- 太田素子 著
- 四六並製 496頁
ISBN-13: 9784865784978
刊行日: 2026/5
江戸期農村の豊かな人間形成
“子宝”的観点での子育てから、今、学ぶものとは?
近世農村の家族にあった、子どもへの情愛と、丁寧な子育て。嬰児殺し(子返し)、捨子などの事態とそれらをめぐる意識のありようを直視しつつ、日記などの生活記録を丹念に分析し、共感的な理解に満ちた子ども観、仕事を介した大人―子どものコミュニケーションなど、江戸の豊かな人間形成力を描き好評を博した初版に、江戸期の出生抑制・避妊と性愛に焦点をあてた2編を増補。
●第2回河上肇賞奨励賞/第6回角川財団学芸賞 ダブル受賞作!
目次
増補新版にあたって
初版まえがき
序章 「家と村の人間形成」への問い
第Ⅰ部 日記にみる家族生活と子育て
第一章 近世前期、奥会津農村の家族生活と子育て――角田藤左衛門の日記『萬事覚書帳』と伊南郷の人々
第二章 幕末期、播州農村の家族生活と子育て
第Ⅱ部 子返し・堕胎・捨子・貰子――子どもの生命と政治
第三章 養育事業の展開と奥会津農村の子育て――南山御蔵入領の産子養育関係史料を手がかりに
第四章 教諭活動と習俗の相剋――子育て教諭書『子孫繁盛手引草』『子そだてのおしへ』
第五章 捨子養育と貰子――子どもの労働力と生命の重み
第Ⅲ部 儀礼と文学にみる家族関係――愛着と放任の諸相
第六章 生育儀礼の諸類型と子ども期の概念
第七章 幕末、民間伝承と親子関係――宮負定雄『太神宮霊験雑記』『奇談雑史』を手がかりに
終章 近世農村の子育て文化からのメッセージ
初版あとがき
〈増補〉避妊・出生抑制とセクシュアリティ
「求子」と避妊の社会史――近世前期東北農民の性愛と家族関係
近世中・後期会津農村にみるセクシュアリティ――産科医と性愛文学についての覚書
初出一覧
図表・史料一覧
索引
初版まえがき
序章 「家と村の人間形成」への問い
第Ⅰ部 日記にみる家族生活と子育て
第一章 近世前期、奥会津農村の家族生活と子育て――角田藤左衛門の日記『萬事覚書帳』と伊南郷の人々
第二章 幕末期、播州農村の家族生活と子育て
第Ⅱ部 子返し・堕胎・捨子・貰子――子どもの生命と政治
第三章 養育事業の展開と奥会津農村の子育て――南山御蔵入領の産子養育関係史料を手がかりに
第四章 教諭活動と習俗の相剋――子育て教諭書『子孫繁盛手引草』『子そだてのおしへ』
第五章 捨子養育と貰子――子どもの労働力と生命の重み
第Ⅲ部 儀礼と文学にみる家族関係――愛着と放任の諸相
第六章 生育儀礼の諸類型と子ども期の概念
第七章 幕末、民間伝承と親子関係――宮負定雄『太神宮霊験雑記』『奇談雑史』を手がかりに
終章 近世農村の子育て文化からのメッセージ
初版あとがき
〈増補〉避妊・出生抑制とセクシュアリティ
「求子」と避妊の社会史――近世前期東北農民の性愛と家族関係
近世中・後期会津農村にみるセクシュアリティ――産科医と性愛文学についての覚書
初出一覧
図表・史料一覧
索引
関連情報
16世紀から19世紀にかけて日本を訪れた西欧人は、日本人の温和な子育て習俗と親子関係を紹介し、口をそろえてこれを褒めていた。しかし、いま私たちは日本の子育てが全体としてうまくいっているという自信は持ちにくい。昨今の児童虐待や子どもをめぐる愛憎事件の多出は、近世の「温和な子育て」からは予測しにくい変化である。フロイスやド・モースが褒めた、子育て上手な日本の生活文化とは何もので、いったいどこへ行ってしまったのだろうか。
本書の課題は、江戸時代の農村に住む人々が到達していた濃密な人間関係、とりわけ子どもに対する共感的な理解力や情愛の性格を明らかにすることを通じて、現代の問題を考える手がかりを得ることであった。
しかしそのことは同時に、江戸時代の農村に生きた人々の子育てに伴う苦労や悲しみを明らかにすることでもあった。嬰児殺しや捨子は彼らが直面した子育ての困難を象徴している。本書では嬰児殺しの問題を中心に、彼らの子育ての「光と影」の関係を考察し、また彼らがいかにこの「子育て問題」に取り組んだのかという経験を整理したいと考えた。
(終章より)
本書の課題は、江戸時代の農村に住む人々が到達していた濃密な人間関係、とりわけ子どもに対する共感的な理解力や情愛の性格を明らかにすることを通じて、現代の問題を考える手がかりを得ることであった。
しかしそのことは同時に、江戸時代の農村に生きた人々の子育てに伴う苦労や悲しみを明らかにすることでもあった。嬰児殺しや捨子は彼らが直面した子育ての困難を象徴している。本書では嬰児殺しの問題を中心に、彼らの子育ての「光と影」の関係を考察し、また彼らがいかにこの「子育て問題」に取り組んだのかという経験を整理したいと考えた。
(終章より)
著者紹介
●太田素子(おおた・もとこ)
1948年生。和光大学名誉教授。専攻は教育学。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。埼玉県立大学保健医療福祉学部教授、和光大学現代人間学部教授を歴任。
著書に『江戸の親子――父親が子どもを育てた時代』(中公新書、1994)、『近世の「家」と家族──子育てをめぐる社会史』(角川学芸叢書、2011)他。編著に『近世日本マビキ慣行史料集成』(刀水書房、1997)他。共編著に『人間形成の全体史――比較発達社会史への道』(大月書店、1998)、『シリーズ比較家族第Ⅲ期4 〈いのち〉と家族――生殖技術と家族 1』(早稲田大学出版部、2006)、『「育つ・学ぶ」の社会史――「自叙伝」から』(藤原書店、2008)、『保育と家庭教育の誕生1890-1930』(藤原書店、2012)他。『人間形成論の視野』(大月書店、2004)、『徳川日本のライフコース』(ミネルヴァ書房、2006)などに寄稿。本書初版『子宝と子返し』(2007)は第2回河上肇賞奨励賞(2007)、第6回角川財団学芸賞(2008)を受賞。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1948年生。和光大学名誉教授。専攻は教育学。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。埼玉県立大学保健医療福祉学部教授、和光大学現代人間学部教授を歴任。
著書に『江戸の親子――父親が子どもを育てた時代』(中公新書、1994)、『近世の「家」と家族──子育てをめぐる社会史』(角川学芸叢書、2011)他。編著に『近世日本マビキ慣行史料集成』(刀水書房、1997)他。共編著に『人間形成の全体史――比較発達社会史への道』(大月書店、1998)、『シリーズ比較家族第Ⅲ期4 〈いのち〉と家族――生殖技術と家族 1』(早稲田大学出版部、2006)、『「育つ・学ぶ」の社会史――「自叙伝」から』(藤原書店、2008)、『保育と家庭教育の誕生1890-1930』(藤原書店、2012)他。『人間形成論の視野』(大月書店、2004)、『徳川日本のライフコース』(ミネルヴァ書房、2006)などに寄稿。本書初版『子宝と子返し』(2007)は第2回河上肇賞奨励賞(2007)、第6回角川財団学芸賞(2008)を受賞。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです




