- 鶴見和子 著
- 解説=岡部伊都子
- 四六上製 528頁 口絵2頁
ISBN-13: 9784894341142
刊行日: 1998/11
軽やかに飛翔する鶴見和子の思想世界!
きもの、おどり、短歌などの「道楽」が、生の根源で「学問」と結びつき、人生の最終局面で驚くべき開花をみせる。
[月報]西川潤/西山松之助/三輪公忠/高坂制立/林佳恵/C・F・ミュラー
目次
I おいたち
祖父・後藤新平
はにかまないこと
自分と意見のちがう子どもを育てた父親への感謝
父と娘の往復書簡 (鶴見祐輔×鶴見和子)
対談 オー・マイ・パパ
―― 親の幸福・娘の幸福 (鶴見祐輔×鶴見和子)
母の思い出
おなじ母のもとで
見返り美人の加藤シヅエさん
『祭の笛』 から
奥野庄太郎先生のこと
II 人をおもう
老 師
佐佐木信網先生
河合栄治郎先生
高木八尺先生
桑原武夫先生
知的好奇心の人
死に顔 / 河合栄治郎さんの一連の著作 / 河合先生とわたくしの父
寛容な厳しさの魅力
思索と創意に自信をもつ人 / たたなわる比較の視座
先 達
宮原誠一さん
幼方直吉さん
国分一太郎さん
白鳥邦夫さん
竹内好さん
丸岡秀子さん
中野好夫さん
佐喜真興英さん
大熊信行さん
桜井徳太郎さん
今西錦司さん
光久寺の一夜
「幼方老」 をいたむ
国分一太郎さんの魅力
『無名の日本人』 ――思想の共有制の主張
中国語おそ学び / 竹内好氏から「火を盗め」るか / 竹内さんとなれず
しと発音学 / 『方法としてのアジア』 / 竹内好訳『魯迅選集』のすすめ
女の辛酸をなめて生まれたおおらかな学問 / わたしの主治医
中野好夫夫妻の学恩
女の霊力、男の腕力
『国家悪』
内発的な学問の仕法
今西錦司さんの創造性
友 人
高野悦子さん
市井三郎さん
高橋甫さん
山本安英さん
上山春平さん
渡辺千恵子さん
木下澄子さん
中野卓さん
柳瀬睦男さん
正木美樹子さん
杉本榮子さん
ミュリエル・ルカイザーさん
岡部伊都子さん
玉野井芳郎さん
イヴァン・イリイチさん
高取正男さん
大塚末子さん
北一明さん
河合隼雄さん
『シネマ人間紀行』 ――青春の書 / 『黒龍江への旅』 ――前のことを
忘れることなく / 女の原理
市井三郎さんの遺されたしごと
自らを 「人殺し」 ということのできた人
しずかにはげしく
離れ業の底を貫く独創的な方法論
『長崎を忘れない』 / 再会
あるお母さんの死
『口述の生活史』
40の数学習い
妖精の気配
からだを治め、 こころを癒す
「生きながら戦慄せしめよ」
『女人歳時記・京の韻』
コペルニクス的転換
イリイチの衝撃
女として学ぶもの
『女、 80歳の伝言』 ―― 年をとることに希望がある
茶盌の中に現代史を読む / 『味と器の行方 ―― 明日を生きるために』 /
一個の茶盌を通して人類の歴史を透視する
比較の深層 ―― 日本文と英文のあいだに
III きもの
きもの自在
現代きもの考 / きものはやすらぎ / きものは健康法 / 二つの箪笥 /
紬 ―― 織る人と着る人と / きものぐらし / 絹々の出会い
IV おどり、その他の身辺雑記
芸
型破りと型外れ / 文楽と信太の森 / 帝国ホテルの初舞台 /
対談 伝統芸能を知る歓び (高野悦子×鶴見和子)
食
なれずし三種 / レモンとバナナ / 民際交流の場としての食文化 /
地ワインと地もめん / 地菓子のたのしみ
旅
ドライデン=ミナマタ病 / ストライキと市民 / 議事堂前のデモ /
「心中天網島」 / 交差女性研究 / 歩き仲間 / 王さまと民主主義 /
車椅子の旅 / 地名学こと始め / 核家族の神話 / かたがき / 平和の仲人 /
好奇心の衰え / 中国火車行
その他
「文化担う女」 は世界共通 / りんどうの藍
葬
心にかなった葬式の工夫を / 死の作法
あとがき 道楽と学問
解説 和子・日常の霊性
鶴見和子
岡部伊都子
関連情報
南方熊楠、 柳田国男などの巨大な思想家を社会科学の視点から縦横に読み解き、 日本の伝統に深く根ざしつつ地球全体を視野に収めた思想を開花させた鶴見和子の世界を、 〈曼荼羅〉 として再編成。 人間と自然、 日本と世界、 生者と死者、 女と男などの臨界点を見据えながら、 思想的領野を拡げつづける著者の全貌に初めて肉薄、 「著作集」 の概念を超えた画期的な著作集成!
● 全巻構成 ●
〔附〕 年譜・著作総目録・総索引