国家とは何か

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  • 後藤新平 著
  • 編・解説=楠木賢道
  • 四六変上製 208頁
    ISBN-13: 9784865783254
    刊行日: 2021/9

後藤新平の政治的・思想的遺書!
関東大震災以後、『国難来』(1924.4)、『政治の倫理化』(1926.9)に続く最後の書き下ろし。幻の名著!

本書は、西洋哲学と東洋思想をつなぎ、国家には道徳が、政治には倫理が不可欠なものであることを示す。
現在の日本の国家、政治の現状をまさに洞察する書。


目次

   編者はしがき 楠木賢道
   〈解説〉 後藤新平の政治的、思想的遺書 楠木賢道
      執筆の経緯/本書の内容/後藤の思想的背景――漢文とドイツ語/その後の昭和史

国家とは何か 後藤新平
 自 序
  倫理道徳と国家、政治との関係――応用哲学上の諸説
  代表的な非倫理的政治思想――マキャヴェリ
  倫理的実在としての人間
  国家の目的
  私が政治の倫理化運動を行った理由
  政治の倫理化運動の淵源
  立憲同志会脱退始末
  政治の倫理化に関する私の著作
  政治の倫理化という常に古くて新しい思想
  フェルスターの『政治倫理と政治教育』

 第一章 国家の倫理的基礎――倫理的訓練と人格的修養
  プラトンの理想国家――哲人政治
  プロシアの倫理精神
  儒教が説く徳治主義
  三種神器と倫理道徳
  国民の本分

 第二章 国家の人格的活動――人に人格があるように、国には国格がある
  自治的訓練の必要性
  国民の倫理的自覚を促したプロシア
  国民の自主的精神を重んじるイギリス
  孟子も服従より心服を上策とする
  国家の統一的組織と国民の自治的自由
  人格と国格と民格
  日本国民の民格
  民格なき中国の現状

 第三章 国民教育の本義――最終的には宗教の問題
  国民教育と社会教育
  国民教育は国民の心霊の問題
  学校教育
  倫理道徳と宗教的最高善
  家庭教育
  労働の尊重
  時間厳守
  ヨーロッパにおける政治教育と宗教
  日本の祭政一致と政治道徳
  現実政治と政治道徳

 第四章 政治教育の使命――責任観念の修養と責任履行の実践的訓練
  政治と国民教育
  現代政治の悪弊
  政治家の使命
  責任精神の修養

 第五章 政治教育上の諸問題――誠実の精神はすべての根本
  政治と宗教
  民族問題
  軍事教育
  平和教育
  世界的正義

 第六章 自治と公徳――立憲政治の基礎
  権利と道徳の関係
  自由、自治と責任観念
  薄弱な国民の公共観念
  尊敬の精神

 第七章 立憲と最高善――大日本帝国憲法
  帝国憲法発布の勅語
  帝国憲法の精神

 第八章 王道政治――政治の倫理化の完成形
  王道政治とは何か
  神道と王道政治
  五箇条の御誓文の精神
  平和条約発効に際して出された勅書
  昭和の王道政治を実現するために
  全人類、全世界の救済
  儒教が説く道徳政治
  儒教思想の発展過程
  王陽明の説く良知
  王陽明の理想国家

 第九章 敬天愛人――政治の倫理化の根本生命
  西郷南洲の遺訓
  古代中国における天の観念
  ヨーロッパにおける天の観念
  日本における天の観念
  古代ギリシア哲学における道徳王国
  ドイツ哲学における道徳王国
  儒教における道徳王国
  覇権的英雄主義の放棄
  カーライルの英雄崇拝論
  日本の国民道徳
  道徳の完成は人類の義務

 第十章 新時代の黎明政治――立憲有終の美をなす道
  至誠の心
  今上陛下践祚後、朝見の儀における勅語
  立憲政治の原理
  待望される人道的政治家
  人種間闘争の危機
  人道主義と国際連盟
  親切第一と人間愛

   編者あとがき 楠木賢道
   晩年の後藤新平関連略年譜(一九二〇年代)
   人名索引

関連情報

将来、新興政治に完全に調和・統一の取れた政治を達成させるには、国民が総て民格の本義を自覚し、民格完成に向けて努力することから始めなければならない。
したがって政治の要諦は、常にこの点に慎重に意を尽くし、常に民格を 尊重し、民意・民論に誠実に心を払い、民格・国格の完成に眼目を置くことでなければならない。
そして民格の根本は、民衆の自律心である。民自ら身を修め、身を律し、自ら理想に向って忠実となり、自ら国格・民格の完成に至誠の努力を尽くさなければならない。
後藤新平(本書より)

西洋哲学と東洋思想の核心部に踏み込み、これほど深く考え抜いて論じた書は、これまでなかったのではないか。後藤は、渾身の力をこめて、国家はどうあるべきか、政治はどうあるべきかを論じている。
したがって本書は、後藤の政治思想の全容を知ることができる極めて重要な著作である。
国家は道徳を基盤としなければならず、政治は倫理的に許される手段によりなされなければならない。もし倫理的に認められない手段を許容すれば、政治は必ず腐敗し、国家は衰亡・破滅に陥る。
楠木賢道「編者はしがき」より

底本(後藤新平『道徳国家と政治倫理』1927年、政教社)

著者紹介

●後藤新平(ごとう・しんぺい/1857-1929)
1857年、水沢(現岩手県奥州市)の武家に生まれ、藩校をへて福島の須賀川医学校卒。1880年、弱冠23歳で愛知病院長兼愛知医学校長に。板垣退助の岐阜遭難事件に駆けつけ名を馳せる。83年内務省衛生局に。90年春ドイツ留学。帰国後衛生局長。相馬事件に連座し衛生局を辞す。日清戦争帰還兵の検疫に手腕を発揮し、衛生局長に復す。98年、児玉源太郎総督の下、台湾民政局長(後に民政長官)に。台湾近代化に努める。1906年9月、初代満鉄総裁に就任、満鉄調査部を作り満洲経営の基礎を築く。08年夏より第2次・第3次桂太郎内閣の逓相。その後鉄道院総裁・拓殖局副総裁を兼ねた。16年秋、寺内内閣の内相、18年春外相に。20年暮東京市長となり、腐敗した市政の刷新、市民による自治の推進、東京の近代化を図る「八億円計画」を提唱。22年秋アメリカの歴史家ビーアドを招く。23年春、ソ連極東代表のヨッフェを私的に招き、日ソ国交回復に尽力する。23年の関東大震災直後、第二次山本権兵衛内閣の内相兼帝都復興院総裁となり、再びビーアドを緊急招聘、大規模な復興計画を立案。政界引退後は、東京放送局(現N‌H‌K)初代総裁、少年団(ボーイスカウト)総長を歴任、「政治の倫理化」を訴え、全国を遊説した。1929年遊説途上、京都で死去。

【編・解説者】
●楠木賢道(くすのき・よしみち)
1961年生、大分県中津市に生まれる。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科満期退学、博士(文学)。大分県立芸術文化短期大学専任講師、筑波大学教授等を歴任。
現在は吉林師範大学教授、公益財団法人東洋文庫研究員。東洋史専攻。2013年から後藤新平研究会に参加。
著書に『清初対モンゴル政策史の研究』(汲古書院、2009年)、論文に「江戸時代知識人が理解した清朝」(『別冊環』16、2009年)、「『二国会盟録』からみた志筑忠雄・安部龍平の北アジア理解──江戸時代知識人のNew Qing History?」(『社会文化史学』52、2009年)、「成島柳北を生んだ浅草・蔵前の知的ネットワーク──江戸の蔵書家松本幸彦と幕府の奧儒者成島家」「後藤新平『江戸の自治制』を読む」(以上『環』59、2014年)、「孝端文皇后之母科爾沁大妃的収継婚及其意義初探」(『清史研究』2016-1)、「地域名称『満洲』の起源――江戸時代知識人の空間認識の展開」(『別冊環』23、2017年)、「森繁久彌のルーツと後藤新平①──成島柳北、原田二郎」(『後藤新平の会会報』23、2020年)、「森繁久彌のルーツと後藤新平②──菅沼達吉と松本安正」(『後藤新平の会会報』24、2021年)等がある。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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