- 鶴見和子 著
- 特別寄稿=芳賀 徹
- 四六変上製 272頁
ISBN-13: 9784865782790
刊行日: 2020/7
「好奇心」は日本社会をどのように動かしてきたか
古代から現代に至るまで、日本人が外来の文化を貪欲に取り入れる駆動力となってきた「好奇心」。その「好奇心」を手がかりに、日本の自前の「社会変動」のパターンと、その根底にある「多重構造社会」の形成を読み解いた、社会学者としての面目躍如の書、待望の復刊!
目次
鶴見和子『好奇心と日本人』に寄せて 芳賀 徹
第1章 日本人の好奇心
1 なぜ好奇心をとりあげるか
2 この本のすじ書き
3 西洋人のみた日本人の好奇心
4 日本を「先進国」にした好奇心
5 農耕民の好奇心
6 牧畜民の好奇心
7 古代日本人の多重性
8 シャマニズムと好奇心
9 好奇心は原初的心性
第2章 好奇心の社会学
1 ヴェブレンの「無用の好奇心」
2 トマスの「四つの願い」
3 リーヴィの近代化論と好奇心
4 サルの好奇心
5 情動としての好奇心
第3章 好奇心のものさし
1 好奇心の分類
2 好奇心の国際比較
3 好奇心と外来語
第4章 多重構造社会と好奇心
1 緊張処理のパターン
2 独占型・競争型・統合型
3 多重構造型とは何か
4 切り離し
5 使い分け
6 無限抱擁
7 壁と抜け穴
8 開国と鎖国
9 多重構造社会とシャマニズム
10 多重構造社会と天皇制
第5章 のぞき文化
1 パンドラとアマテラス
2 のぞき見型=日本の異類婚姻譚
3 看破り型=中国の異類婚姻譚
4 のぞき文化
第6章 漂流の思想
1 国禁破り
2 中国行
3 フィリピン行
4 ロシア行
5 北米合衆国行
6 還らなかった漂民
7 戦争責任への一つのとりくみ方
8 国境を越える原動力
あとがき
人名索引
編集部付記
第1章 日本人の好奇心
1 なぜ好奇心をとりあげるか
2 この本のすじ書き
3 西洋人のみた日本人の好奇心
4 日本を「先進国」にした好奇心
5 農耕民の好奇心
6 牧畜民の好奇心
7 古代日本人の多重性
8 シャマニズムと好奇心
9 好奇心は原初的心性
第2章 好奇心の社会学
1 ヴェブレンの「無用の好奇心」
2 トマスの「四つの願い」
3 リーヴィの近代化論と好奇心
4 サルの好奇心
5 情動としての好奇心
第3章 好奇心のものさし
1 好奇心の分類
2 好奇心の国際比較
3 好奇心と外来語
第4章 多重構造社会と好奇心
1 緊張処理のパターン
2 独占型・競争型・統合型
3 多重構造型とは何か
4 切り離し
5 使い分け
6 無限抱擁
7 壁と抜け穴
8 開国と鎖国
9 多重構造社会とシャマニズム
10 多重構造社会と天皇制
第5章 のぞき文化
1 パンドラとアマテラス
2 のぞき見型=日本の異類婚姻譚
3 看破り型=中国の異類婚姻譚
4 のぞき文化
第6章 漂流の思想
1 国禁破り
2 中国行
3 フィリピン行
4 ロシア行
5 北米合衆国行
6 還らなかった漂民
7 戦争責任への一つのとりくみ方
8 国境を越える原動力
あとがき
人名索引
編集部付記
関連情報
日本人の好奇心が、社会の発展の歴史においても、個人の成長の過程においても、最も原初的な心性にねざしているのだとすると、わたしたちは、一つの矛盾につきあたる。好奇心とは、新しいものを求める欲求である。変化を好む心である。しかし、もし変化を好み、新しいものを追って、わたしたち自身の中にある原初的な心性を失えば、好奇心の根源も枯渇することになる。
にもかかわらず、わたしたちはどうやら、新奇を求めながら同時に、われらのうちなる原始人を生かしつづけてきたようである。もしそうだとすれば、日本の歴史と社会構造の中に、この新旧の緊張を、両者を同時併存させるようなかたちで処理するメカニズムが、あるにちがいない。
(本書より)
にもかかわらず、わたしたちはどうやら、新奇を求めながら同時に、われらのうちなる原始人を生かしつづけてきたようである。もしそうだとすれば、日本の歴史と社会構造の中に、この新旧の緊張を、両者を同時併存させるようなかたちで処理するメカニズムが、あるにちがいない。
(本書より)
著者紹介
●鶴見和子(つるみ・かずこ)
1918年生まれ。上智大学名誉教授。専攻・比較社会学。1939年津田英学塾卒業後、41年ヴァッサー大学哲学修士号取得。66年プリンストン大学社会学博士号を取得。論文名Social Change and the Individual: Japan before and after Defeat in World War II(Princeton Univ. Press, 1970)。69年より上智大学外国語学部教授、同大学国際関係研究所員(82-84年、同所長)。95年南方熊楠賞受賞。99年度朝日賞受賞。
15歳より佐佐木信綱門下で短歌を学び、花柳徳太郎のもとで踊りを習う(20歳で花柳徳和子を名取り)。1995年12月24日、自宅にて脳出血に倒れ、左片麻痺となる。2006年7月歿。
著書に『コレクション 鶴見和子曼荼羅』(全9巻)『歌集 回生』『歌集 花道』『歌集 山姥』『南方熊楠・萃点の思想』『鶴見和子・対話まんだら』『「対話」の文化』『いのちを纏う』『遺言〈増補新版〉』(以上、藤原書店)など多数。2001年9月には、その生涯と思想を再現した映像作品『回生 鶴見和子の遺言』を藤原書店から刊行。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1918年生まれ。上智大学名誉教授。専攻・比較社会学。1939年津田英学塾卒業後、41年ヴァッサー大学哲学修士号取得。66年プリンストン大学社会学博士号を取得。論文名Social Change and the Individual: Japan before and after Defeat in World War II(Princeton Univ. Press, 1970)。69年より上智大学外国語学部教授、同大学国際関係研究所員(82-84年、同所長)。95年南方熊楠賞受賞。99年度朝日賞受賞。
15歳より佐佐木信綱門下で短歌を学び、花柳徳太郎のもとで踊りを習う(20歳で花柳徳和子を名取り)。1995年12月24日、自宅にて脳出血に倒れ、左片麻痺となる。2006年7月歿。
著書に『コレクション 鶴見和子曼荼羅』(全9巻)『歌集 回生』『歌集 花道』『歌集 山姥』『南方熊楠・萃点の思想』『鶴見和子・対話まんだら』『「対話」の文化』『いのちを纏う』『遺言〈増補新版〉』(以上、藤原書店)など多数。2001年9月には、その生涯と思想を再現した映像作品『回生 鶴見和子の遺言』を藤原書店から刊行。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです