占領期女性のエンパワーメント――メアリ・ビーアド、エセル・ウィード、加藤シヅエ

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  • 上村千賀子 著
  • A5上製 432頁 口絵8頁
    ISBN-13: 9784865783834
    刊行日: 2023/3

未公刊書簡を駆使して、戦後の女性政策の原点に、新たな光を当てる!
◎第16回昭和女子大学女性文化研究特別賞(坂東眞理子基金)受賞!

女性史の先駆者メアリ・ビーアド(1876-1958)、GHQにおける女性政策の責任者エセル・ウィード(1906-75)、そして二人の媒介者ともなった加藤シヅエ(1897-2001)。ビーアドとウィードの生々しい往復書簡を主な史料として、占領期の女性政策立案への参加と、先駆的な「日本女性史」の刊行という両面から、三人の貢献を描く!


目次

 まえがき
 序章 三人の交友とその書簡

第Ⅰ部  「女性解放」をめぐる占領政策とメアリ・ビーアド
 第1章 マッカーサーの女性参政権付与とその意義
 第2章 女性政策を推進するためのネットワーク
 第3章 女性の選挙権行使のための情報事業
 第4章 女性団体の民主化
 第5章 労働省婦人少年局の設立
 第6章 日本国憲法の制定――ベアテ・シロタと加藤シヅエの奮闘
 第7章 民法と刑法の改正
 第8章 日米交流の架け橋

第Ⅱ部 女性史を書く
 第9章  『歴史における力としての女性』の出版(1946年)
 第10章 日本女性史の構想から出版契約まで(1946-51年)
 第11章  『日本女性史――日本史における女性の力』(1953年)の概要

 終章 占領終了、そしてそれぞれの旅立ち
 あとがき

 本書関連年表(1874-2001)/注/文献一覧/主要人名索引


関連情報

 メアリ・ビーアドは、間接的にはウィードや加藤シヅエへの助言を媒介に、直接的には『日本女性史――日本史における女性の力』の刊行によって、戦後の日本社会の民主化に女性たちの力を結集させる占領政策に介入した。メアリはまさに、戦後の政治世界の舞台裏でドラマを演出した「隠れた占領政策推進者」であったといっても過言ではないであろう。
 では、彼女たちは一体どのようなドラマをどのように演じたのであろうか。
 本書では、占領政策資料と、メアリとウィードの間で交わされた往復書簡を手がかりに、占領期の政治世界の大舞台で演じられた女性たちの主役と脇役のドラマと、舞台裏で演じられたメアリとウィードの陰のドラマを描き出し、占領期の女性政策が「女性のエンパワーメント」の実現を目指していたことを明らかにする。(「まえがき」より)

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■1946年2月8日 メアリ・ビーアドからエセル・ウィード宛て書簡より
〈日本の女性運動が必要としていると私が考えていることは、日本女性の歴史的な力にもとづいて、女性の力の構造――現代のための創造的な知性の構造――を構築することです。(…)加藤夫人には、派遣された西洋の女性たちの相手をするよりはむしろ、理論一辺倒のタイプの軽率な西洋人たち――私自身――の足枷から自由になってほしいものです。(…)
 1922年から23年にかけて私が日本に滞在していたとき、民主的な未来に向かって運動を組織し指導していた日本女性との個人的付き合いから、もし彼女たちの幾人かが生きていて、現在、社会的必要に照らし、日本経済の実態についての知識をもって事にあたることが許されるなら、どれほど上手にそのような運動を指導することができるかが、私にはわかっています。〉
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著者紹介

●上村千賀子(うえむら・ちかこ)
1942年富山県生まれ。64年,日本女子大学卒業。78年,東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。78~97年,国立婦人教育会館勤務。97~2007年,群馬大 学教育学部教授(生涯学習・ジェンダー専攻)。
主著に『女性解放をめぐる占領政策』(双書ジェンダー分析16,2007年,勁草書房,第3回平塚らいてう賞受賞),『メアリ・ビーアドと女性史――日本女性の真力を発掘した米歴史家』(藤原書店,2019年),共著に『女性学の再構築』(女性学研究第2号,1999年,勁草書房),『ジェンダーと社会教育』(日本の社会教育第45集,2001年),『講座 現代社会教育の理論Ⅱ 現代的人権と社会教育の価値』(2004年,以上東洋館出版社)など。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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