- 石牟礼道子・鶴見和子 著
- 序=赤坂憲雄・赤坂真理
- 四六上製 304頁
ISBN-13: 9784865784350
刊行日: 2024/9
言葉は、
討ち死にして、
のたれ死にして
いいんですよ――石牟礼道子
言葉果つるところに
言葉が生まれる――鶴見和子
鬼気迫る対話、待望の新版。
〈本書を推す――新版序より〉
■この対話は、執拗に「言葉果つるところから出発する」ことを願いながら、その根源的な不可能性に向けて身や心をほとんど叩きつけるように挑み、そのたびに跳ねかえされ、避けがたい挫折を幾度となく繰り返している。その姿は無惨な戦いのように見えはするが、それ以上にありがたく尊いものに感じられて、魂を揺さぶられずにはいない。――赤坂憲雄
■まったく違う道すじを通ってきた二人の女が、ともに言葉果つるところまで行き、そこから蘇り、全く新しい人間となり、違う資質で同じことを見、語って、くにや宗教について、かつて誰も到達しなかったような深みと高みに達する。どんな宗教者にもなしえなかった凄いことを、丸い言葉で話して、女学生のように笑いさざめいている。――赤坂真理
目次
〈本書を推す〉
じゃなかしゃば、あるいは、はらいそ(天国) 赤坂真理
ただ感謝の思いを 赤坂憲雄
第1場 出会い――水俣へ
はじめての水俣入り/訪問先をまちがえる/天草の一夜
第2場 息づきあう世界――短歌
歌という原点/息づきあう世界/うたせ舟を焼く
第3場 言葉果つるところ――もだえ神さん
「一本橋」のお母さまの話/山川のカミは天皇に結びつかず/言葉の機械化、言葉の消滅/カナダで通ずる水俣弁/もだえ神さん
第4場 人はなぜ歌うのか――いのちのリズム
短歌は究極の思想表現/絶叫の発作と魂/スピノザ・フイスと西行庵/魂を通りぬけた深さ
第5場 近代化への問いと内発的発展論――水俣
近代化論と内発的発展論/工業基地の水俣と人の道/石牟礼さんが草鞋親に/まず話をきくことから始めた/水俣と出会い、開眼する/言葉の噴出と渦
第6場 「川には川の心がある」――アニミズム
田中正造と南方熊楠/アニミズムと天皇制/名もなき神々への信仰
第7場 四角い言葉と丸い言葉
四角い言葉と丸い言葉/丸い言葉を磨いて玉にする
第8場 「東京に国はなかったばい」
「国」と「くに」/水俣病事始め
第9場 いのちの響き
生命の響きと美/一本の草に宿るメッセージ/祖霊と魂の蘇り
〈幕間〉石牟礼道子、『アニマの鳥』を語る
第10場 アニマ――民衆の魂
アニマと民衆の信仰/チッソ前のすわり込みと原城/浄土は天草の自然
第11場 国を超えるアニミズム
魂は循環の中に入る/アニミズムは多元的
〈石牟礼道子に聞く〉白い蓮華、鶴見和子
〈対談を終えて〉み後を慕いて 石牟礼道子
あとがき 鶴見和子
じゃなかしゃば、あるいは、はらいそ(天国) 赤坂真理
ただ感謝の思いを 赤坂憲雄
第1場 出会い――水俣へ
はじめての水俣入り/訪問先をまちがえる/天草の一夜
第2場 息づきあう世界――短歌
歌という原点/息づきあう世界/うたせ舟を焼く
第3場 言葉果つるところ――もだえ神さん
「一本橋」のお母さまの話/山川のカミは天皇に結びつかず/言葉の機械化、言葉の消滅/カナダで通ずる水俣弁/もだえ神さん
第4場 人はなぜ歌うのか――いのちのリズム
短歌は究極の思想表現/絶叫の発作と魂/スピノザ・フイスと西行庵/魂を通りぬけた深さ
第5場 近代化への問いと内発的発展論――水俣
近代化論と内発的発展論/工業基地の水俣と人の道/石牟礼さんが草鞋親に/まず話をきくことから始めた/水俣と出会い、開眼する/言葉の噴出と渦
第6場 「川には川の心がある」――アニミズム
田中正造と南方熊楠/アニミズムと天皇制/名もなき神々への信仰
第7場 四角い言葉と丸い言葉
四角い言葉と丸い言葉/丸い言葉を磨いて玉にする
第8場 「東京に国はなかったばい」
「国」と「くに」/水俣病事始め
第9場 いのちの響き
生命の響きと美/一本の草に宿るメッセージ/祖霊と魂の蘇り
〈幕間〉石牟礼道子、『アニマの鳥』を語る
第10場 アニマ――民衆の魂
アニマと民衆の信仰/チッソ前のすわり込みと原城/浄土は天草の自然
第11場 国を超えるアニミズム
魂は循環の中に入る/アニミズムは多元的
〈石牟礼道子に聞く〉白い蓮華、鶴見和子
〈対談を終えて〉み後を慕いて 石牟礼道子
あとがき 鶴見和子
関連情報
水俣病をその身に背負う人たちの、言葉にならない魂の叫びを言葉にうつしとり、『苦海浄土』を書いた石牟礼道子。
明晰な言葉で内発的発展論を唱えてきたが、水俣に入り、“言葉ではどうにもならない”現実に直面し苦悩する鶴見和子。
言葉より深く、言葉を超え、しかし言葉にすがりつかざるをえない鬩ぎ合いの地平で交わされる、鬼気迫る対話、待望の新版。
明晰な言葉で内発的発展論を唱えてきたが、水俣に入り、“言葉ではどうにもならない”現実に直面し苦悩する鶴見和子。
言葉より深く、言葉を超え、しかし言葉にすがりつかざるをえない鬩ぎ合いの地平で交わされる、鬼気迫る対話、待望の新版。
著者紹介
●石牟礼道子 (いしむれ・みちこ)
1927年、熊本県天草に生まれ、水俣で育つ。詩人・作家。2018年歿。
1969年に公刊された『苦海浄土 わが水俣病』は、水俣病事件を描いた初の作品として注目される。マグサイサイ賞、紫式部文学賞、朝日賞、芸術選奨文部科学大臣賞など受賞。『石牟礼道子全集 不知火』(全17巻・別巻1)が2004年4月から刊行され、2014年5月完結。『苦海浄土』三部作を1冊にした大著『苦海浄土 全三部』『完本 春の城』など著作多数。
●鶴見和子 (つるみ・かずこ)
1918年生まれ。上智大学名誉教授。専攻・比較社会学。2006年7月歿。
1939年津田英学塾卒業後、ヴァッサー大学で哲学修士号、プリンストン大学で社会学博士号を取得。上智大学外国語学部教授、同国際関係研究所長を歴任。南方熊楠賞、朝日賞受賞。佐佐木信綱門下で短歌を学び、花柳徳太郎のもとで踊りを習う。1995年、自宅にて脳出血に倒れ、左片麻痺となるが、『コレクション鶴見和子曼荼羅』(全9巻)ほか、歌集『回生』『花道』『山姥』、『鶴見和子・対話まんだら』など精力的に著作を続けた。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1927年、熊本県天草に生まれ、水俣で育つ。詩人・作家。2018年歿。
1969年に公刊された『苦海浄土 わが水俣病』は、水俣病事件を描いた初の作品として注目される。マグサイサイ賞、紫式部文学賞、朝日賞、芸術選奨文部科学大臣賞など受賞。『石牟礼道子全集 不知火』(全17巻・別巻1)が2004年4月から刊行され、2014年5月完結。『苦海浄土』三部作を1冊にした大著『苦海浄土 全三部』『完本 春の城』など著作多数。
●鶴見和子 (つるみ・かずこ)
1918年生まれ。上智大学名誉教授。専攻・比較社会学。2006年7月歿。
1939年津田英学塾卒業後、ヴァッサー大学で哲学修士号、プリンストン大学で社会学博士号を取得。上智大学外国語学部教授、同国際関係研究所長を歴任。南方熊楠賞、朝日賞受賞。佐佐木信綱門下で短歌を学び、花柳徳太郎のもとで踊りを習う。1995年、自宅にて脳出血に倒れ、左片麻痺となるが、『コレクション鶴見和子曼荼羅』(全9巻)ほか、歌集『回生』『花道』『山姥』、『鶴見和子・対話まんだら』など精力的に著作を続けた。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです