満洲引揚げ少年、ブラジル移民となる

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  • 加藤仁紀 著
  • 四六並製 312頁
    ISBN-13: 9784865784572
    刊行日: 2025/4

敗戦・引揚げで得た力を糧に、ブラジルに渡り、国際交流に尽力

満洲国に生まれ、敗戦後まもなく医師の父を殉職で失い、妹も栄養失調で失い、母を支え兄弟とともに凄惨な引揚げを5歳で経験した少年は、日本の力を信じ、ブラジルに渡る。
国際交流と相互理解に尽力したかつての少年は、戦後80年を経た日本の未来を案じ、日伯交流に尽した半生を、今、書き遺す。


目次

はしがき――父母から引き継いだことを、未来の日本へ
献辞

Ⅰ 父と母、そして私の満洲
一 殉職した父の思い出――吉林省ペスト防疫所所長・加藤正司
小学校6年生の時の作文「お父さんの死」/父の生い立ち/前郭旗の思い出/満洲での防疫活動と父/父の顕彰――外務大臣表彰、酒井シヅ先生、東北大学医学部/〈補〉加藤家の来歴

二 母を支えて――凄絶な引揚げ体験のなかで
母、加藤満の生い立ち/母を助けた人は誰?/ララ物資への母の礼状/母が語る、父と家族――母の手記より

三 「日本は必ず再興する」――敗戦・引揚げの苦難を乗り越えて
敗戦から引揚げのこと――岡本ミヨ子さんの追想から/新京での越冬――長澤待子さん「引揚げの日日」から/「日本 民族は、きっと国家を再興すると信じます」――吉井武繁氏の手記から/新京防疫の尊い犠牲――伊吹皎三氏「新京敗戦記」から/引揚げ船中の惨状/妹、悦子の戸籍作り

Ⅱ ブラジルと生きる――父の志を継いで
満洲からブラジルへ

一 私の歩み
満洲での幼少期~仙台での高校時代/早稲田大学時代/ブラジル移住/帰国して市場調査会社に勤務/ブラジル日系社会を支援する/NPOを解散し、日伯連帯研究所へ

二 ブラジルから見た日本

三 日伯友好・親善に関わり続ける
親日国ブラジルの発展に貢献した日本移民/日伯相互の絆――NPO法人の設立趣意書から/ララ物資と日系ブラジル人――特定非営利活動法人としての再出発にさいして/在日ブラジル人等支援活動と「憩の園」/ルセフ大統領からのメッセージ/これからのブラジル日系社会への提言――宮尾進氏論文「日伯学園建設こそ百周年記念事業の本命」の紹介/日伯連帯研究所「ONG Trabras」の設立

Ⅲ これからの日本へ――満洲引揚げ少年の遺言
日本の未来を担う若者に伝えたいこと――私の体験から
日本の憂うべき現状――満洲引揚げ者・ブラジル移民だった著者から観て
満洲引揚げ少年の、20の遺言

おわりに――本書出版の意義
あとがき――謝辞として
参考文献

関連情報

私の父は、満洲国においてペスト防疫に命を賭し、大きな科学的業績を挙げた。引揚げ途中で殉職したが、その拠点となったのは、満洲国吉林省前郭旗のペスト防疫所である。本書で、その存在を世に少しでも明らかにすることが出来れば、父達への多少の慰めになるかも知れない。

本書は、死に臨んだ父の気持ちを筆者がどう受け取ったか、父の死後まもなく赤子を抱えた母を中心に故国日本への過酷な引揚げを家族五人でどのように乗り切ったか、引揚船が1946年8月25日に長崎の佐世保港に着き、母の郷里・仙台にたどり着き、その後の母子寮での耐乏生活、紆余曲折・七転八倒の人生を歩むことになった筆者の、筆者なりの父、そして母への恥ずかしながらの、父の跡を継ぐという使命感を果たせなかったお詫びの報告書でもある。  (「はしがき」より)

著者紹介

●加藤仁紀(かとう・よしのり)
1941年1月 満洲国吉林省新京市生
1946年8月 満洲国より引揚(中国葫蘆島港から佐世保港、母の郷里仙台へ)
1960年4月 早稲田大学第一法学部入学
1964年3月 同大学同学部卒業
1964年4月 ブラジルサンパウロ南米銀行(日系銀行Banco America do Sul. S. A.)入行、同年8月渡伯
1964年12月 同行退行、自営(菓子製造・販売)、富田商事フェイランテ
1967年2月 帰国
1967年4月 ㈱綜合調査統計研究所(綜研グループ)入社
1998年 同社取締役退任
2003年 NGOブラジル人労働者支援センター設立
2008年 同センターNPO法人化(ONG Centro de Apoio aos Trabalhadores Brasileiros)理事長就任
2018年11月 NGOブラジル人労働者支援センターが日本財団・社会貢献支援財団第51回社会貢献者賞受賞
2021年11月30日 NPO法人解散
2021年12月1日 日伯連帯研究所ONG Trabras(オンギ・トゥラブラス)設立、代表就任

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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