木陰の歴史――感情の源泉としての樹木

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  • アラン・コルバン 著
  • 小黒昌文 訳
  • 四六上製 488頁 カラー口絵16頁
    ISBN-13: 9784865783667
    刊行日: 2022/11

“樹木”がもたらす激しく多様な感情を縦横に描く、感性の歴史家の新たな金字塔

人間は古来、自らと全く異質な時間性を生きる「樹木」という存在に畏怖をおぼえ、圧倒され、多くの感情を掻き立てられてきた。“感性の歴史”の第一人者が、樹木と対話し、交感し、祈り、ときには心身を委ねてきた、古代から現代に至る人間の感情の歴史を、文学・芸術・史料を通じて描き尽くす。


目次

 序

第Ⅰ部 刻む
 第1章 樹木に文字を刻む
 第2章 「過ぎ去りし年月の、年老いた証言者」
 第3章 冥界と天上の渡し守としての樹木

第Ⅱ部 祈る
 第4章 樹木の神聖に結びついた感情
 第5章 樹木――不安から恐怖へ
 第6章 驚異、夢、幻想の樹木
 第7章 樹木の魂

第Ⅲ部 感じる
 第8章 樹木――類似と個別化
 第9章 感覚能力を持った樹木と人間的な共感
 第10章 樹木の道徳性

第Ⅳ部 交わる
 第11章 対話者、腹心の友、助言者としての樹木
 第12章 樹木と記憶想起
 第13章 樹木と性愛の夢想
 第14章 木陰あるいは実践目録

謝辞
訳者あとがき(小黒昌文)
原注/主要人名・作品名索引

関連情報

本書が誘うのは長い散策であり、樹木との出会いである。だが出会いの相手となるのは、樹木を隠してしまう森ではなく、田園の樹木や生け垣の樹木、孤立した野生の樹木、そして家庭に生える樹木だ。それらすべてが何世紀にも渡って強い感動を掻き立ててきたが、その多様性を分析するためには書物を何冊も著す必要があるだろう。その歴史は、植物学の歴史や森林開発の歴史、樹木を中心とした集合的、民俗的な行事の歴史、あるいは政治的な象徴として身にまとった価値の歴史、そして何よりも樹木の哲学的な射程をめぐる歴史といった、今日ではじゅうぶんに成熟した歴史の数々と混同されてはならない。
ここで問題となるのは、個人が覚えた感情の歴史にほかならず、人びとはそうした感情を語るためのレトリックを何世紀にもわたって所持してきた。なかでも重要なのは、その歴史の背景となるものであり、つまりは樹木の出現と存在によって呼び起こされる茫然自失の感覚だ。(「序」より)

《樹木をめぐることば――本書より》
・ソロー「人間とは対照的に、樹木は決してなにかを待ち構えているようにはみえない。新緑の芽のなかを樹液が昇ってゆく現在の瞬間こそが黄金時代であるかのようなのだ」
・シャトーブリアン「樹木は宇宙の沈黙した存在」
・ウェルギリウス「樹木は成長する。我が愛よ、おまえもその樹木のように大きくなるのだ」
・ミシュレ「お前たちは人間が過ぎ行くのを目にする。そして千年の年月を生きながらえるのだ」
・ヴァレリー「愛の大樹は、果てしなく広げてゆく/私の弱さのうちに不思議な活力を」
・ベルナルダン・ド・サン=ピエール「樹木は、その陰に憩った有徳な人間に、いくつもの崇高な
憶を与える」
・ラ・フォンテーヌ「夫婦がその木陰に身を置きさえすれば/彼らは果てまでも愛し合うのだ、歳月の圧力に抗って」

著者紹介

●アラン・コルバン(Alain Corbin)
1936年フランス・オルヌ県生。カーン大学卒業後、歴史の教授資格取得(1959年)。リモージュのリセで教えた後、トゥールのフランソワ・ラブレー大学教授として現代史を担当(1972-1986)。1987年よりパリ第1大学(パンテオン=ソルボンヌ)教授として、モーリス・アギュロンの跡を継いで19世紀史の講座を担当。現在は同大学名誉教授。
“感性の歴史家”としてフランスのみならず西欧世界の中で知られており、近年は『身体の歴史』(全3巻、2005年、邦訳2010年)『男らしさの歴史』(全3巻、2011年、邦訳2016-17年)『感情の歴史』(全3巻、2016-17年、邦訳2020-22年)の3大シリーズ企画の監修者も務め、多くの後続世代の歴史学者たちをまとめる存在としても活躍している。
著書に『娼婦』(1978年、邦訳1991年・新版2010年)『においの歴史』(1982年、邦訳1990年)『浜辺の誕生』(1988年、邦訳1992年)『音の風景』(1994年、邦訳1997年)『記録を残さなかった男の歴史』(1998年、邦訳1999年)『快楽の歴史』(2008年、邦訳2011年)『処女崇拝の系譜』(2014年、邦訳2018年)『草のみずみずしさ』(2018年、邦訳2021年)『雨、太陽、風』(2013年、邦訳2022年)など。(邦訳はいずれも藤原書店)

【訳者】
●小黒昌文(おぐろ・まさふみ)
1974年東京生。2005年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。駒澤大学総合教育研究部教授。専門は20世紀フランス文学。著書に『プルースト 芸術と土地』(名古屋大学出版会、2009年)、訳書にフィリップ・フォレスト『夢、ゆきかひて』(共訳、白水社、2013年)、『シュレーディンガーの猫を追って』(共訳、河出書房新社、2017年)、『洪水』(共訳、河出書房新社、2020年)など。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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