- 春山明哲 著
- 四六上製 264頁・口絵2頁
ISBN-13: 9784865784640
刊行日: 2025/6
「国を治す医者になる。」
大規模災害、感染症など、「危機」の度に想起される後藤新平(1857~1929)。
その生涯を貫く「衛生」の思想とは何か。
若き日の著書『普通生理衛生学』『国家衛生原理』『衛生制度論』を三部作として読み解き、ドイツ留学時代に得た国際的知見、日清戦争後の奇跡的な検疫事業などを辿りつつ、後藤の「衛生(=生を衛る)」の思想と実践の道程を初めて描き尽くした画期的労作!
目次
〈序〉後藤新平「衛生の道」を歩く――「学俗接近」の方法序説
第1章 後藤新平の「衛生の道」をめぐって――「学俗接近」の視点から
附論1 「衛生の道」と調査研究事業――台湾・満鉄・国務大臣・東京市長時代
第2章 『国家衛生原理』はどう読まれてきたのか
附論2 後藤新平「衛生三部作」――私の読み方
第3章 『衛生制度論』とその周辺
――ローレンツ・フォン・シュタインとの関係を中心に――
第4章 『衛生制度論』とその周辺(その2)
――コッホおよびペッテンコーフェルとの関係を中心に――
第5章 後藤新平、欧州の「衛生の道」を歩く
――ロンドン万国衛生・民勢(デモグラフィー)会議を中心に――
附論3 後藤新平の博士論文
第6章 相馬事件の中の後藤新平――1879-94年
第7章 『臨時陸軍検疫部報告摘要』を読む
――「学俗接近」と「衛生制度の三成分:科学・芸術・実地」の視点から――
附論4 台湾・満鉄・関東大震災時期における衛生事業
〈附〉後藤新平「衛生の道」関連の年譜と著作22選
あとがき
初出等一覧/人名索引/地名・事項索引
第1章 後藤新平の「衛生の道」をめぐって――「学俗接近」の視点から
附論1 「衛生の道」と調査研究事業――台湾・満鉄・国務大臣・東京市長時代
第2章 『国家衛生原理』はどう読まれてきたのか
附論2 後藤新平「衛生三部作」――私の読み方
第3章 『衛生制度論』とその周辺
――ローレンツ・フォン・シュタインとの関係を中心に――
第4章 『衛生制度論』とその周辺(その2)
――コッホおよびペッテンコーフェルとの関係を中心に――
第5章 後藤新平、欧州の「衛生の道」を歩く
――ロンドン万国衛生・民勢(デモグラフィー)会議を中心に――
附論3 後藤新平の博士論文
第6章 相馬事件の中の後藤新平――1879-94年
第7章 『臨時陸軍検疫部報告摘要』を読む
――「学俗接近」と「衛生制度の三成分:科学・芸術・実地」の視点から――
附論4 台湾・満鉄・関東大震災時期における衛生事業
〈附〉後藤新平「衛生の道」関連の年譜と著作22選
あとがき
初出等一覧/人名索引/地名・事項索引
関連情報
後藤新平は若いころ衛生の道に進むにあたって「国を治す医者になる」と希望したが、近代日本の重大な危機に直面して、後藤のように現場の最高指揮官として、いわば「日本という身体」の「臨床医」として行動した人物はいない。
後藤新平の思想と行動の考察によって、「もうひとつの、ありえたかも知れない日本」のビジョン、未完のプロジェクトの「幻視」を通じて、日本と世界の将来を考える「オルターナティブ」、別の選択と視座を得るかもしれない。
「衛生の道」を進む「医国」の思想家としての後藤新平を仮想すると、近代日本の歴史における後藤の位置と役割について、これまでと別の方法でアプローチする必要が出て来るのではないか。後藤のビジョンと言われるものは、日本の主流的政治指導に対する根底的批判でなければ、建設的代案の主張だったのではなかろうか。 (本書「序」より)
後藤新平の思想と行動の考察によって、「もうひとつの、ありえたかも知れない日本」のビジョン、未完のプロジェクトの「幻視」を通じて、日本と世界の将来を考える「オルターナティブ」、別の選択と視座を得るかもしれない。
「衛生の道」を進む「医国」の思想家としての後藤新平を仮想すると、近代日本の歴史における後藤の位置と役割について、これまでと別の方法でアプローチする必要が出て来るのではないか。後藤のビジョンと言われるものは、日本の主流的政治指導に対する根底的批判でなければ、建設的代案の主張だったのではなかろうか。 (本書「序」より)
著者紹介
●春山明哲(はるやま・めいてつ)
1946年生。元国立国会図書館専門調査員、早稲田大学台湾研究所招聘研究員。日本台湾学会名誉理事長。専攻:日本台湾関係史。
主な著書に『近代日本と台湾――霧社事件・植民地統治政策の研究』(藤原書店、2008)、『台湾の歴史 大全――基礎から研究へのレファレンス』(共編著、藤原書店、2025)、論文に「法学者・岡松参太郎の台湾経験と知の射程――植民地統治と『法の継受』をめぐって」(松田利彦編『植民地帝国日本における知と権力』思文閣、2019)、「思想家としての後藤新平・方法論序説」(『現代の理論』62号、2023年10月)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1946年生。元国立国会図書館専門調査員、早稲田大学台湾研究所招聘研究員。日本台湾学会名誉理事長。専攻:日本台湾関係史。
主な著書に『近代日本と台湾――霧社事件・植民地統治政策の研究』(藤原書店、2008)、『台湾の歴史 大全――基礎から研究へのレファレンス』(共編著、藤原書店、2025)、論文に「法学者・岡松参太郎の台湾経験と知の射程――植民地統治と『法の継受』をめぐって」(松田利彦編『植民地帝国日本における知と権力』思文閣、2019)、「思想家としての後藤新平・方法論序説」(『現代の理論』62号、2023年10月)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです