美術商・林忠正の軌跡 1853-1906――19世紀末パリと明治日本とに引き裂かれて

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  • 木々康子・高頭麻子 編著
  • A5上製 720頁 カラー口絵16頁 モノクロ口絵32頁
    ISBN-13: 9784865783674
    刊行日: 2022/12

未公刊書簡と史資料で辿る“ジャポニスム”発信の先駆者の生涯

19世紀末の約30年間をパリに生き、日本美術の橋渡しに貢献した美術商・林忠正(1853-1906)。仏語未公刊書簡の訳、および林家所蔵資料を駆使して、林忠正の生涯、そして同時代の日仏美術交流に新しい光を当てる。


目次

 まえがき

Ⅰ 史資料を通してみる林忠正の生涯(木々康子)
 1 林忠正の家系・パリへの出発まで
 2 1878年万国博覧会から美術商としての独立まで
 3 林忠正と1889年以降の万国博覧会
 4 友人たち
 5 林忠正の著作、関係文書
 6 帰国と死後

Ⅱ 林忠正を読み直す(高頭麻子)
 1 明治日本の美術政策と林忠正の活動
  〈資料〉高岡銅器維持の意見(林忠正 現代語訳=松島彩華)
 2 日仏ポスター史に林忠正を位置づける
  〈資料〉『外国のポスター』より「日本」の項(林忠正 訳=高頭麻子)
 版画・ポスター関連年表――林忠正と19世紀末~第二次世界大戦の欧米と日本(高頭麻子)

Ⅲ 新発見の林忠正宛て書簡を読む(訳=馬渕明子・池田祐子・三谷理華・高頭麻子・北澤裕佳)
 〈解題〉ジャポニスム衰退後の林忠正――新収録書簡ほかの新資料を通して 
 1 芸術家
 2 西洋画の美術商
 3 日本美術に関するもの

 あとがき
 林忠正関連年表(1843-1906)(和文/英文)/参考文献/主要人名索引

関連情報

越中高岡の蘭方医、長崎家に生まれた林忠正は、富山藩大参事になる林太仲の養子となり、維新直後の東京でフランス学を学んだ。卒業間近の開成学校(現東京大学)を中退し、1878年、万博の通訳としてパリに旅立つ。当時ヨーロッパでは、日本の陶磁器や蒔絵、金工などがブームになり始めていた。林は、日本美術・文化への知識に飢えていた印象派の画家や知識人たちに、フランス語で誠実に応え、そこで生涯にわたる親交が生れた。
彼は、日本人の殆どいないパリで、美術商として二七年間、生きた。フランスの知識人・芸術家や、フランスに来た日本の政治家――西園寺公望、伊藤博文、有栖川宮など――の信頼を得た林は、1900年パリ万博の日本事務官長を務め、系統立てた日本古美術展で成功を収め、日本初の「美術史」も林が序を添え、フランス語で出版された。万博という大仕事を終えた林は、日本での西洋美術館創設を夢みて西洋画500点を携え1905年に帰国するが、翌年病死。
林は、海外では、国を背負って行動する明治の男子として、また父親譲りの愛国心の強さで、日本が一等国と認められるように奮闘した。国内では世界に通用する近代人の育成に努めたが、日清・日露戦争で驕り高ぶった日本人には理解されず、没後には浮世絵を海外流出させた「国賊」とまで言われた――
(「まえがき」より)

著者紹介

【編著者】
●木々康子(きぎ・やすこ)
1929年生まれ。東京女子大学に学ぶ(歴史・哲学専攻)。一貫して、「日本の近代とは何か」を主題として執筆している。著書に『曼殊院から』(川島書店)、『蒼龍の系譜』(第17回田村俊子賞受賞)『陽が昇るとき』『林忠正とその時代――世紀末のパリと日本美術』『春画と印象派――“春画を売った国賊”林忠正をめぐって』(以上、いずれも筑摩書房)、『林忠正――浮世絵を越えて日本美術のすべてを』(ミネルヴァ書房)、『敗戦まで』(はまの出版)、編著書に『林忠正宛書簡・資料集』(信山社)がある。

●高頭麻子(たかとう・まこ)
早稲田大学第一文学部哲学科卒、同大学院フランス文学専攻博士課程中退。日本女子大学文学部助教授・教授を経て、現在、同大学名誉教授。著書に『フランス中世文学を学ぶ人のために』(共著、世界思想社)、『日本文学にみる純愛百選』(共著、早美出版社)、『名作は隠れている』(共著、ミネルヴァ書房)ほか。翻訳にG・デュビィ/M・ペロー監修『女の歴史』(共訳、藤原書店)、N・ヒューストン『愛と創造の日記』(晶文社)、M・ダリュセック『めす豚ものがたり』『亡霊たちの誕生』『あかちゃん――ル・ベベ』(以上、いずれも河出書房新社)『警察調書――剽窃と世界文学』『待つ女』(以上、藤原書店)、木々康子編『林忠正宛書簡・資料集』(信山社)ほか。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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