経済学道案内――基礎編

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  • 阿部照男
  • A5並製 366ページ
    ISBN-13: 9784938661922
    刊行日: 1994/4
  • 渾身の書下し、新経済学入門

    マルクス経済学や近代経済学にも精通した著者が、人類学、社会学などの最新成果を取り込み、科学としての柔軟性と全体性を取り戻す新しい〈人間の学〉としての経済学を提唱。初学者に向けて、その原点と初心を示し、経済のしくみ、価値体系の謎に迫る。

    目次

    プロローグ 「ヘラクレスの柱」 を越えて

    I 経済とは何か

    第1章 経済の原理 ―― 労働の自己矛盾が人間社会を作った

    はじめに 経済の概念
    1 日本語の 「経済」 の語源
    2 英語のeconomyの語源
    3 ドイツ語のWirtschaftの語源
    4 political economy / Volkswirtschaft

    第1節 人間と経済
    1 人間の生活活動の分類
    2 「生産」 と 「消費」 の区別について
    3 経済活動の中核は生産活動である
    4 生産活動の中核は労働である

    第2節 人間と労働 ―― 労働の自己矛盾と社会発展の原理
    1 人間の労働の特徴
    2 労働は自律的に変化する
    3 労働の自己矛盾 ―― 「労働の効用」 と 「労働の不効用」
    4 人間社会の変化・発展の原動力としての労働
    5 社会発展の原理 ―― 労働の自己矛盾の二つの働き
    6 他人支配の諸相 ―― 泥棒・略奪・強盗

    第3節 人間と資本主義・社会主義
    1 もう一つの他人支配 ―― 間接的他人支配
    2 社会の外部・周辺部の資本主義 (商業) から、 社会内部の資本主義 (産業資本主義) へ 
    ―― 近代資本主義の発生――
    3 資本主義とは人間の本性から出てくるものである
    4 人間の本性 ―― 性善説と性悪説
    5 資本主義は他人 (外部) の原理、 性悪の原理
    6 社会主義 (共産主義) は家族 (内部) の原理、 性善の原理
    7 資本主義と社会主義は二者択一のものではなく、 一組の社会原理である

    第2章 経済はいかにして発見されたのか ―― 経済分析の歴史

    はじめに 「経済」 の発見
    1 「埋め込まれた経済」
    2 「離床した経済」
    3 「市場経済」 の展開と経済概念の拡大

    第1節 古代ギリシャ・ローマの経済分析
    1 労働の蔑視
    2 経済活動の位置づけ
    3 貨幣経済の位置づけ
    4 利潤・利子の位置づけ

    第2節 中世キリスト教社会の経済分析
    1 二重の枠に閉じ込められた経済
    2 カトリック教会による全生活の支配
    3 プロテスタントと資本主義の近代化

    第3節 近代社会の経済分析
    1 社会契約説 ―― 人間の発見
    2 重商主義 (mercantilism)
    3 重農主義 (physiocracy)
    4 労働価値説 ―― 労働の発見
    5 マルクス経済学と近代経済学

    第3章 日本経済の原理 ―― 五公五民経済

    はじめに 日本経済の長期発展構造
    1 日本経済の構造転換
    2 日本経済の発展構造

    第1節 日本経済の 「近代化」
    1 明治維新とは何だったのか
    2 「近代化」 とは工業化のこと

    第2節 戦前の日本経済
    1 特殊性 (1) ―― 後発資本主義であること
    2 特殊性 (2) ―― 封建的体質が残っていたこと
    3 「近代化」 の財政的メカニズム ―― 上からの資本形成
    4 戦前の日本経済の矛盾

    第3節 戦後の日本経済
    1 諸改革
    a 財閥解体
    b 農地改革
    c 労働民主化
    2 経済復興のメカニズム
    a 傾斜生産方式
    b 復興金融金庫
    c 経済復興の性格
    3 高度成長の構造
    a 国内市場の拡大・深化
    b 低賃金・高貯蓄
    c 金融体制
    d 技術導入


    II 価格・貨幣とは何か

    第4章 価格分析 ―― 価格の演出者は労働か効用か

    はじめに 価格現象と価値概念 ―― 価格はイレモノ、 価値はナカミ

    第1節 商品と経済財
    1 価格を伴うものは何か ―― 価格分析の到達点
    2 「商品」 とは ―― 「資本制生産様式の元素形態」
    3 「経済財」 とは ―― 希少性をもった財

    第2節 なぜ相異なる認識がでてくるのか
    1 考察の枠組みの違い
    2 視点の違い ―― 生産の目と消費の目と

    第3節 「希少性の原理」 について

    第5章 マルクス経済学の価格理論

    はじめに 理論的枠組み
    1 『資本論』 の論理構造
    2 マルクス経済学の価格理論の構造

    第1節 『資本論』 第1巻の価格理論
    1 「社会的必要労働量」 による価値の決定
    2 価値の貨幣形態 ―― 価格
    3 価値の構成要素
    4 商品の価値は絶えず引き下げられる傾向がある ―― 「特別剰余価値」 の概念
    5 補論 ―― 現代経済における価値と価格の乖離について

    第2節 『資本論』 第3巻の価格理論
    1 剰余価値の利潤への転化
    2 「価値」 の 「生産価格」 への転化 ―― 平均利潤の形成

    第3節 独占価格論

    第6章 近代経済学の価格理論

    はじめに 近代経済学の価格理論の構造

    第1節 限界効用価値説と 「折衷的価値論」
    1 限界効用価値説
    2 「折衷的価値論」

    第2節 需要・供給による価格の決定
    1 需要曲線・供給曲線
    2 短期価格と長期価格
    3 「部分均衡分析」 と 「一般均衡分析」

    第3節 寡占価格論

    第7章 貨幣分析 ―― 貨幣は平和のきずな

    はじめに 貨幣の意味するもの

    第1節 マルクス経済学の貨幣理論
    1 貨幣の本質 ―― 貨幣とは特殊な商品である
    2 貨幣発生の必然性
    3 貨幣商品の変遷
    4 貨幣の諸機能
    a 価値尺度
    b 流通手段
    c 支払手段
    d 蓄蔵貨幣
    e 世界貨幣

    第2節 近代経済学の貨幣理論
    1 貨幣金属説と貨幣名目説の対立
    2 貨幣金属説 (貨幣商品説)
    3 貨幣名目説
    a 貨幣国定説
    b 貨幣指図証説
    c 貨幣機能説
    d 貨幣計算単位説 (抽象説)
    4 貨幣数量説

    第3節 経済人類学の貨幣理論
    1 伝統的経済学の貨幣分析への批判
    2 経済人類学の貨幣観
    3 非市場社会の貨幣と市場社会の貨幣
    4 内部貨幣と外部貨幣
    5 全目的貨幣と限定目的貨幣
    6 日本語の 「支払」 の語源的意味

    エピローグ 交換から資本へ ―― 資本、 この人間的なるものよ
    1 価格・貨幣は現象であり、 交換は本質である
    2 交換の二つの起源
    3 「単純商品生産」 はありうるか
    4 交換から資本へ


    あとがき
    掲載図・表一覧
    収録貨幣一覧
    索 引

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