漢字とは何か――日本とモンゴルから見る

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  • 岡田英弘 著
  • 編・序=宮脇淳子 特別寄稿=樋口康一
  • 四六上製 392頁
    ISBN-13: 9784865783193
    刊行日: 2021/7

「漢字」の本質をめぐる、かつてない鋭い洞察。

「世界史は13世紀モンゴルから始まった」と提唱した歴史家、岡田英弘が見抜いた、「漢字」の用法の特殊な事情とは!? 「儒教」とは本当は何だったか!?
漢字から平仮名・片仮名を発明した日本、そしてモンゴルから俯瞰し、漢字のみを用いてきた漢語世界が抱える困難を鋭く見抜いた、著者の偉業。


目次

序章 岡田英弘の漢字論(宮脇淳子)

第1章 シナにおける漢字の歴史
 漢字の正体──マクルーハンの提起を受けて
 漢字の宿命
 漢字が生んだ漢人の精神世界
 漢字が苦手な中国人
 文字の国の悲哀──漢字は中国語ではない
 漢字文明についてのエッセイ集

第2章 日本の影響を受けた現代中国語と中国人
 漢文から中国語へ
 魯迅の悲劇
 周令飛著『北京よ、さらば』を読む
 日本を愛した中国人──陶晶孫の生涯と郭沫若

第3章 文字と言葉と精神世界の関係
 書き言葉と話し言葉の関係
 日本語は人工的につくられた
 漢字文明圏における言語事情

終章 モンゴルの視点から見た漢字(樋口康一)

関連情報

 秦の始皇帝による文字の統一は、「口頭で話される言語」の統一ではなく、「漢字の書体」とその漢字に対する読み音を一つに決めたことだった。その結果、読み音は、漢字の意味を表す言葉ではなく、その字の名前というだけのものになった。このあと二千年以上、シナ文明では、文字と言葉は乖離したままだったのである。
 長い間、シナには共通の話し言葉はなかった。読み音が地方によってばらばらである漢字を使いこなすためには、一つずつの漢字が持つ意味がわからなければならないが、それを説明する文字はない。だから、漢字を習得するためには、古典の文章をまるごと暗記し、文脈を思い出しながら使うしかない。
 儒教の経典である「四書五経」が、国定教科書になったために、科挙を受験するようなひとにぎりの知識人は、これを丸暗記し、その語彙を使って文章を綴った。そのために漢字を使う人びとが儒教徒に見えたのであって、儒教が宗教として信仰されたわけではない。
(宮脇淳子「序章」より)

【著者紹介】
●岡田英弘(おかだ・ひでひろ)
1931年東京生。歴史学者。シナ史、モンゴル史、満洲史、日本古代史と幅広く研究し、全く独自に「世界史」を打ち立てる。東京外国語大学名誉教授。2017年5月歿。
東京大学文学部東洋史学科卒業。1957年『満文老檔』の共同研究により、史上最年少の26歳で日本学士院賞を受賞。アメリカ、西ドイツに留学後、ワシントン大学客員教授、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授を歴任。
著書に『歴史とはなにか』(文藝春秋)『倭国』(中央公論新社)『世界史の誕生』『日本史の誕生』『倭国の時代』(筑摩書房)『中国文明の歴史』(講談社)『読む年表 中国の歴史』(ワック)『モンゴル帝国から大清帝国へ』『〈清朝史叢書〉大清帝国隆盛期の実像』(藤原書店)『チンギス・ハーンとその子孫』(ビジネス社)他。編著に『清朝とは何か』(藤原書店)他。2016年、『岡田英弘著作集』全8巻(藤原書店)が完結。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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