プーチン――外交的考察

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  • 木村汎 著
  • A5上製 696頁
    ISBN-13: 9784865781632
    刊行日: 2018/2

プーチンは世界をどう捉えているか?

ロシア・ゲート、シリア介入、クリミア併合――プーチンの狙いは何か?
内政の停滞をよそに、世界を相手に危険な外交攻勢を続ける“プーチン・ロシア”。我が国ロシア研究の泰斗が、膨大な資料と事例をもとに、その真意を読み解く。
◎〈人間篇〉〈内政篇〉に続く三部作、遂に完結!
◎第32回正論大賞受賞


目次

 ロシア連邦とその関連諸国 地図

はじめに
外交は内政の延長にあらず/本書の構成/誰がロシア外交を決めるのか/プーチン外交の執行機関/ロシア外交の目標/外交の特徴/手段を選ばず/「近い外国」にたいするハイブリッド戦略/アジアへの軸足移動/中ロ、力関係の変化/欧州にたいするアンビバレンツ/ロシアにとっての中東/なぜ、シリアへ介入?/「リセット」はきまって崩壊?/機会主義外交

第1章 主 体
憲法上の規定/プーチノクラシーの指導原理/シェワルナゼとプリマコフ/メドベージェフは悪役/プーチン流決定スタイル/二人のイワノフは反対/プーチノクラシー/プーチン自身のサバイバルのため/安全保障会議/外交への影響/書記の重要性/知識人やシンクタンク/エリツィンの「セミヤー」/プーチンの側近たち/「知的専門家集団」の凋落

第2章 装 置
大統領府/イワノフの更迭/ワイノ任命の理由/外務省/ラブロフ=「現代版グロムイコ」/プーチンの忠実な歯車/軍 部/デリケートな関係/旧KGBなど治安機関/プーチン自身がチェキスト/チェキストの特徴/KGBの限界/議会や政党/オリガルヒ/反抗、忠誠オリガルヒ/徴集オリガルヒ

第3章 論 理(1)
本章、次章を設ける理由/ロシアは冷戦の敗者ではない/ロシア人の主張/NATO不拡大と口約束/賢明な対ロ戦略だったのか/拡大の敢行/拡大のトレード・オフ/被包囲意識/アメリカの「一極主義」に対抗/プリマコフ流「多極世界」の提唱/米国を名指しで批判/内政不干渉の要求/二重尺度の採用

第4章 論 理(2)
「九・一一」時の協力/対米協力の動機/イラク戦争による破綻/カラー革命の原因/米国がそそのかす/プーチン自身が従事/ジョージアへの軍事介入/特殊権益地域/「緩衝地帯」は危険/ウクライナにたいする特殊な思い/武力の脅しによる併合

第5章 特 徴
イデオロギー・フリー/力の相関関係/外交と軍事は表裏一体/手段を選ばず/“柔道型”行動様式/電撃作戦/国際的なルールに囚われず/法律は梶棒と同じ/仮装敵の設定/プーチン式マジック/経済的損得は二次的/戦術に秀で、戦略に劣る/ウクライナ国民の覚醒/事実上、EU寄りへ/NATOの蘇生/小魚を得て、大魚を喪う

第6章 武器輸出
なぜ、兵器を輸出するのか――二つの動機/世界第二位にのしあがる/国営企業による独占/ロシア製兵器の特徴/中国はそろそろ飽和点/二つのタブーを破る/インド、米ロを天秤に?/輸出先の拡大戦略/その他の東南アジア諸国/「ならず者国家」とすら取引/さらなる増大を阻む諸要因/西側諸国からの逆輸入

第7章 ソフト・パワー
あらゆるものを利用/弱体なソフト・パワー/ロシアの努力は緒についたばかり/プーチン流“ソフト・パワー”/マス・メディアは、「もろ刃の剣」/マスコミは死んだ/テレビを最重視/言論の自由の制限/ノーボスチから「RT」へ/政権代弁者、キセリョフ/「RT」の新陣営/G7の対処法/ソチ冬季五輪/五輪、大成功か?/「ポチョムキン村」の中身が問題

第8章 EEU(ユーラシア経済連合)
二十世紀最大の惨事/イズベスチヤ論文/精算機関の必要性/親ロシア、反ロシアの二傾向/鯨とイワシ/ロシアの意図/ベラルーシの計算/中央アジア諸国/ナフタリン臭/砂上の楼閣/五カ国が参加――「ユーラシア経済連合」/鍵はウクライナ/ヤヌコビッチの逡巡/「マイダン革命」/クリミアを得て、ウクライナを失う/プーチン自ら「惨事」を招く/「ミニ・ソ連」は時代遅れ/大きいことは良いことか

第9章 ハイブリッド戦争――ロシアvsウクライナの闘い
「ノボ(新)・ロシア」/「併合」シナリオ/「過剰膨張」の危険/独立国家までは意図せず/キエフを揺さぶる手立て/「ハイブリッド戦争」――ロシアvsウクライナの闘い/軍事力の威嚇と行使/エネルギー資源を外交手段に/天然ガス交渉/石炭、原子力/長期戦が狙い/ハイブリッド戦は大成功/ポロシェンコの譲歩/バランス・シートは?/ロシア異質論/原因でなく症状

第10章 アジア太平洋
ロシアは、アジア太平洋パワーか/鍵は、極東が握る/プーチン発言/地理的特質/人口がなぜ流出?/就職口がない/原料供給地として軽視/雷鳴は轟くも雨は降らず/消えた「極東開発公社」構想/極東発展省の創設/首尾一貫した極東開発政策なし/APEC、初めて主催/またも打ち上げ花火に終わる?

第11章 中 国
経済的相互補完性/ロシア側の事情/一〇年越しのガス・パイプライン交渉/ウクライナ危機の勃発/「東ルート」決着/政治的判断が決め手/対外的PRが狙い/過大評価は禁物/合意と実践は別/将来は不透明/原油価格が変動したら……/東方シフトは、何時から?/クリミア併合がキッカケ/中ロは、便宜的な枢軸/「一帯一路」/「一帯一路」vs「ユーラシア経済連合」/中央アジアは草刈り場に

第12章 中国リスク
拝借の思想/中ロ貿易は、アンバランス/招かざる客/中国の極東進出/驚異的な中国の伸長/ロシアはジュニア・パートナーへ/「中国脅威」論/リスク分散の必要/中国プラス/韓国は中国傾斜/克服すべき障害/日本、有力な選択肢/対日関係の正常化が不可欠

第13章 ブレグジット――英国EU離脱の影響
「ヨーロッパ」の一部?/ロシアは「西欧」ではない/「人たらし」プーチン/首脳間交流を重視/米欧間の分断/英国のEU離脱(ブレグジット)決定/ロシアへの影響は?/珍しく自制――その理由/ロシアにとってのプラス――米・英と対ロ制裁/ロシアにとってのプラス――EU弱体化/英国よりもドイツ/メルケルの発言力/ロシアはEUを必要/蕩児、ヨーロッパへ帰る/EEUとEUの連携?/欧州分断の新しい可能性

第14章 中 東(1)
定義、特徴、重要性/「二大陣営論」/フルシチョフの「第三世界」外交/中東重視の理由――経済・宗教/中東重視の理由――政治・外交/イランにたいする危険な綱渡り/ケーキを食べ、かつ残す/対イラン制裁/制裁解除

第15章 中 東(2)
ロシアは、なぜアサド政権に肩入れするのか/オバマのオウンゴールを利用/勝利をもたらす小さな戦争/冷蔵庫vsテレビの闘い/完全な外国に対する砲撃/長期介入のマイナス/撤退の潮時?/シリア関与のジレンマ/和平プロセスでの狙い/トルコとの微妙な関係/ロシア機撃墜事件/両指導者、互いに譲らず/ロシアによる制裁措置/ロシア国民はおとなしく忖度/エルドアンの屈伏?/プーチンの巧妙な手口

第16章 オバマ
リセット――曖昧な概念/ロシア側の誤解(?)/オバマの誤解(?)/軍備管理の進展/MD配備問題/プーチン、オバマのケミストリー/「米国の陰謀」論/アルバートフの見方/一連の諸事件の発生/スノーデンの亡命/オバマ、最後の置き土産/「リセット」は必ず破綻する/米ロ関係には明らかにパターンあり/新冷戦の到来か?

第17章 トランプ
米大統領選――二重の勝利/トランプのジレンマ/報復措置を採らず/プーチンの巧みな反応?/両指導者の類似性/機会主義/「親ロ派」、総くずれ/「ミニ・リセット」、早くも挫折/モスクワ、暫し静観の構え/トランプの軍拡路線/価値観の対立/プーチンのサバイバル作戦/「リセット」の終焉/熊の穴籠り/アメーバ式行動様式

おわりに
内政と外交は、リンク/トランプも国内志向/二次元ゲーム/外交が内政に奉仕/国内困難から目を逸らす/国際的アクロバットは何時まで?/国内改革が先決

 謝 辞
 プーチン関連年表(1985-2017)
 注
 事項索引
 人名索引

著者紹介

●木村 汎(きむら・ひろし)
1936年生まれ。京都大学法学部卒。米コロンビア大学Ph.D.取得。北海道大学スラブ研究センター教授、国際日本文化研究センター教授、拓殖大学海外事情研究所教授を経て、現在、北海道大学および国際日本文化研究センター名誉教授。専攻はソ連/ロシア研究。
主な著書として、『ソ連式交渉術』(講談社)、『総決算 ゴルバチョフ外交』(弘文堂)、『ボリス・エリツィン』(丸善ライブラリー)、『プーチン主義とは何か』(角川oneテーマ21)、『遠い隣国』(世界思想社)、『新版 日露国境交渉史』(角川選書)、『プーチンのエネルギー戦略』(北星堂)、『現代ロシア国家論――プーチン型外交』(中央公論叢書)、『メドベージェフvsプーチン――ロシアの近代化は可能か』『プーチン――人間的考察』『プーチン――内政的考察』(藤原書店)、『プーチンとロシア人』(産経新聞出版)など多数。
2016年、第32回正論大賞受賞。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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