なぜ今、移民問題か 別冊『環』20

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  • 編集協力=宮島喬・藤巻秀樹・石原進・鈴木江理子
  • 菊大並製 376頁
    ISBN-13: 9784894349780
    刊行日: 2014/7

「移民問題」の歴史・現在・未来を正面から問う画期的論集

不可避的に迫る「移民社会」到来にどう向き合うのか?
短期的な労働力確保の問題としても、日本社会の長期的な人口維持の問題としても、「移民」というテーマから目を背けることが不可能となってきている現在、労働、教育、法・権利、レイシズムなどの主要な論点について、第一線の論者の寄稿により、長期・短期の歴史を踏まえつつ、多文化共生社会の実現への方途を探る。


目次

〈座談会〉なぜ今、移民問題か
 中川正春宮島喬石原進鈴木江理子 (コーディネーター)藤巻秀樹

Ⅰ 移民政策と日本の未来像
 移民政策の現在と未来  宮島喬
 移民と創る豊かな日本  藤巻秀樹
 人口政策としての外国人政策〔将来推計人口から考える〕  鈴木江理子
 二〇五〇年の「人口危機」を考える〔移民受け入れの長期ビジョンを〕  石原進

Ⅱ 労働政策と移民
 外国人労働者政策の大転換か〔動き出した外国人労働者の受入れ〕  旗手明
 地域経済統合下の外国人政策〔東アジアにおける「循環移民」〕  井口泰
 中国系ニューカマーの現在〔高度人材「技術」在留資格取得者の場合〕  趙衛国
 高度人材はなぜ来ないか  大石奈々
 留学生政策の現在と未来  横田雅弘
 超高齢社会の到来と移民の受け入れ〔介護士・看護師への扉を真に開く〕  安里和晃
 制度化されつつある韓国の移民政策と、「選別/排除」の論理  李惠珍

 〈コラム〉
  二文字屋修 外国人看護師・介護(福祉)士の存在が我々に示唆するもの

Ⅲ 多文化共生はいかにあるべきか
 多様なルーツをもち日本で暮らす人々の「声」〔多文化化する日本の現在〕  鈴木江理子
 多元社会日本〔新たな移民の到来と戦後島国観の転換〕  岡本雅享
 移民は本当に日本の治安を悪化させるのか  郭潔蓉
 池袋の新華僑と世界の中国人ニューカマー  山下清海
 自治体による多文化共生推進の課題  柏崎千佳子
 留学生受け入れと地域の活性化  佐藤由利子
 オーストラリアの多文化政策と移民  チャオ埴原三鈴

 〈コラム〉
  毛受敏浩 移民による地域活性化〔「多文化パワー」の発揮を目指して〕
  榎井縁 地域における多文化共生〔“もてなし”や“支援”を超えて〕
  松岡真理恵 多様な浜松市民とつくる未来
  高橋恵介 多文化共生社会に向けた多言語情報提供の役割
   〔多言語コールセンター担当者として見えてきたこと〕

 日本型多文化共生を超えて〔南米系移民の経験が示す移民政策への含意〕  樋口直人

Ⅳ 教育
 外国につながる子どもの教育〔シティズンシップの視点から〕  塩原良和
 多文化共生教育と自尊感情  善元幸夫
 留学、就労、定住・再移動へのまなざしの変容〔在日中国人の今後〕  坪谷美欧子
 大学進学を果たす日系移民二世たち  イシカワ エウニセ アケミ

 〈コラム〉
  関本保孝 外国人にとっての夜間中学という学びの場

Ⅴ 法=権利と排除の心性
 外国人の権利と市民権〔国際比較の観点から〕  近藤敦
 「移民」と「在日」の権利〔参政権と教育を考える〕  佐藤信行
 日本の入管法制の歴史的展開と現在  明石純一
 新しい在留管理制度とは何か  水上洋一郎
 国際結婚の誕生、その後  嘉本伊都子
 仲介型国際結婚と変容する家族関係〔私的領域の見えない移民の実態〕  李善姫
 入国管理、人権、市民社会の役割〔ヨーロッパと日本〕  エレン・ルバイ
 難民認定「六人」の衝撃〔難民の社会的排除という実態〕  石川えり
 外国人排斥の現状〔新大久保のヘイトスピーチデモ〕  金朋央

 〈コラム〉
  森千香子 レイシズムから見たフランスと日本〔レイシズム=ヘイト・スピーチではない〕

Ⅵ 歴史の中の移民
 中国残留日本人の歴史と現在  猪股祐介
 日系ブラジル移民の歴史と現在  二宮正人
 在日朝鮮人への差別と共生への取り組み
  〔日立就職差別裁判から九一年入管特例法まで〕  藤井幸之助

 〈コラム〉
  石原進 近江の渡来人の里で進む多文化共生の町づくり

資料篇(作成=鈴木江理子)
Ⅰ 外国人/移民関連統計資料
 オールドタイマーとニューカマーの推移/国籍別在留外国人数の推移/
 外国人と日本人の年齢別構成の比較/在留資格別在留外国人数(二〇一三年末)/
 在留資格一覧/難民認定者数の推移/国籍別非正規滞在者数の推移/
 帰化許可者数の推移/国際結婚数の推移/法的地位と諸権利の現状

Ⅱ 戦後の外国人/移民をめぐる年表

関連情報

■日本には200万人を超える外国人が暮らし、多くが就労している。人の受け入れの更なる拡大には国民的合意が必要だが、治安悪化などを理由に懸念を示す人々も少なくない。外国人集住地域では生活習慣の違いを背景に軋轢が起こり、外国人児童・生徒の教育など課題も多い。だが、移民は彼らが背景にもつ異なる文化によって日本に新しい刺激や活力をもたらす存在でもあり、単なる労働力の補充を超えて、豊かな財産を日本社会にもたらす可能性も秘めている。
■日本は単純労働者を受け入れないという方針を維持したまま、バックドア、サイドドアから労働者を受け入れる、まやかしの労働力導入政策をとってきた。むしろ、曖昧で一時しのぎの政府の移民政策にこそ、問題の本質があるのではないか。
■これまでの出入国管理政策や移民を巡る歴史を検証するとともに、日系南米人や外国人技能実習生の受け入れで何が起こっているかなど外国人集住地域の実態を分析し、人口減少、グローバル化時代の移民政策はどうあるべきかを問う。
(「序」より)

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