝

●詩獣たち6
詩という空虚を抱え込んで〔ガルシア・ロルカ〕 河津聖恵

●孤独――作家 林芙美子5
ペン部隊漢口一番乗り 尾形明子

●易とはなにか7(最終回)
図表を読む その三 〔「乾坤六子」とはどういうものか〕 黒岩重人

●天に在り――小説・横井小楠9
昇竜の章 小島英記

●近代日本のアジア外交の軌跡17
上海・南京両事件への日本の対応
〔「列国との協調」という対中外交の裏にあっ たもの〕 小倉和夫

●伝承学素描25
伝道古老・高田集蔵 能澤壽彦

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■■ 書物の時空 ■■
●名著探訪
岡田英弘『ヒストリアイ』(ヘーロドトス著)
星 寛治『美しい農の時代』(木村尚三郎著)
角山 榮『リオリエント』(A・G・フランク著)
原田正純『苦海浄土』(石牟礼道子著)

●書評
上品和馬『文化と外交』(渡辺靖著) 「『心と精神を勝ち取る』営為への問い」
小川万海子『終わりと始まり』(W・シンボルスカ著)
 「私はここにいて、見ている それがめぐりあわせ」
西脇千瀬『東北魂』(山川徹著) 「新たな故郷のはじまりに」

●連載 明治メディア史散策12
西郷隆盛と西南戦役〔最後の叛乱から自由民権へ〕 粕谷一希


関連情報

 昨年3月11日14時46分、太平洋三陸沖を震源としたマグニチュード9.0という巨大地震が発生した。地震を引き起こした断層のずれは、南北 に500km、東西に200kmにも及び、被害は広範囲に及んだ。さらに各地に大津 波が押し寄せ、甚大な被害をもたらした。そこに追い打ちをかけ るように福島 第一原発で大事故が発生した。この震災による死者は15854人、行方不明者は3089人に達し(3月28日現在、警視庁発表)、 さらにいまだ帰宅で きない人々も多く、避難者数は、34万1411人に達している(1月26日現在、政府の東日本大震災復興対策本部発表)。
 あれから早や一年になろうとしている。だが、津波の被害に見舞われた多くの地域では、いまだ復旧・復興の見通しすら立っていない。とりわけ福島 第一原発事故については、政府の“事故収束”宣言にもかかわらず、いまだ溶解した核燃料がどのような状態でどこにあるのかすら分かっていない。つまり事故は“現在進行形”で続いていると言わざるを得ない。こうした状況下で、放射能に汚染された周辺地域では、復興どころか、避難民が無事、自宅に戻れるかすら見通せない。除染によって生じる放射性廃棄物の貯蔵・処分場所も定まっていない。さらに地元産品の放射能汚染と風評被害のダブルパンチで被災地の地元経済は壊滅的な被害を被っている。
 この間、震災をめぐって多種多様な言説がメディアを賑わした。だが、政府だけでなく、こうしたメディアの姿勢にも問題はなかっただろうか。連日の膨大な震災報道にもかかわらず、原発事故による放射能汚染のリスクといった肝心な情報ほど、周辺住民や国民に伝えられなかったからだ。
 未曾有の大災害から一年。今、われわれは一人一人、この3・11の教訓をどう受けとめ、どうこれから生きる指針にするかが問われているのではないか。

この震災に際し、〈震災〉〈原発・環境問題〉〈復興〉〈情報〉の4つのテーマで分類し、
小社刊行物の中から関連するタイトルをいくつか集めてみました。
ご参考になれば幸いでございます。

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